2008年11月29日

麻生首相を「広報面」で支える島村氏と「政策面」で支える谷垣氏

首相の「失言問題」を誰がどうバックアップするか――。麻生首相本人が動き出した。

<総裁特別補佐>島村元農相起用へ…麻生首相

 麻生太郎首相は28日、自民党のスポークスマンとして報道機関に対応する総裁特別補佐職を新設し、島村宜伸元農相を起用する人事を内定した。首相の発言に与党からも「説明不足」などと批判が出ていることを踏まえ、政権の広報機能を強化する。島村氏は広報活動全般の企画にも携わる予定。07年と今年の総裁選では麻生氏を支持していた。

(29日、毎日新聞)

麻生太郎首相(自民党総裁)の「総裁特別補佐」という役職が新設され、それに島村宜伸元農水相が就任することが、昨日(28日)、内定した。
島村氏は1976年の衆院選で初当選。東京16区選出で、麻生首相と同じ学習院大学の出身である。現在は衆院懲罰委員長を務める。
2005年8月の「郵政解散」時には、当時の小泉純一郎内閣で農水省を務めていたが、衆院解散への閣議署名を拒否し、辞表を提出。手続き上、小泉首相(当時)に「罷免」された。ちなみに、後任の農水相には一時的に小泉首相が兼任し、同月11日には、当時農水副大臣だった岩永峯一衆院議員が任命された。

2006年12月、亀井派の後継問題でなかなか後継体制が決まらなかったが、「伊吹文明会長―島村名誉会長」という体制で決着し、伊吹派となった。
2007年3月、伊吹派を退会。派内における伊吹会長との主導権争いが原因とみられる。
2007年総裁選(福田康夫氏が当選)、2008年総裁選では、無派閥議員として麻生氏を支持。推薦人に名を連ねる。
現在は「みんなで靖国神社を参拝する国会議員の会」会長、中川昭一財務・金融相が会長を務める「真・保守政策研究会」議長を務めるなど、保守派・タカ派議員として知られている。

テレビ討論番組などへの出演も多く、分かりやすく明瞭な発言姿勢には定評がある。
麻生首相が会長を務める「為公会(麻生派)」のメンバーの中にも、中馬弘毅元行革担当相、鴻池祥肇元防災担当相などメディアへの出演機会が多い、「情報発信型」の議員はいる。
しかし、鴻池氏は麻生首相同様、自身の「発言問題」が議論を呼ぶこともしばしばあり、麻生首相としては、自身の発言の“回収役”としては、島村氏が適任であると考えたようだ。
前回のエントリでは、河村建夫官房長官が麻生首相の発言を補正する役割を担うと宣言した、と記述したが、麻生首相としては、補佐役が河村氏だけでは心もとないと考えたのだろう。
党執行部は「総裁の考えをより広く知ってもらい、国民の誤解を解いてほしい」としており、求心力低下が指摘される麻生首相の政権運営を、メディア対策を中心とした広報面で支える狙いがありそうだ。 

さて、今月26日、自民党では麻生首相肝いりのプロジェクトチーム(PT)の会合が、相次いで開かれた。
「道路特定財源の一般財源化に関するPT」の会合では、座長・谷垣禎一元財務相が「確保するものは確保しなければいけない。暫定税率も当面維持すべきだ」と述べ、暫定税率を3年程度維持する方針を改めて表明した。

ippanzaigenka_pt_20081126.jpg(C)毎日新聞
26日の「一般財源化PT」会合の模様

同じく自民党の「無駄遣い撲滅PT」(座長・園田博之政調会長代理)の幹部会では、来年度予算編成で一般歳出から数千億円の削減を目指すことを確認した。
党幹部は「選挙を控え、多くの議員が目の色を変えて予算獲得に動いている」と省庁や議員らの抵抗に頭を抱えている。
昨日(28日)には、国家公務員のレクリエーション経費の原則撤廃や、公益法人への支出の3割削減、防衛装備品調達の効率化などが盛り込まれた、行政の無駄削減対策案をまとめた。
数値目標の設定は見送られたが、数千億円のスリム化が可能とみられる。
園田氏は「(平成)21年度予算の重点化枠3,300億円は予算削減により確保したい」と語り、社会保障などへの活用を目的に、概算要求基準で設定された重点化枠に、無駄撲滅で浮いた予算を充てる考えを示した。

一方、自民党の「郵政事業に関する検討・検証PT」(座長・中谷元元防衛庁長官)も26日、初会合を開いた。
郵政民営化関連法には来年(2009年)3月をめどに民営化の進め方を見直す規定があり、各事業会社の経営やサービス状況などを精査し、来年1月に結論を出す。

来年に予想される次期衆院選を控えて、自民党内では、広報面・政策面双方で、議員らの動きが加速している。
島村氏が今後どこまでメディア対策などで露出が増えるか、あるいは影響力を持つかは未知数だが、今回の総裁特別補佐職新設からは、麻生首相が「一枚看板」ではなく、“TEAM麻生”の演出姿勢に舵を切ったかのようにもみえる。

麻生首相の「発言問題」をめぐっては、首相本人も苦労している面があり、島村氏が広報面でそれを支える形だ。
政策面においては、谷垣氏、園田氏、中谷氏といった「宏池会(古賀派)」のメンバーを座長に据えた党PTが麻生首相(総裁)を支える。
これらのPT座長人事からは、基本的には麻生首相の谷垣氏への信頼感が垣間見れる。園田氏も中谷氏ももともと旧谷垣派議員で、谷垣氏に非常に近い。麻生首相は、「宏池会」といっても、古賀誠選対委員長系の議員ではなく、谷垣氏系の議員を信頼していると言えそうだ。

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2008年11月28日

浮き足立つ自民党内… “派閥幹部 VS 若手・中堅議員”の図式も

麻生首相流のリーダーシップと国民対話を実現することで、初めて小沢氏の格上になれる。

<自民党>各派閥から苦言・注文相次ぐ 首相の求心力に陰り

 27日の自民党の各派閥の会合で、幹部らから麻生太郎首相に対する苦言や注文が相次いだ。次期衆院選への影響を懸念する中堅・若手議員も首相を公然と批判。政府・与党は同日、今国会の延長を決めたものの、首相の求心力の陰りで先行きは不透明感を増しており、自民党内は浮足立った落ち着かない状況が続いている。【中田卓二】

