2007年06月23日

ブルームバーグが無党派になった真意とは、これいかに

無党派の政治家は、大統領になるよりも、大統領候補となるのが難しい。

<NY市長>共和党から離党 大統領選に独立系で立候補?

 【ニューヨーク小倉孝保】ブルームバーグ・ニューヨーク市長(65)が19日、共和党からの離党を表明、「次期大統領選挙に独立系候補として立候補するのではないか」との観測が流れた。市長は翌日、「残り任期の925日、市長を務める。大統領候補にはならない」と否定しているが、立候補説がくすぶり続けている。
 市長は大手通信社の創立者で、選挙資金の問題はないとされる。地元紙によると、過去1年半に国内20都市を回った精力的な活動をめぐって「立候補準備」との見方があり、立候補説の根拠の一つになっている。
 ブルームバーグ氏はかつて民主党員だったが、01、05年の市長選には共和党から立候補した。だが、銃規制を支持したり、同性愛者の結婚に理解を示すなど、社会問題では民主党寄りの姿勢が目立つ。
 大統領選に立候補を表明している民主党のヒラリー・クリントン上院議員、共和党のルドルフ・ジュリアーニ前市長はともにニューヨークが地元。ブルームバーグ市長は両者の政争に巻き込まれるのを回避するため離党したとの見方もある。

(22日、毎日新聞)

金融情報サービス会社「ブルームバーグ」の創業者で、推定55億ドル(約6800億円)の個人資産を持つ大富豪のブルームバーグ市長。
民主党→共和党→無所属という党派の変遷ぶりが、逆に“無所属大統領候補”との憶測を呼んでいる。

ブルームバーグ市長は、共和党離党ついて「違う党派の人間と会話しただけで非難される。党派を超えた取り組みがよい成果を生んでいる」と説明している。
ただ、米大統領選を控えたこの時期の離党は、良からぬ憶測を呼ぶものだ。

現在の共和党・民主党の大統領選候補者については「真剣な政策を提示していない」と批判。
また最近、アメリカ国内各地への出張が増え、全国的な問題についての言及も多く、大統領選出馬に動いているとも読み取れる。
出馬そのものについては一応否定はしているものの、「私の将来の計画は変わらない」と話し、含みも持たせている。
なお、ここで言う「私の将来の計画」とは、慈善活動家として、アメリカの人々のために働くということだ。

仮にブルームバーグ市長が出馬を表明したら、共和党候補としての出馬を目指すルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長との“新旧ニューヨーク市長対決”ということになる。
ジュリアーニ氏は、早くも、ブルームバーグ氏は市長としては適役だが、大統領候補としては的確ではない、といったコメントで牽制している。

過去の大統領選を見ると、1992年に実業家、ロス・ペロー氏が世論調査の支持率で一時トップになったことがあるが、それ以降は、出馬に必要な数の署名が集まらないといった問題が生じるなど、無所属大統領候補が善戦したことはない。それどころか、まともに戦えた人もいない。
事実、二大政党以外の政党や団体出身の大統領は、20世紀以降は一人もいない。

豊富な資金力で、経済的な面での問題はないと考えられるブルームバーグ市長だが、いざ、大統領候補として戦うとなるとかなり厳しいことになるだろう。
たとえ本人が出馬表明をしたとしても、実際に出馬可能な環境を作れるかどうか非常に疑問だ。
ブルームバーグ市長にとって一番難しいのは、大統領になることというよりは、大統領候補になることだろう。
無所属の大統領候補として出馬することが出来たら、私は案外、ブルームバーグ市長は高い支持を得るだろうと思う。

さて、このブログで以前取り上げた、「共和党候補」候補のフレッド・トンプソン元上院議員であるが、共和党の候補として、早くも第1位の支持を得た。

<米大統領選>俳優トンプソン氏、共和党で初首位 世論調査

 米世論調査会社によると、08年米大統領選への出馬準備を進めている俳優のフレッド・トンプソン元上院議員(64)が共和党候補者の支持率で28%を獲得し、ルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長(63)の27%を抑えてトップとなった。主要世論調査でトンプソン氏が首位になったのは初めて。

(20日、毎日新聞)

私が予想していたよりもだいぶ早く、トンプソン氏は共和党候補としてトップの支持を得た。
1週間前に行われた調査では、ジュリアーニ氏とトンプソン氏の支持率はともに24%と並んでいたが、今週、ついにトンプソン氏が支持率1位に躍り出た。
ジュリアーニ氏以外の人物が、共和党候補としての支持率トップを獲得したのは、これが初めてだ。
また、別の調査では、トンプソン氏はジョン・マケイン上院議員ミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事を抜いて2位につけている。

