2007年09月06日

「踏み絵」さえ踏ませない 保身政党の“裏切り”行為

安倍晋三は、これからの政治を変える男だ。――さまざまな意味で。

<平沼赳夫氏>自民復党へ 麻生幹事長らが環境整備

 一昨年の郵政民営化に反対して自民党を離党した平沼赳夫元経済産業相が5日、復党する見通しになったのは、郵政民営化に賛成する誓約書の提出を同氏に求めて復党を拒んだ中川秀直前幹事長が辞任したのに加え、平沼氏と個人的にも親しい麻生太郎幹事長と与謝野馨官房長官が、復党に向けて共同歩調を取ったからだ。安倍改造内閣の「脱小泉(純一郎首相)」路線が象徴的に表れた。ただ突然、手をさしのべるようなやり方は世論の反発も招きかねず、安倍晋三首相は慎重にタイミングをうかがっている。
 麻生幹事長は4日、平沼氏に電話で復党を了承する意向を伝えた。同氏は「地元後援会の気持ちを最優先にして考えたい」と応じたという。
 こうした麻生氏の動きを側面支援しているのが、東京・麻布高校時代に平沼氏と同級生だった与謝野長官。拉致問題担当でもある与謝野氏は5日、拉致議連会長の平沼氏の事務所を訪ね、復党機運を盛り上げた。
 安倍首相も昨年、個人的に親しい間柄である平沼氏を復党させようと模索しながら、中川前幹事長に押し切られた経緯があり、中川氏の辞任により復党への環境整備が整ったという事情もある。
 平沼氏としても参院選大敗や相次ぐ閣僚辞任で、苦境にある首相を支えたい思いがある。昨年12月、脳梗塞(こうそく)で入院したが、体調も回復。1日に開いた地元・岡山県津山市での後援会会合でも「誓約書を書かなくてもいいという話になりつつある。皆さんに相談して身の振り方を決めたい」と意欲をにじませた。
 ただ、平沼氏は復党の手順にこだわっており、城内実前衆院議員ら落選した郵政造反組の復党も強く求める意向だ。周辺に「自分としては(誓約書を拒否し)すでにスジは通した。今は(落選組に対する)自民党の対応を待つ立場だ」と語っている。【坂口裕彦】

(6日、毎日新聞)

安倍晋三首相(自民党総裁)と麻生太郎幹事長による“AA体制”が発足し、いよいよ私が最も懸念する問題が急浮上してきた。

それは、郵政造反組の復党問題である。

昨年10月、安倍首相は、野田聖子元郵政相ら12名の“郵政造反組”衆院議員を復党させた。
中川秀直幹事長(当時)は「郵政民営化に賛成する」との姿勢転換の誓約書を書かせることで、12名の“出戻りザムライ”に「踏み絵」を踏ませたが、平沼赳夫元経産相のみが誓約書への署名を拒否。平沼氏は復党できなかった。

今回、麻生幹事長はついに「踏み絵」さえ踏ませずに、平沼氏を自民党に復党させようとしているらしい。
2005年9月11日投開票された「郵政総選挙」では、小泉純一郎首相(当時)が率いる「郵政民営化賛成政党」=自民党が、歴史的大勝を収めた。
これは「郵政民営化にYES」という民意がストレートに現れた結果のものであることは疑いようがないものだし、「郵政民営化にYES」であるはずの自民党が依然「郵政民営化にNO」である平沼氏を復党させるとは、自己矛盾にもほどがある。

平沼氏が郵政改革にすら同意できない保身政治家であることについては論を待たないが、しかし平沼氏は、安倍首相にとっては政治信条が近い保守主義政治家でもある。
郵政解散時には「私こそが真性保守」と、『真性自民党』結党計画すらデザインしていた平沼氏であるし、安倍首相の“盟友”として名前が挙がるのは結構なことだが、相変わらず「郵政NO」の平沼氏を自民党に復党させてしまっては、一昨年の総選挙で小泉前首相が衆院を解散した“大義”が成立しなくなってしまう。

ついこの間までの「改革」という風はどこへ行ってしまったのか。これでは保守政党ではなく、保身政党である。
そして何より、「復党を許し、出戻りを許す」という体質そのものこそが自民党の元来の悪い点であるし、単なる「議員の会派移動」ではすまない、「郵政総選挙」で自民党に票を投じた国民への“裏切り”行為だ。
いわば、安倍首相・麻生幹事長は「郵政総選挙」での“民意”を否定するということになる。


さて、郵政「落選組」の復党問題についてであるが、これについては、とてもでないが、現在、冷静に文章を書ける状態にない。どうしても感情的になってしまうのだ。
平沼氏が城内実、小泉龍司両元衆院議員ら「落選組」の復党を求めているという話を聞くと、私にとっては「誰が敵か」かがよく見えて非常に結構であるが、はたして自民党は城内氏らを復党させてしまってよいものだろうか。
安倍首相は城内氏の“兄貴分”的存在であるし、2005年の郵政関連六法案採決の際にも、安倍首相が城内氏に対して「賛成票を投じるよう」説得する場面を記憶しておられる方もいるのではないかと思う。
それでも“信念”だか何だか知らないが、手前勝手な保身政治家としての都合でもって郵政改革に反発した彼を復党させたら、自民党はまさに“ゴキブリどもの巣”以下のものになる。

城内氏批判は後日、改めてしっかりと書かせていただきたい。
私は彼の初出馬(2003年11月)の際の事情をよく知っているが、私は、彼の名前も顔も政策も髪形もしゃべり方も、生理的に受け付けない。
そういう城内氏と極めて密接な関係にある安倍首相を、このブログでは比較的高評価しているのは、まさに自分に向けての皮肉以外の何物でもないが、事実、私は安倍内閣の通常国会における実績を評価している。
教育基本法の改正、防衛庁の「省」昇格、国民投票法の成立、海洋基本法の施行など、安倍内閣は実にたくさんの功績を挙げている。これまでの内閣いくつか分もの実績を挙げたといえるだろう。
しかし、個人的なことを書くとすれば、城内氏と密接な関係にある安倍首相には、政治家としての魅力を一切感じない。

「日本文化チャンネル桜」社長の水島聡氏は、月刊誌『WiLL』2007年6月号で「許せん!『報道2001』の情報握りつぶし」という大変素晴らしい文章を書いている(連載「テレビ捜査班」内において)。
私はかねがね水島氏には敬意を感じているのだが、城内氏を同局のキャスターにしているのはいただけない。私が同局をうさんくさいものだと思う理由は、「城内氏のキャスターへの起用」という点にある。


安倍首相が仮に平沼氏らを「踏み絵」なしで復党させることは、自分自身が小泉改革の継承者ではなかったとカミングアウトすることだ。
国民への“裏切り”であり、これまでの小泉改革を全否定することと同意である。

同時に、安倍首相は真の意味での「小泉改革の継承者」かもしれないとも思う。
小泉前首相の公約の一つが「自民党をぶっ壊す」であったことを思い出してほしい。
改革のポーズだけ見せて、結局は保身政治家の集合体であったということを露呈させることで、安倍首相は真に「自民党をぶっ壊」そうとしているのではないか。だとしたら、彼がこれまで城内氏と故意にしてきたのもムダにはならなかったということになる。

これがあの安倍晋太郎の息子なのかと思うと、つくづく残念だ。

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posted by Author at 20:38| 東京 ☔| Comment(4) | TrackBack(0) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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