 「国民目線とずれないこと、決められた法律を守りながらぶれないことが大事だ」

 中川秀直元幹事長は町村派の会合で強調した。首相が郵政株式売却凍結に言及し、党内で郵政民営化見直しの機運が高まったことへのけん制だった。

 伊吹文明元幹事長は伊吹派会合で「政策の良しあしより、二転三転しないことだ」と、定額給付金などをめぐる首相のぶれを批判。高村正彦前外相も高村派会合で「首相が先頭に立って国民に説明しないと、今の逆風は乗り切れない」と首相に奮起を促した。

 政策以上に党内の懸念材料になっているのが首相の発言。27日も相次ぐ医療関係の失言が問題視された。

 山崎拓前副総裁は山崎派の会合で「沈黙は金。放言でメッキのたぐいがはがれないように、いろんなことは言わずに頑張ってほしい」と皮肉をたっぷり交えながら指摘。町村信孝前官房長官も27日夜のBS11デジタルの報道番組「インサイドアウト」に出演し、「首相の一言は重い。関係省庁、閣僚、官邸スタッフで方向感覚をそろえたうえで、首相がモノを言った方がいい」と論評した。

 とはいえ、安倍晋三元首相と福田康夫前首相が相次いで1年で退陣しただけに、当面は首相を支えていくべきだというのが党内の共通認識。これが「首相に正しいことを言い、どんどん突き上げないと、自民党に未来はない」(山本一太参院議員)などと、中堅・若手議員を勢いづかせる要因にもなっている。

(28日、毎日新聞)

河村官房長官 首相の放言問題「釈明や説明は私が…」

t_kawamura_20081128.jpg(C)毎日新聞

 「本意を理解していただく努力は私がしないといけない」−−。河村建夫官房長官は27日の記者会見で、麻生太郎首相の放言が相次いでいることに関し、女房役の官房長官として「釈明」に努めていく姿勢を示した。

 首相が20日の経済財政諮問会議で、高齢者医療費の増大は患者に責任があると受け取れる発言をしたことに関する質問が続出。河村氏は「健康は自分で努力する部分もある。そういうことも大事と言った」などと説明に追われた。

 その一方で「できるだけ釈明や説明をしなくて済むにこしたことはないが、首相はああいう性格。いろんな発言はこれからもあるだろう」と語った。【坂口裕彦】

(28日、毎日新聞)

昨日(27日)、自民党の各派閥は会合を開き、派閥幹部らからは麻生太郎首相(自民党総裁)への意見・注文の声が相次いだ。
安倍晋三元首相―福田康夫前首相と、2代連続で任期途中で辞任する首相を送り出した党内としては、党内一丸となり麻生首相を支える姿勢で基本的に一致している。
しかし、来るべき総選挙への影響を懸念する中堅・若手議員が、首相を公然と批判。
それに対し、派閥幹部が“圧力”をかけるような発言をするなど、党内の様子は浮き足立ったものとなっている。

党内最大派閥・町村派の会合で、中川秀直元幹事長は「国民目線とずれないこと、決められた法律を守りながらぶれないことが大事だ」と語り、麻生首相が郵政株式売却凍結に言及し、郵政民営化見直し議論を加速させていることを暗に批判した。
伊吹派の会合で、伊吹文明元幹事長は「政策の良し悪しより、二転三転しないことだ」と、定額給付金などをめぐる麻生内閣の“迷走”を批判。
高村派の会合では、高村正彦前外相も「首相が先頭に立って国民に説明しないと、今の逆風は乗り切れない」と、麻生首相に奮起を促した。

政策以上に党内の懸念材料になっているのが「麻生首相の発言」。
この日も、相次ぐ医療関係の“失言”が問題視された。

山崎派会合で、山崎拓前副総裁は「沈黙は金。放言でメッキの類(たぐい)がはがれないように、色んなことは言わずに頑張ってほしい」と皮肉たっぷりに発言。
町村派会長である町村信孝前官房長官も、この日夜のBS11デジタルの報道番組『インサイドアウト』に出演し、「首相の一言は重い。関係省庁、閣僚、官邸スタッフで方向感覚を揃えた上で、首相がモノを言った方がいい」と論評した。

麻生首相の「2次補正予算案」への対応や、定額給付金の動きを批判しているのが、党内の若手・中堅議員だ。
渡辺喜美元行改担当相ら中堅・若手グループが政府・与党の方針に反対して、2008年度第2次補正予算案の今国会提出を求めている。
山本一太参院議員も「首相に正しいことを言い、どんどん突き上げないと、自民党に未来はない」と発言するなど、非常に勢い付いている模様だ。

こうした若手・中堅の動きに対して、自民党各派の総会では批判的な意見が相次いだ。
伊吹派の伊吹元幹事長は、民主党が「2次補正予算案」関連法案の審議を引き延ばせば、これが廃案に追い込まれる可能性があるとして、「民主党は(成立を)約束していないから危ない」と指摘。
会合の出席者からは「(渡辺喜美氏らは)そういうことも知らずにやっ
ているのか」
と非難の声が上がった。
また、山崎派の山崎前副総裁は「党で決定したことには従うべきだ」と自制を要求。
二階派の泉信也事務総長(参院議員、元国家公安委員長)は「余計なさざ波を立てないように…」と注意喚起した。

麻生首相の発言問題について、麻生内閣における首相の“女房役”からは「バックアップ宣言」が飛び出た。
河村建夫官房長官は、昨日(27日)の記者会見で「本意を理解していただく努力は私がしないといけない」と語り、麻生首相の放言が相次いでいることに関し、女房役の官房長官として「釈明」に努めていく姿勢を示した。

