2007年09月17日

杉村太蔵“one of them”からの脱皮作戦

結婚して、子供も生まれた。次の選挙じゃ落ちられない。

<杉村太蔵議員>総裁選びに反発し「チルドレン塾」を退席

 小泉チルドレンと呼ばれる自民党の当選1回衆院議員らでつくる選挙塾「新しい風」(会長・武部勤元幹事長)は16日、党本部で総裁選対応を協議した。このうち、メンバーの杉村太蔵衆院議員が「(武部氏らの方針に)ついていけない」と途中退席。武部氏は杉村氏に「もう来るな」と怒ったという。

 杉村氏は記者団に「こんなことで総裁が決まるなら自民党は終わる」と述べた。総裁選で小泉純一郎前首相の再登板を模索していた同会が、福田康夫元官房長官支持でまとめようとすることに、反発したとみられる。

(17日、毎日新聞)

私はかねてから、「杉村太蔵 本当はしたたか」説を展開してきた。

今はなき日曜夜の情報番組『スタ☆メン』(フジテレビ)で、爆笑問題の太田光氏やパンツェッタ・ジローラモ氏が「杉村氏はバラエティー的対応の出来る政治家」だと言及した際には、その意見に同調した(2005年10月03日)。

杉村氏が参院神奈川補選で“ビラ配り”を志願した際には、「杉村氏はメディアをリードして政治活動を展開する政治家」だと、やや過大評価気味に記述した(2005年10月08日)。

時は流れ、2007年9月。
杉村太蔵の「したたか」なる政治家的な動きを、またもや伺えるニュースが飛び込んできた。

杉村氏が今回、「新しい風」の会合を途中退席したのは、「派閥単位で総裁が決まるのはおかしい。議員各自が気に入る候補を支持すべきだ」との理由からだ。
この考え方自体には、私も深く共感する。「派閥力学」なる言葉は、小泉純一郎前総裁の下、自民党から消えてなくなったはずだ。
今回の杉村氏の意見は、まったく正論だと思う。

しかし、このブログで散々ご紹介している言葉を思い出してほしいのだが、政治家の発言にはすべて“ウラ”や“思惑”があり、木村太郎氏の言葉を借りれば、我々は「政治家ことば」を判読せねばならないのだ。
当然、杉村氏の今回の動きにも、表から見ただけでは分からない“ウラ”の意図がある。

まず、興味深いのは、杉村氏が決して「福田総裁」実現に反発して会合を途中退席したのではなく、「派閥単位で総裁が決まる」というプロセスに反発したという点である。
これは、派閥解体という「小泉イズム」の真の継承者は自分だとのアピールを党内外に向けて行うことになる。
事実、杉村氏の言っている「派閥単位で総裁が決まるのはおかしい」との言葉は、いかなる政治家も反発できない性質のものだ。世論も杉村氏の意見に同調するだろう。
「福田総裁」実現を否定し「麻生総裁」実現を肯定したわけではなく、単に総裁が決まる過程がおかしいと言っているのだ。

そして、今回の杉村氏の行動は、「福田総裁」「麻生総裁」どちらが現実のものとなっても、プラスに働く効果を持つ。

大方の予想通り「福田総裁」が実現すれば、「福田氏支持」で事実上まとまった“小泉チルドレン”の中での「問題児」として、杉村氏はインパクトを残す。
小泉前首相の威光を借りた、事実上の“武部派”である「新しい風」に所属し、武部氏の指示に従うだけでは、選挙区を持たない“小泉チルドレン”としては存在感が埋没してしまう。
今後も議員生命を維持したいと考えるのであれば、何としても「小泉イズム」を引き継ぐ真の継承者として、党内外に対して、存在感をアピールしておかねばならない。
福田氏支持勢力としての“小泉チルドレン”における“one of them”になることを避け、福田氏に対して一定の距離を置く姿勢を示すことで、政治家としての存在感を高める。
しかも、世論の風向きが“反福田”に流れた時でも、他の“小泉チルドレン”らとは違い、杉村氏は「『福田首相』は、派閥単位で形成された首相じゃないか」と言うことが出来るようになる。
今回の杉村氏の行動は、そういうことを見越してのことではないだろうか。

次に、麻生氏が大逆転をして「麻生総裁」が実現したケースを考えてみよう。
今回、総裁の決まるプロセスがおかしいといって会合を途中退席した杉村氏だが、見方によっては、「福田総裁」にNO、「麻生総裁」にYESと言っているとも受け取れる。
「麻生総裁」が現実のものとなった時に、「福田氏支持」でまとまっていた“小泉チルドレン”の中で、ただ一人、麻生氏を支持していた人材だということで、杉村氏は「麻生総裁」に一目置かれる存在となる。
麻生氏は平沼赳夫元経産相の“復党”に積極的な姿勢を示しており、普通の見方をすれば、“小泉チルドレン”にとって「麻生総裁」は避けがたい事態だと思うかもしれない。
しかしこれは、逆に言えば、仮に「麻生総裁」が実現した場合、杉村氏は麻生氏に対して「恩」を売ったということになるということだ。
「『恩』(麻生氏支持)を『仇』(平沼氏復党)で返すのか」と言って、杉村氏は麻生氏に「整合性が取れていない」と迫ることが出来るのである。
世論も「せっかく麻生さんを応援したのにね」ということで、杉村氏に同情する意見が大勢を占めてくるかもしれない。

「福田総裁」の下であれ、「麻生総裁」の下であれ、杉村氏は“小泉チルドレン”の中から脱皮した存在として、時の総裁・執行部に一目置かれる存在となれるかもしれない。
少なくとも、「新しい風」の一所属議員として他の“チルドレン”と同じ行動をしていては、次期衆院選では埋没してしまう。
杉村氏の高度な、しかし、失敗した場合には取り返しの付かなくなる「賭け」を、私は感じる。



<余談>

平日の朝は普通忙しいので、祝日である今日、久々に朝のワイドショーを見てみた。

『とくダネ!』(フジテレビ)の小倉智昭キャスターはさすがの安定感である。質問や言い回しも、理路整然としている。
スタジオゲストは、自民党の石原伸晃政調会長と、テレビ東京の参院選特番で面白い“政治シミュレーションドラマ”を書いてくれた、政治ジャーナリストの上杉隆氏。石原氏も上杉氏も大変落ち着いた方なので、スタジオ全体も落ち着いている。

それに比べて、『スーパーモーニング』(テレビ朝日)のほうはどうだろう。
ワイワイガヤガヤ、コメンテーターもスタジオゲストの国会議員たちも、ただただうるさいだけで、とてもじゃないが視聴に耐えない。
特にコメンテーターの某氏はうるさく、騒がしく、偽善者ぶっていて、見ているだけで吐き気がした。
いつもは落ち着いているはずの三反園訓氏(テレビ朝日コメンテーター)も金切り声を上げている。これでは見る気がしない。

とりあえず言えることは、テレビ朝日『スーパーモーニング』に品性はないということだ。

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posted by Author at 10:06| 東京 ☀| Comment(3) | TrackBack(0) | ポスト安倍スペシャル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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