ジュリアーニ氏の人気が衰退しているというわけではないが、ある種「頭打ち」の感もあり、ジュリアーニ氏とトンプソン氏の支持率が並んだと言う事実は、かなり大きな意味を持つ。
つまり、アメリカ国民の中には、単に中道、単に穏健という共和党候補では満足せず、やはり、健全な保守らしさを求めている層が多いということだ。
トンプソン人気がどこまで行くか、また、いつまで続くかは分からないが、比較的遅くに名前が挙がってきたという点が、かなりプラスに働いているということはいえる。
ラベル:大統領選
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2007年06月18日

暴力容認な自称「政権準備政党」の男たち

暴力で採決を阻止する男と、それを問題視しない男。

衆院懲罰委:民主党の内山議員を登院停止30日に

 衆院懲罰委員会は18日午後、民主党の内山晃衆院議員を登院停止30日間とする懲罰動議を自民、公明両党の賛成多数で可決した。これに先立ち、横光克彦委員長(民主)の不信任動議も可決した。与党は19日、懲罰動議の本会議採決に踏み切るほか、参院でイラク復興特措法改正案と教育関連3法案の締めくくり総括質疑と委員会採決を行い、20日の成立を図る方針だ。野党は反発しており、国会審議が混乱する可能性もある。

 懲罰委に先立つ理事会で、横光委員長が委員会開催を見送る考えを表明したことを受け、与党は「不誠実、不公平な運営」として不信任動議を提出。反発する野党が委員会を欠席するなか、自民党の島村宜伸元農相が委員長代理として議事を取り仕切った。

 議員の身分を左右する懲罰委員長への不信任動議の提出は1953年以来で、可決したのは現憲法下で初。

 内山氏は先月30日の厚生労働委での年金時効停止特措法案の採決で、桜田義孝委員長を委員長席から引きずり下ろしたため与党が懲罰を求めていた。内山氏は18日の記者会見で「国民の不利益となる法案審議に抗議した行動で、恥じることは一つもない」と語った。登院停止は除名に次ぐ重い処分。最近では00年11月、本会議場で野党議員にコップの水をかけた松浪健四郎議員(登院停止25日間)の例がある。【野口武則】

(18日、毎日新聞)

今回問われた内山議員の行動とは、年金時効撤廃特例法案が採決された、5月30日の衆院・厚生労働委員会で、桜田義孝委員長を委員長席から引きずり降ろした行為である。
テレビなどで何度も映像は流れ、大手新聞各紙にも、桜田委員長が口を封じられている写真が掲載された。

時事通信によると、国会法や衆院規則で懲罰には、
(1)戒告
(2)陳謝
(3)30日以内の登院停止
(4)除名
の4段階があるそうで、今回の内山議員の懲罰は、2番目に重たいものである。

先月30日、羽交い締めにされ、口を封じられた桜田委員長は体調不良を訴え、厚労委員会の場に、国会常駐の医師が呼び出された。
これには、野党の委員から「詐病だ」などという野次が飛んだが、呼吸をする器官を封じられたら、体調不良の一つや二つは引き起こしてしまいそうなものだ。

暴力で採決を阻止しようとした内山議員を問うことに反発したのが、同じ身内の民主党・横光克彦議員だ。
社民党で国対委員長まで務めた横光議員だが、前回総選挙は、社民党を裏切るようなかたちで、民主党から出馬した。
衆院事務局によると、衆議院で委員長の不信任動議が可決されたのは、1948年12月の予算委員長に対するもの以来、約60年ぶりだという。(読売新聞)
横光議員は、何とも不名誉な形で、歴史に名を残す議員となった。見上げた“実績”である。

冒頭の毎日新聞の記事では、約7年前に登院停止の懲罰を受けた松浪健四郎衆院議員(現在自民党)のケースが言及されている。
文字通りの「水かけ論」行為をした松浪議員の行動は、決して褒められたものではない。
しかし、この時の松浪議員の行動について、若干考慮してよいのではないかと思える情報がある。
情報によれば、この時、松浪議員に野次を飛ばしたのは、かの“堀江メール問題”で高名な永田寿康元衆院議員(民主党)で、しかも、当時松浪議員が在籍していた保守党の扇千景党首(当時)と松波議員に関連する、非常に卑猥な野次を叫んだというのである。
もちろん、その野次は事実などではなく、まったくの名誉毀損ものだ。
松浪議員の「水かけ」行動は、決して褒められたものではないが、個人的に私は、同情できる。
対して、「暴力で採決を阻止する」という内山議員の行動、そして、その内山議員の行動を問題視することにむしろ反発する横光議員の行動は、まったくもって理解できない。