その一方で、「できるだけ釈明や説明をしなくて済むにこしたことはないが、(麻生)首相はああいう性格。色んな発言はこれからもあるだろう」と未来の困難を予測した。

町村派に所属する河村氏は、官房長官就任会見で自分でも語ったように、ある意味“超地味系議員”。
党・内閣における麻生首相の「一枚看板」ぶりを演出するための引き立て役として任命された格好だが、河村氏が官房長官に就任した背景には、森喜朗元首相(町村派名誉会長)による、麻生首相への働きかけがあった。

もともと河村氏は根っからの「文教族」。文科相時代には、俳優の柳楽優弥さんが映画『誰も知らない』で国際映画賞を受賞した際に、柳楽さんと会談し、柳楽さんから「優しそうな印象」だと言われたこともあった。
「文教族」のドンである森元首相と結び付きがある河村氏を、森元首相が、同じく「文教族」である麻生首相に官房長官候補として推薦した。

麻生首相の姿勢や発言をめぐり、揺れる政府・党内。
基本的に麻生首相を支持する姿勢で党内が一致していることに変わりはないが、若手・中堅議員からは麻生首相に反発する声が出ており、派閥幹部はそうした意見を抑えることができていないのが現状だ。
安倍元首相は派閥幹部にとって「遠い」人物で、福田前首相は若手・中堅議員にとって「遠い」人物であった傾向がある。
これと比較して麻生首相は、これまで「一匹狼」的に永田町を生きてきた。麻生派議員以外にとってはなじみの薄い存在だ。

小泉純一郎元首相も同じように「一匹狼」的に生きてきた政治家だったが、小泉元首相と麻生首相とを比較した際、ブレーンのメディアとの関係の違いなども挙げられるが、明らかに違うのは世論との密着度だ。
麻生首相は「リーダーシップ」を標榜する政治家でありながら、肝心のそれを発揮できていない。小沢民主党との対決姿勢の提示も今ひとつだ。
“異端のお坊ちゃま”として60年以上生きてきた麻生首相に、小泉的なリーダー像を求めるのには無理がある。かといって、安倍元首相が一時模索していた「調整型」の首相を演じるのも無理だろう。

麻生首相が個人のキャラクターを最大限に発揮するためには、「ねじれ国会」現象を上手く利用して、小沢民主党との対決姿勢を極めて明瞭に、鮮明にすることだ。
民主党・小沢一郎代表への“闘争心”をむき出しにし、「麻生か小沢か」という選択肢を国民世論に提示することだ。
しかし、小沢代表へのネガティブ・キャンペーンだけでは麻生首相に勝ち目はない。麻生首相が自身の発言により留意する必要もあるが、それ以上に、「この人になら日本を引っ張っていく力がある」という点を演出する必要性がある。

麻生首相の記者を小馬鹿にしたような態度(ふざけた質問をする記者も悪い)が一般的に受け入れられるものなのかどうかはよく分からないが、麻生首相のキャラクターを国民に認知してもらうためには、腹を割った麻生首相と国民の直接対話が必要だろう。
首相官邸ホームページ・メールマガジンの「太郎ちゃんねる」などもそのための有効な手段の一つだろうが、やはり限界がある。既存メディアに「パフォーマンスだ」と馬鹿にされてでも、一貫して、中長期的な国民との直接対話型の機会を設けるべきだ。
まずは、麻生首相が米大統領風にカメラ目線で語りかける「テレビ演説」を行ってはいかがだろうか。「私は、誰かさんとは違って逃げない」ということ(※)を国民に真摯に伝えてほしいのだ。

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2008年11月25日

「この人の話は危ないな、と思うんじゃない?」 麻生首相がストレートに小沢批判

代表自らが体現する「政策よりも政局」政党に、麻生首相が挑む。

<2次補正>自民中堅・若手議員の間で早くも温度差

 08年度第2次補正予算案の今国会提出を政府に求めた自民党中堅・若手議員のグループの間で早くも温度差が目立ち始めた。急先鋒(せんぽう)の渡辺喜美元行革担当相が麻生内閣の「倒閣運動」と見られることも辞さない姿勢なのに対し、「今、首相を代えることなんてできっこない」との現実論も広がっている。こうした足並みの乱れを見透かし、党執行部や派閥領袖は活動の沈静化に乗り出した。

 第2次補正提出を要求しているのは、塩崎恭久元官房長官や渡辺氏ら同党の衆参両院議員25人。渡辺氏は「首相が『政局よりも政策だ』と言っているのに、ここで何もしないわけにいかない」と麻生太郎首相への批判を強めているほか、山本一太参院議員は衆院の早期解散を提唱する。

 ただ、グループのメンバーは25日、首相の第2次補正提出先送りを受けて、あからさまな政権批判を控えた。「支持するわけにもいかないが、ここで批判したら(倒閣に)完全に振り切れてしまう。悩ましいところだ」(政務官経験者)と自重したためだ。

 一方、津島派の津島雄二会長は同日の党総務会で「若手ならまだいいが、中堅が動いている。敵(民主党)に塩を送るようなことをするなと私も注意したが、みなさんもよろしく頼みます」と党幹部らに要請。森喜朗元首相、安倍晋三元首相、町村信孝前官房長官ら町村派幹部も同日、東京都内で会談し、グループの動きが過激化しないよう注視することを確認した。

 ベテラン議員からは「選挙で苦戦しそうな議員の『売名行為』に過ぎない」という冷ややかな見方も出ている。【高山祐】

(25日、毎日新聞)

きょう(25日)、自民党の大島理森国対委員長と民主党の山岡賢次国対委員長は、国会内で会談し、麻生太郎首相(自民党総裁)と民主党・小沢一郎代表の党首討論を今月28日に開くことで大筋合意した。
党首討論の開催は麻生政権発足以来初めて。

党首討論は麻生首相が、就任以来再三開催を求めてきたが、小沢代表側が「テーマがはっきりしない」(山岡氏)などの理由で一貫して拒否。
小沢代表は、党首討論開催予定日に“地方行脚”を続ける一方で、党首討論の開催を拒否し続けてきた。
まさに「政策よりも政局・選挙」という民主党としての基本姿勢を、代表自ら体現してきた形だ。

今回、小沢代表が一転して応じることを決めた背景には、麻生首相の2008年度第2次補正予算案提出先送り決定を受け、「2次補正」をテーマに党首討論を行うことにより、麻生首相を追い込みたいとの思惑があるとみられる。
国対委員長会談では、山岡氏が「もう一度オープンの党首会談をやりたい」と提案。大島氏が「だったら党首討論をやればいい」と回答し、山岡氏が応じる姿勢を示した。

麻生首相は、22日朝(日本時間)、訪問先のリマ市内のホテルで同行記者団に対し、最大で来年(2009年)1月までの今国会の会期延長を示唆した。
また、先日のエントリでご紹介した、小沢代表の「クビをかける」発言に関して、以下のように小沢代表を批判している。

 ◆2次補正

 08年度第2次補正予算案は中小企業融資枠、税制改正が必要なもの、来年度本予算に関係するものなどいろんな要素が含まれる。きちんと整理し、判断しなきゃいけない。(党内から今国会見送りに批判が出ていることについて)意見が出ない方が問題。いろんな意見が出され決まるのがいい。

 (民主党の小沢一郎代表は党首会談で、2次補正の審議・採決に応じるとの約束をほごにした場合、辞めると)7人の前で言った。その話は言ってない、と言われたら、この人の話はあぶないなと思うんじゃない。とたんにみんな信用できなくなっちゃった。前も(大連立構想が頓挫し)辞めると言って辞めなかったりしている。

 ◆会期延長幅

 野党の対応がどうかで対応が違ってくる。金融機能強化法案にずっと最後まで(民主党が)反対なら、(新テロ対策特別措置法案の再可決のための延長より)もっと延びるのかもしれない。

 ◆解散時期の判断

 佐藤内閣で「黒い霧解散」(66年)なんてあった。絶対に自民党が負けると言われたのに勝った。郵政解散も勝てると思った新聞社はなかった。最終的に首相が判断する要素は、人によって違う。判断は今決めているわけではない。

 ◆地方への1兆円

 「地方が一番使いやすい方法を考える」とずっと同じことしか言っていない。使いやすい方法を党で考えてもらっている。【リマ古本陽荘】

(22日、毎日新聞)

今回、やっと開催が決まった党首討論。
その党首討論が実際に行われるかどうか、“国会サボり魔”で有名な小沢代表のことだから、未だに不確定要素は満載だ。
麻生首相と小沢代表の直接対決はこれが初めてだが、麻生首相は、相当、小沢代表という人物に「敵対心」「憎悪感」を持っている。
今秋の総裁選時には“ハマコー”こと浜田幸一元衆院議員も注目した(※)、麻生首相の「闘争本能」に期待したい。


<追記>

前回お伝えした、元厚生事務次官宅への連続襲撃事件。
さいたま市の無職、小泉毅容疑者(46)が霞が関の警視庁に出頭し、供述を始めて、警察もDNA鑑定など幅広い捜査を行っている。
捜査本部によると、小泉容疑者は元次官2人の住所について、「(旧厚生省の)職員録で調べた」と供述しているという。
「保健所にペットを殺されたから」という動機で、小泉容疑者は3人を死傷させたと報じられているが、実際に保健所を運営しているのは厚生省(現在の厚生労働省)ではなく、各自治体である。
といっても、小泉容疑者の「本当の動機」は別の所にあるだろう。「ペット云々」という供述は、あくまで容疑者自身による“陳腐な演出”に過ぎない。

昨日(24日)の毎日新聞紙上では、立正大学の小宮信夫教授が次のように述べていた。
 「動機のルーツはペットかもしれないが、自分が置かれた境遇への怒りをどこかにぶつけたいと考えたのだろう。通常は所属している集団や特定の人間に向かうが、人間関係が希薄なため、社会に向かったのではないか」
 「社会の象徴として、年金のニュースなどで騒がれていた厚生労働省の元次官が標的になった可能性がある」
私も小宮教授と同意見だ。他にも色々な識者がこの事件や容疑者の心象を分析しているが、私は、小宮教授のこの分析が一番的を射ていると思う。

私は毎週土曜日の夜、報道系の情報番組『情報7days ニュースキャスター』(TBSテレビ)という番組を見ている。
ビートたけしさんと安住紳一郎アナウンサーがMCを務める番組だが、小泉容疑者出頭のニュースは、NHK・民放キー局中、この番組が一番早く報道した。
この日、たけしさんはフジテレビの裏番組に生出演していて、安住アナウンサーが一人で番組を進行。レギュラーの渡辺えりさんも出演せず、代わりに元検事の住田裕子弁護士が出演した。
ゲストに佐々淳行氏が出演し、住田氏らと今回の事件について、犯人像を予測していた最中に飛び込んで来たのが、容疑者出頭のニュースだった。

佐々氏や住田氏の分析は的確だったが、お二人による「容疑者出頭のニュース」を受けての分析をまとめると、以下の通りだ。

・警察署ではなく、なぜ霞が関の警視庁に出頭? ⇒ 社会への自己顕示、「腐った政府を成敗してやる」という間違ったヒロイズム
・借りたレンタカーの返却予定日を前に出頭したのは、気が小さいから。
・事件5日後の出頭は、「殺人による高揚感」の後の恐怖と落ち込みによるもの。
・なぜ犯行声明がなかったのか? ⇒ 事件の犯し方は分かっても、犯行声明の出し方は分からなかった。


その後、小泉容疑者はTBSテレビやフジテレビに、出頭数時間前、これから出頭することや犯行の動機を書いたメールを送っていたことが判明した。
「やはり」、犯人は社会的関係性の薄い小心者であった、というのが私の現在の感想だが、警察は、本当に容疑者が単独であるのか、背後関係はどうなのかなどを慎重に捜査している。
出頭直前、小泉容疑者が父親宛てに出した「手紙」の内容も気になる。それが事件を解明する手がかりに直接結びつくかどうかは分からないが、いずれにせよ、今回の小泉容疑者の犯行は、小心者による“手探りの自暴自棄”な犯罪であった。