“政権交代”という一つのお題目をもってのみで、政策も主義主張もイデオロギーも違う議員たちの集った政党、民主党。
最近では「政権準備政党ならぬ、選挙準備政党」とも言われる民主党であるが、いくら政権交代には数が必要であると言っても、せめて倫理観のある人間を候補、ならびに所属議員としてもらいたいものだ。
ラベル:民主党
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2007年06月14日

さくらパパこそ真の“タレント候補”

打診するほうも、それを受諾するほうも――。

さくらパパ 民主党から参院選出馬 「年金問題に腹立つ」

 民主党の小沢一郎代表は11日昼、鹿児島市内のホテルで、プロゴルファー、横峯さくら選手の父良郎氏(47)とそろって記者会見し、夏の参院選比例代表で良郎氏を同党公認候補として擁立することを発表した。
 「さくらパパ」の愛称で知られる良郎氏の知名度を生かし、無党派層の集票に結びつけたい考え。良郎氏は「政治は生活だと思う。年金問題には腹が立つ。今までは自分のことで精一杯だったが、経済的にも年齢的にも余裕が出てきて、今後はみなさんに還元していきたい」などと意欲を語った。

(12日、毎日新聞)

被選挙権を持つ人は、誰しも選挙に立候補できる。性別、職業等は問わない。
問題となるのは、「国民を代表する人物に値するか否か」だ。
横峯氏の今回の選挙におけるキャッチフレーズは「てげてげチャレンジ」。
「てげてげ」とは鹿児島弁で、「大雑把」「適当」という意味だという。
なぜ、この「てげてげ」を選挙のキャッチフレーズにしたのかと記者に問われると、横峯氏は「深い意味はない」と答えた。
まさに、「てげてげ」である。

なぜ、民主党から出馬したのかと問われると、「自民党に入ったら、年金問題とかで文句を言えないじゃない。仲間だから」と、とても政治の世界に片足突っ込んだはずの人間とは思えない発言。
会見に同席した手塚仁雄前衆院議員から「47都道府県を回ってほしい」と要請された時には、「え?都道府県が47もあるの?オレも47歳。一緒だなあ」と、とても47歳とは思えない発言をしていた。

政策として、横峯氏は、学校改革を訴えた。
「例えば午前中に国語や算数をやり、午後からは専門分野を教えるなど変える部分はたくさんある」と、実に壮大なプランを発表。
会見に同席し、横峯氏の隣に座っていた小沢一郎代表は、この“政策”をどのような思いで聞いていたのだろう。

横峯氏本人は「私はタレント候補ではない。さくらも安定してきたし、世間に恩返しするいい時期。若い人の声を代弁したい」と話している。
本人はそう言うものの、自民党から東京選挙区に出馬する丸川珠代氏ではなく、横峯氏こそ“タレント候補”の称号にふさわしいのではないだろうか。

私に言わせれば、民主党という政党から出馬する時点で、横峯氏の知的レベルが明らかになってしまったと思うが、政治経験もなく、政治に対する思い入れも(おそらく)ない横峯氏に出馬を打診する民主党にも、実に驚き呆れるばかりである。
これで「二大政党制」「政権準備政党」などと自称しているのだから、厚顔無恥も甚だしい。
前原誠司前代表らのグループが、今なお「小沢民主党」に在籍していることに強い違和感を覚えてならない。前原氏ら自身も、自身がこんな政党に所属していることに、プライドを傷つけられる思いだろう。

対する自民党は11日、中山恭子・拉致問題担当首相補佐官(67)の参院比例代表での公認を決めた。
中山氏の夫は、「ゆとり教育」是正をぶち上げたことで有名な中山成彬元文科相。
かねてから「選挙の切り札」的存在として、出馬を噂されてきたが、自民党に逆風が吹いているとも言われる中で迎える今回の参院選で、ついに出馬ということになった。
拉致問題を重要課題と位置付ける安倍政権が迎える、初の国政選挙において、拉致問題にこれまで取り組んできた中山氏の出馬は、ある意味シンボリックであると言える。

段々と近づいてきた参院選。
国会の会期延長の可能性も残される中で、自・民それぞれの“目玉”候補2名が登場したわけだが、どうも私には、“目玉”と言えども、横峯氏と中山氏とでは“目の色”が違うような気がしてならない。
ラベル:安倍内閣 民主党
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2007年06月07日