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2008年11月19日

これは、元厚生次官を狙った「年金テロ」なのか

犯人の動機はまだ分からない。しかし、許されざる犯罪であることは間違いない。

元厚生次官宅連続襲撃事件 同一犯との見方強まり、警視庁と埼玉県警が共同捜査本部設置

 元厚生事務次官ら連続殺傷事件は、同一犯が官僚トップを狙った「連続テロ」との見方が強まった。警視庁と埼玉県警は19日夜、共同捜査本部を設置した。

 さいたま市南区で、元厚生事務次官・山口剛彦さん(66)と妻・美知子さん(61)が刺殺された事件では、遺体が発見された玄関で印鑑が見つかった。

 警察は、犯人が宅配業者などを装った疑いがあるとみて調べている。

 また、血のついた足跡は、スニーカータイプであることがわかった。

 一方、東京・中野区で、元厚生事務次官・吉原健二さん(76)の妻・靖子さん(72)が宅配業者を装った犯人に襲われた事件で、警視庁は19日に現場検証を行い、5カ所から血痕を採取した。

 また、路上などから見つかった足跡とみられるものが、さいたま市のものと一致しないか鑑定を進めている。

 警視庁と埼玉県警は、厚生労働省関係者を狙った同一犯の可能性が高いとみて、共同捜査本部を設置し、犯人の割り出しを急いでいる。

(FNN-NEWS.COM、11/19 20:58)

昨日(18日)午前10時すぎ、埼玉県・さいたま市で、元厚生事務次官の山口剛彦さんと妻の美知子さん(61)が、自宅の玄関で胸を刃物で数カ所刺され、死亡しているのが見つかった。
その後の調べで、山口さん宅の台所では、調理された料理がテーブルに並べられていて、換気扇が回っていたことが新たに判明。警察では、夕食の時間帯に襲われた可能性が高いとみている。
また、山口さんの両腕には、犯人と争った時にできる切り傷があったことも判明。警察は、犯人が美知子さんを襲ったあと、山口さんと揉み合いになった末、殺害した疑いがあるとみている。

さらに、自宅前の路上から西へ向かって、およそ50メートルにわたって、血のついた模様のある靴跡が残されていたことも分かった。
警察は返り血を浴びた犯人が、歩いて逃げた際に残したものとみて調べている。
そして今日(19日)、新たに遺体が発見された近くから、ふたが閉まったままの印鑑が見つかっていたことが分かった。
印鑑はいわゆる“シャチハタ”タイプのもので、山口さん夫妻は宅配業者を装った犯人により殺害された可能性が濃厚となっている。

そして昨日午後、東京・中野区で、同じく元厚生省事務次官の吉原健二さん(76)の妻が何者かに刺され重傷を負った。
この事態を受け、厚生労働省は、歴代幹部や現役幹部の住所リストを警察庁に送って、警備の強化を要請している。
18日夜、厚生労働省は、警察庁に警備の強化を要請するとともに、すでに帰宅した現役幹部の安否を確認した。
職員は「(厚労省の)関係者を狙っているなら、気を付けないといけないねという話はした」と話した。
厚労省が警察庁に警備強化を要請したのは、歴代の事務次官や社会保険庁長官、年金局長、保健局長などについてで、住所リストを作成して警察庁に送っている。

今回の事件について、舛添要一厚労相は18日夜、「テロということなら、こういう卑劣なことはよくないと思います」「許し難い犯罪なので」と述べた。
また麻生太郎首相も同夜、私邸に戻ってから事件の報告を受け、「痛ましい」と述べるとともに、情報収集を急ぐよう指示した。
麻生首相は、警備上の都合から、毎朝行っている散歩をしばらくやめることにしたという。

元厚生事務次官宅が相次いで襲撃された今回の事件。2つの殺傷事件には多くの共通点がある。
どちらも現場は自宅玄関、または玄関先であったこと。
凶器については、どちらも刃物であったこと。深い傷を負わせるなど、犯人には強い殺意があったと思われること。
そして、元次官2人とも厚生省では年金担当だった“年金エキスパート”だったということ。
基礎年金制度の導入を決めた1985年の年金制度改正時には、吉原さんは厚生省年金局長、山口さんは年金課長を務め、“上司と部下”の関係として制度改正に道筋をつけた。
その後も吉原さんが1988年6月に事務次官に就任した際、山口さんは官房会計課長に就任。この時も直接の“上司と部下”として官房を取り仕切った。

吉原さんが厚生省の事務次官だったのは小泉純一郎元首相が最初に厚生相を務めた時で、小泉氏の2度目の厚生相在任中には山口さんが事務次官として仕えた。
吉原さんは年金局長を2年間務めた後、社保庁長官を経て事務次官に就任。
山口さんは1996年7月に保険局長となり、当時の事務次官の汚職事件を受けて、同年11月に後任の事務次官に就任した。このときには、厚生省職員を講堂に集め、涙ながらに「私たちはあなたの苦労を知っている」と話した上で、厚生省改革の必要性を訴えた。

現時点で、今回の事件が「政治的テロ」であるとは断定できないが、少なくとも、元厚生次官とその家族を意図的に標的にしたものであるということは言えそうだ。
今回の事件が集団の犯行であるか、個人の犯行であるかも判明していない。連続襲撃の動機も、必ずしも明らかではない。
しかし、ここであえて書かないとならないのは、たとえばこれが年金行政の停滞などに不満を持つ者の犯行であったとしても、今回のこの連続襲撃は、決して許されないものだということである。
フジテレビの箕輪幸人解説委員は、犯人像について以下のように分析している。

「こういった社会問題になっていると、自分が成敗をしてやるんだという間違った義侠心(ぎきょうしん)、こういうものが犯行に駆り立てたのかもしれないということ。
もう1つは、自分の親族に、本来だったらもらえるはずの年金がもらえなかった。
そして、例えば死んでしまったという時に、強い恨みを持つという可能性があると思います」

客観的にみて、厚労省職員のほとんどは真面目に働いており、寝ず食わずで激務を行っている。
土日も急遽役所に出勤することも、徹夜で残業をすることもしばしば。
そういうことを続けて、年金改革に取り組み、事務次官としても有能に働いた吉原さんや山口さんが、なぜこのような事件で標的にされなければならないのか。