いつまでも、どこまでも「政治問題」

「靖国問題」が存在したのが、遠い昔のように思える。

李登輝前総統 靖国神社を参拝 「個人的な事情」と説明

 来日中の台湾の李登輝前総統(84)は7日、東京・九段の靖国神社を参拝した。靖国神社には旧日本軍人としてフィリピンで戦死した2歳上の兄・李登欽氏が祭られており、李氏は以前から参拝を希望していた。中国は李氏を「台湾独立分子」と非難し、総統退任後初の東京訪問に抗議していた。8日にドイツで安倍晋三首相と胡錦濤国家主席による日中首脳会談が予定されており、その直前の靖国参拝によって中国は日本への反発姿勢を強めるとみられる。
 参拝前、李氏は「62年前に(台湾南部の)高雄で兄と別れて以来、私の家には遺髪も遺骨も位牌(いはい)もない。家族の一人として兄への尊敬の気持ちから参拝しなければならない」と説明。「(参拝は)全く個人的な事情であり、政治的にも歴史的にも何も考えないでほしい」と強調した。参拝後、「62年ぶりに兄に会えて涙が出ます」と報道陣に語った。
 高齢な李氏は周囲に「最後の訪日となるかもしれない」と漏らしていた。また、「中国が靖国問題での批判の矛先を私に向けるのはおかしい」などとも述べていた。
 李氏は小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝について雑誌のインタビューに「多くの若者たちが国のために命をささげたにもかかわらず、この国のトップがそれに目を向けないのは大きな問題だ」などと述べ、参拝を支持する姿勢を明確にしていた。
 今年4月に訪日した中国の温家宝首相は「台湾」と「靖国」の二つの問題で、日本政府にクギを刺していた。李氏が訪日した5月30日、中国国務院台湾事務弁公室の李維一報道官は「台湾独立分子に活動の舞台を提供しないことを希望する」と日本をけん制していた。
 靖国神社へは05年4月、李氏を精神的指導者とする台湾政党「台湾団結連盟」の蘇進強主席(当時)が所属議員とともに参拝している。【鈴木玲子】

(7日、毎日新聞)


参拝には曽文恵夫人や、作家で、保守派の論客として有名な三浦朱門・曽野綾子夫妻、西村真悟衆院議員らが同行した。
靖国神社側によると、李氏は本殿で昇殿参拝、遺族として参拝したという。
曽野さんによると、李氏は靖国側の指示に従い、おはらいを受けた後に本殿で一礼したとのことだ。

初サミットでドイツを訪問中の安倍首相の留守を預かっている、塩崎恭久官房長官は、「私人としての行動で、政府としてコメントすることはない」と述べている。

中国側は、当然のことながら李氏の参拝に反発したが、ようやく“氷の解けてきた”日中関係に亀裂を持たせるべきほどのものでもない、と考えているというのが本音だろう。

亡き兄の魂の眠る神社に訪れたい、というのは、人間として当然の感情だろう。
それに反発しているのは、“台湾独立派”を忌み嫌う特定の一国に過ぎず、靖国参拝を「政治問題」と位置付けているのも、特定の一国(ないしは二国)に過ぎない。
思えば日本は、靖国問題を「政治問題」とする国々の論調に押され、メディアも含めて、靖国問題を騒ぎすぎた。
「日本人が、戦没者をどう追悼するか」ではなく、「近隣諸国がどう反応するか」という問題なのだと、勝手に仕立て上げた。日本人自ら、仕立て上げた。

神社を参拝することが「政治問題」ならば、日本人はなんと政治活動の好きな民族なことか。もう少し選挙の得票率が高くてもいいようなものだ。
「いや、靖国神社は普通の神社とは違う」と言うならば、それは、靖国神社を特別視しすぎである。
現在、靖国神社は、政界とはまったくもって無縁とされる存在であり、軍国主義を浮上させるほどの影響力を持ち得ない。政治問題になりようがないのである。

いつから中国は、こんなに小手先の政治をしだすようになったのか。
何しろ四千年の歴史を持つ国である。中国がなければ、今日の日本はありえなかった。そもそも、日本という国が存在し得なかっただろう。
日本には、中国以上の言論の自由がある。言論の自由とは、思想の自由であり、多種多様な価値観を手にするチャンスと比例する。

いつまでもヒステリックに騒ぎ続けるから、中国が一昔前のパフォーマンスをしているように感じられる。
圧倒的なスケールで、もう少し冷静な、包容力のあるような外交姿勢を打ち出さないと、今時の日本人はだませない。
日本の側から「60年前のことは忘れろ」とは言わない。ただ、中国には、もう少し“大人”になってほしいのだ。
ラベル:日中関係
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2007年06月01日

意外にありえる“トンプソン・フィーバー”

<米大統領選>俳優で元上院議員のトンプソン氏、出馬へ

 【ワシントン及川正也】米CNNテレビなどは30日、米俳優で元上院議員のフレッド・トンプソン氏(64)が6月1日に08年大統領選に向けた準備委員会を正式に発足させ、出馬に向けた動きを本格化させると報じた。7月上旬に正式な出馬表明を検討しているという。共和党保守派で、ルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長(63)ら穏健派に不満を持つ保守層を引き付ける求心力があるとされる。同党の大統領選候補の指名獲得レースは混戦模様となりそうだ。
 トンプソン氏は、米人気ドラマ「ロー&オーダー」の検事役の俳優として知られる。ブッシュ政権のイラク政策を支持し、銃規制や後期人工妊娠中絶、同性婚に反対で、保守派の支持が厚い。出馬表明前にもかかわらず世論調査ではジュリアーニ氏やマケイン上院議員(70)に次ぐ人気を誇り、経歴と重ね合わせて「レーガン元大統領の再来」とも言われる。
 連邦検事補などを務めた後、ハワード・ベーカー元上院議員(前駐日大使)の選挙責任者に就任。ウォーターゲート事件では調査委員会の弁護団の共同団長も務めた。ハリウッド俳優に転身し、「レッド・オクトーバーを追え!」などに出演。ゴア前副大統領のホワイトハウス入りに伴う上院補選(テネシー州)で当選し、94年から03年まで務めた。

(5月31日、毎日新聞)


投票まで、あと1年半を切った米大統領選であるが、少なくとも大統領選を見る限りは「男社会」であり「白人優位社会」であるアメリカに、異変が起きている。

言うまでもなく、それは、ヒラリー・クリントンという「女性」候補と、バラク・オバマという「黒人」候補の2人が、非常に高い支持を受けているということだ。
2人とも民主党所属の上院議員だ。政治キャリアも浅い。

対する共和党は、ルドルフ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長、ジョン・マケイン上院議員らの支持が高いが、ほとんど支持率に差はないといえるもので、そんな中に登場したのが、今回のトンプソン元上院議員だ。

ネオコンでない、古きよきアメリカを換気させる“真正保守”政治家の大統領選登場は、旧来の共和党支持者にとっては、待ち望んだ事態であろう。
ジュリアーニは人工妊娠中絶や、同性婚にも容認姿勢で、かなりリベラルな面が目立つ。
たしかに、「保守」を掲げるマケインや、ロムニーといった候補もいる。しかし、マケインはあくまで大統領選候補になることを目的としていて、「保守政治家」をアピールしているのも、単に保守層の票を取り込みたいからだ、という姿勢が露骨だ。
ロムニーはいつの間にか「中道」から「保守強硬」に転じた人物で、共和党内でも、いまいち信頼が置けないと見られている。

トンプソンが、ジュリアーニに次ぐ、共和党内支持率2位に浮上することは、意外と難しいことではない。
「ニューズウィーク」4月18日号では、ジョナサン・オルター記者が『猛烈なブッシュ批判で鳴らしたマケインの「勝利」の条件は、皮肉なことにブッシュ政権の米軍増派計画が成功することだ』と書いている。
マケインは、ブッシュ大統領任期が絶頂の時には大統領をこき下ろし、支持率が凋落している現在は、大統領を擁護している。ブッシュ政権とマケインは、運命共同体というわけだ。
ブッシュ政権が派手に「成功」しなければ、マケインもいまいちぱっとしないまま、空気の読めない政治家としてフェードアウトしていかざるを得ない。
合わせて、「保守」政治家として、ロムニーとトンプソン、どちらを支持するかを問うた時に、ロムニーがさほど支持を集められなかったら、トンプソンが「党内支持2位」に躍り出る可能性もある。
その勢いのまま、“トンプソン・フィーバー”(トンプソン人気)を全米に巻き起こし、「党内支持1位」にまで上り詰めてしまう可能性も無きにしも非ず、ということだ。

トンプソンがどれだけ、共和党内で支持を得られるかは、現時点では未知数だ。
ただ、民主党では「ヒラリーとオバマ」という2枚看板が大きく輝いている時に、共和党のほうの「顔」がはっきりしない、というのは、共和党にとっては痛手である。
「共和党の誰が大統領になるか」といった問題ではなく、「共和党から大統領が生まれるかどうか」といった、切実なる問題なのだ。
posted by Author at 23:05| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | 2008米大統領選 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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