ここで踏み込んで特筆しなければならないのは、ここ数年、メディアで展開されてきた「厚労省・年金バッシング」の存在だ。
もちろん、年金行政を担当する厚労省や社保庁のこれまでの行動にまったく非がなかったとは言わない。一部の労働組合員を中心に、仕事をきちんと行ってこなかった職員がいたのも事実だ。
1985年の年金制度改革に関しても、これが現代日本にとって必ずしも最適な改革であったかどうかということに関して、疑問符が付かざるを得ない現状も見受けられる。

しかし、伝え聞く話では、一連の「年金不信」の社会的流れを目の前にして、山口さんは生前「自分が当事者として関わった、あの年金改革は正しかったのか」と苦悩していたという。
今回の犯行が、「間違った義侠心」を持った犯人による犯行であると現時点で断定することはできないが、もし、そのような側面を持っているのだとすれば、メディアの責任も非常に大きく問われてくる。
少なくとも、メディアが「年金不信」「厚労省批判」“風景”を切り取って、拡大して報道してきたのは事実だ。

過去には本島等長崎市長狙撃事件(1990年1月)や国松孝次警察庁長官狙撃事件(1995年3月)、最近では伊藤一長長崎市長射殺事件(2007年4月)などもあった。これらは基本的には「政治テロ」に分類できるかもしれない。
何度も書いてきたように今回の事件が「政治テロ」だと断定することはできないが、しかし、もしそうだとすれば、「政治テロ」で世の中を変えることはできないのだということを改めて書いておきたい。
過去に起きた「テロ事件」を振り返ってみても、そこに世界のあらゆる問題を解決する手段として「政治的テロ」が機能したことはなかった。「政治的テロ」で生まれたものは破壊、憎しみ、怒り、悲しみ。ただそれだけである。そこに社会を改善するような方向性が打ち出された例は、過去、一例もない。
絶対に「政治テロ」では世の中は変えることはできない。そのことだけは、しっかりとここに示唆しておきたい。

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2008年11月18日

「国籍法」改正反対派は、日本人差別主義者だ!

「私たちの民族は劣っているんです」。そんな反日的な意見を聞きたくなどない。

党首会談「やぶの中」、小沢氏が「辞職」発言?

 民主党の小沢代表が17日の麻生首相との党首会談で、2008年度第2次補正予算案の取り扱いをめぐり、「議員を辞めてもいい」と発言したかどうかを巡り、与党と小沢氏の説明が食い違った。

 与党幹部によると、小沢氏は首相に「2次補正を今国会に提出してほしい。我が党は採決に協力する。この約束に違反すれば、議員辞職する」と明言したという。

 別の幹部は「小沢氏は『首をかける』と言い、首相は思わず『本当ですか』と問い直した」と語った。

 しかし、小沢氏は会談後の記者会見で「そんなこと言ってない」と真っ向から否定。真相は「やぶの中」となっている。

(18日、読売新聞)

今日(18日)午前、麻生太郎首相と民主党・小沢一郎代表の党首会談から一夜が明けた。
国会は、衆院本会議では国籍法改正案などが予定通り可決されたものの、参院では民主党が外交防衛委員会や財政金融委員会など、すべてにおいて「審議拒否」した。

14日、新テロ対策特措法改正案を審議する参院外交防衛委員会は、理事懇談会にて、18日に委員会採決を行うことで合意していたが、民主党はこの約束を“ほご”にする構えだ。
今日午前の委員会は一旦開かれたが、民主党が採決に応じないため、すぐに休憩となった。同日中の開催はない見通しだ。

政府・与党からは民主党への批判の声が相次いでいる。
河村建夫官房長官は、きょう午前の記者会見で「新テロ特措法改正案、金融機能強化法改正案を人質にして政局にしている。予想外のことで非常に残念だ」と不快感を示した。
鳩山邦夫総務相も、閣議後の記者会見で「政局のためには何でもやってやるぞという姿勢に驚いた。私には理解できない」と非難した。

私はこれまでことあるごとに述べてきているが、国会に出ない国会議員とは、一体何なのだろう。
哺乳動物でない哺乳類がいないように、国会議員も国民の代表者として選出され、また国民の血税で飯を食っているからには、国会に出席するのが最低限の義務だろう。
病気ともなれば話は別だが(もちろん仮病は病気に含まない)、集団で「審議拒否」をすることが民主主義の醸成につながるとは絶対に考えられない。異論があるならとことん議論をすべきだ。議論で最大限の「抗戦」をすべきだ。戦いに出ないことは決して「抗戦」ではない。

昨日(17日)の党首会談をめぐっては、再び小沢代表の「辞める辞める詐欺」が炸裂した。
与党幹部によれば、昨日の党首会談で小沢代表は麻生首相に「2次補正予算案を今国会に提出してほしい。我が党(民主党)は採決に協力する。この約束に違反すれば、(私は)議員辞職する」と明言したという。
別の幹部は「小沢代表は『クビをかける』と言い、麻生首相は思わず『本当ですか』と問い直した」と語った。
しかし、小沢氏は会談後にこの発言内容がバレると、すぐに記者会見で「そんなこと言ってない」と真っ向から否定してみせた。小沢代表といえば“自分の気に入らない”記者には質問をさせないことで有名だが、いわば「御用記者」相手になら、嘘やデマもたやすく言えるということなのだろう。



さて、国会の衆院では今日、国籍法改正案が全会一致で可決されたが、この法案をめぐっては、一時、一部の議員が改正に反対する姿勢を示すなどの行動をとった。
そもそも、国籍法を改正すると何が変わるのだろう。

例えば、結婚していない「日本人の父親」と「外国人の母親」の間に生まれた子がいるとする。この子が日本国籍を取得する条件としては、両親の婚姻要件が必要だったのだが、この要件を外し、父親と母親が婚姻関係になくても、この子に日本国籍を与えるというものだ。
これは、今年(2008年)6月に、婚姻を必要とする国籍法の規定を「違憲」とした最高裁大法廷判決を受けた措置である。
国籍法改正により、父親の認知だけで国籍取得が可能になる。

ただし、認知の偽装が広がる恐れもあるため、法務省は偽装に対して「1年以下の懲役か20万円以下の罰金」を科す罰則規定も盛り込み改正案を形成している。
未婚の日本人父とフィリピン人母の間に生まれた子供が日本国籍の確認を求めた訴訟で、大法廷は「遅くとも原告が国籍取得を届け出た2003年には、合理的理由のない差別を生じさせた」との判断を示した。
このため、改正法は2003年以降の届出については、さかのぼって婚姻要件の除外を認めることになる。

改正反対派は、「認知偽装」の拡大を過度に恐れている。
「外国人女性」が「日本人男性」をダマして、女の子供を日本国籍にする事例が劇的に増加すると想定しているのだ。
外国から来た女が「ホームレスの日本人男性」に金を渡し、その見返りに、自分の子の父親代わりになってもらう――なんていうことも発生する、などとも主張している。

私は彼ら改正反対派の主張は、「日本人男性」を恐ろしく軽蔑し差別した、真の意味での「自虐観」だと思う。日本人差別を助長したい集団(そんなものあるか分からないが)が「改正反対!」などと主張しているのではないだろうか。
『ハリー・ポッター』シリーズの“スリザリン寮”の精神よろしく、「純血」な日本人こそが美しいというこの考え方は、同時に、日本人を馬鹿にし、差別し、愚弄している考え方でもあるのだ。
彼ら改正反対派は、「日本人男性」が、外国から来た詐欺女に利用されるだけ利用されるほどの、そして自分が利用されていることに気付かないほどの馬鹿であるということを主張している。
「日本人男性」にだって、どんなに金に苦しむ「ホームレスの日本人男性」にだって、知性と常識ぐらいある。日本人としての誇りもある。
ところが、改正反対派は、「日本人男性」はダマされ、利用されるだけの馬鹿であると言いたいようだ。

もちろん、中には「日本人男性」すべてが聖人君子じゃないから、外国人の女にダマされる人間もいるに違いない、という意見もある。
しかしこの論理は、明らかな自己矛盾だ。
改正反対派の主張を裏返せば、日本に来る外国人が全員聖人君子であれば何の問題も起きないはずだ。外国人に聖人君子ではない人間が混じっているから、日本にやって来て「認知偽装」を働こうとする。
しかし、改正反対派の主張によれば、馬鹿な外国人女に利用されてしまうような、さらに馬鹿な「日本人男性」が日本にはすでにいるのだという。
そうすると、外国から日本にやって来る人たちが、全員聖人君子である必要性の根拠がなくなってしまうではないか。
もっと簡潔に書けば、日本人がみな聖人でないならば、外国人が聖人でないことを非難する根拠がなくなるのである。

国籍法改正に反対する人たちは、結局、「日本人男性」が利用されるだけ利用されるだけの“知性のない人間”であると主張したがっている。
現金さえ目の前にちらつかせば、ホームレスの日本人男性が、外国からの詐欺女にノコノコくっ付いて来ると主張したがっている。
言うなれば、改正反対派は、日本人を差別しているのだ。日本人は愚かな民族だからダマされやすいと、差別しているのである。
改正反対派は「純血(純潔)な日本人」だけで満ち溢れた日本を仕立て上げたいようだが、皮肉にも改正反対は「愛国心」を表現する心とは正反対なものとなっている。

「日本人男性」を差別し、「日本人男性」は、自分が利用されているだけであることすら把握できない愚か者である――。
そういった可能性により発生し得る「妄想上の犯罪」を糾弾するよりも、我々がすべきことはなにか。それは、目の前の現実を見ることである。
日本人の父親と外国人の母親の間に生まれた子供が、日本国籍を持てないことにより社会保障や福祉、教育上の弊害を抱える現実を目の当たりにすれば、とてもでないが「妄想上の犯罪」を盾に、国籍の問題に苦しむ子供たちを叩き殺すようなことなどできない。
国際人権的観点から言っても、「純血な日本人さえいればいい」という考え方(「純潔な日本人」の定義がそもそも何であるかは別の課題として横に置いておくとして)は、非常に閉鎖的で国際協調性のない考え方だ。幕末の時代に「鎖国」を主張していた武士たちでも、ここまであからさまな外国人差別は行わなかったのだろう。

今回の国籍法改正は、日本人が「差別主義」「純血主義」から脱却するための大きなプロセスであり、チャンスでもある。
安倍晋三元首相が提唱していた「戦後レジームからの脱却」にもつながる考え方だろう(ここで改めて書くまでもないが、「戦後レジームからの脱却」というのは、日本の政治・社会体制が明治時代に戻るとか、さらには江戸時代に戻るとか、そういう閉鎖的な話ではない)。

海の向こうでは、黒人の「次期大統領」が誕生した。米国では、長い間、黒人は奴隷だったのである。日本でいうところの「えた・非人」。
生まれた家がそういう家系だから、肌の色が違うから、本当はただそれだけの違いなのに、差別され続けてきた。何年も、何十年も、何百年も。でも「私たちも人間なんだ!」と立ち上がったから、米国の黒人たちは奴隷ではなくなった。白人と変わらない、米国民になることができたのだ。
これは日本史的な議論を呼ぶところだが、日本の「えた・非人」には直接的な差別主義撤廃運動(米国における「公民権運動」)が存在しなかった。できなかったとも言える。いつまでも「御上」が恩恵を与えてあげるだけという図式が覆ることはなかった。「えた・非人」は、「御上」が恩恵を与えて下さったから、初めて奴隷ではなくなった。そこに米国における黒人たちのような「下からの差別撤廃のための行動」は存在せず、いつまでも閉鎖的、絶望的であった。

そこに現代日本につながる問題点がある。差別は(誰かに)解消してもらうものではなく、(自分たちが)解消するものである。平和は(そこにあるものを)守るものではなく、(ここにないものを)作るものである。いじめは、(誰かによって)なくなるのを待つものではなく、(自分たちによって)なくすものである――。
私は、京王井の頭線の渋谷駅を毎日利用しているのだが、そこの連絡通路に昨日から掲げられた、岡本太郎の『明日の神話』を眺めていると、そんなことを感じさせられた。

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2008年11月16日

飲酒運転で16歳新聞配達少年死亡 与野党協調で一刻も早く「消費者庁」を設置せよ

消費者を守ること、それはすなわち国民を守ること。

ひき逃げ 新聞配達員が死亡…6キロ引きずられ? 大阪

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 16日午前3時10分ごろ、大阪府富田林市錦織東3の路上で原付きバイクが倒れているのを通行人が見つけ110番した。府警富田林署が運転手の行方を捜していたところ同8時半ごろ、南に約6キロ離れた同府河内長野市小塩町の駐車場に男性が倒れているとの通報があり、署員が毎日新聞富田林東販売店アルバイト、東川達也さん(16)と確認した。東川さんは既に死亡していた。同署は遺体発見現場近くに住む大工、市川保容疑者(41)を道交法違反(ひき逃げ)と自動車運転過失致死容疑で緊急逮捕した。市川容疑者が東川さんを引きずった可能性が高いとみて、殺人容疑も視野に追及する。

【ひき逃げ現場、捜査状況の写真】

 調べに対し、市川容疑者は「軽自動車を運転中、原付きバイクに追突した。飲酒運転だったので必死で逃げ帰った。(どう逃げたのかは)よく覚えていない」と供述しているという。駐車場には、市川容疑者所有の軽自動車が止まっており、車体前部が損傷していた。

 事故現場から南に約20メートルと約60メートルの路上に長靴が落ちており、数キロ先には破れた紺色のカッパのズボンが落ちていた。いずれも東川さんが着用していたとみられる。現場から約100メートルにわたって、何かをひきずったような跡もあった。東川さんは側頭部や肩に路面と擦ったような傷があり、着ていたカッパやズボンは背中や尻の部分が破れていた。

 調べでは、市川容疑者は富田林市錦織東3の路上を軽自動車で北から南へ走行中、東川さんの原付きバイクに後方から接触、救護せずに逃走した疑い。現場は片側1車線で、東川さんは新聞配達中だった。一方、市川容疑者は6月にも酒気帯び運転で検挙されていた。

 大阪府では10月21日、JR大阪駅前の交差点で男性会社員(30)がワゴン車にはねられ、約3キロ引きずられて死亡する事件が起きたばかり。

(16日、毎日新聞)

今日(16日)未明、大阪・富田林市で、新聞配達の少年を車でひき逃げしたとして、41歳の男が逮捕された。少年をおよそ5km引きずった疑いもあり、警察が調べている。

今朝3時前、大阪・富田林市で、ミニバイクに追突した軽四貨物自動車が、乗っていた少年を引きずりながら逃走した。
車は5km先の駐車場で、少年の遺体とともに発見された。
死亡したのは、新聞配達アルバイトの東川達也さん(16)で、警察は、大工の市川保容疑者(41)をひき逃げなどの疑いで逮捕した。

東川さんの勤務する新聞配達店は「お母さんの方はね、泣くだけで、ほんまに声をかけられない状態でしたね。お父さんの方は、下向いてね。何ていうのかな、『何でうちの息子が…』っていうことしか言ってなかったんで」と話した。
市川容疑者は「飲酒運転なので逃げた」と供述している。
大阪府警富田東署は、今後は殺人容疑も視野に、市川容疑者を追及する。

少年がひき逃げされた現場には、配達途中の新聞が散らばっていたということで、その事実が事件の悲惨さを伝えている。
新聞配達中の少年が自動車に轢かれ死亡するというのは、聞くも無残な非常に怒りを覚えるニュースだ。
ひき逃げされた上に、約5キロも自動車に引きずられて亡くなっていった少年の心境を思うと、とてもやるせない気持ちになる。

飲酒運転の厳罰化、道交法違反の厳罰化が求められることは言うまでもないが、どうにかしてこういった事件を防ぐことは出来ないのか。
このニュースとは直接関連がないように思えるかもしれないが、「消費者庁」の設置は一刻も早く実現されるべきである。「消費者庁」が設置されれば、「飲酒運転」を取り締まるための施策を実行することも出来る。
有志議員で作る自民党PTは、過去にシンドラー製エレベーター事故(私に言わせれば事件)で死亡した市川大輔さん(享年16)のお母様を呼び、防ぐことが出来たかもしれない事件による被害者の遺族の方々と意見交換を行うなどして、一刻も早い「消費者庁」設置のために奔走している。

「小さな政府」が求められ、省庁の削減への方向性が基本的な流れにある現状で、なぜ「消費者庁」という新たな内閣府管轄庁を設置する必要があるのか。なぜ設置を求める声が多数上がっているのか。そのことを、国民一人ひとりは真剣に考えるべきだ。
民主党は、政府・与党案はツメが甘いとして「対案」を提示しているが、結局、このことにより審議は一向も先に進んでいない。これはどういうことなのか。こういう事案は、与野党の区別なく協調すべき事案ではないのか。

一分一秒でも早く「消費者庁」を設置する必要がある。救える命を救う必要がある。そこに、野党の「選挙戦略」などが入り込む余地はない。
私自身も当事者の一人として、「消費者庁」構想の速やかな実現のために、全力・全速力で行動してまいりたい。

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2008年11月15日

ドラマ『告知せず』でボロ泣き! 高畑淳子の演技力は凄まじすぎる


kokuchi_sezu_01.jpg(C)テレビ朝日

今夜9時00分から先程11時21分まで放送された、芸術祭参加ドラマ『告知せず』(テレビ朝日)を観た。

私は『3年B組金八先生 第5シリーズ』(TBSテレビ)以来(いわば比較的最近になってからだが)、高畑淳子さんという女優に興味を持っていて、ここ数年で彼女の演技やそのキャラクターが、多彩なドラマやバラエティー番組にまで広まっていたのを大変嬉しく思っていた。

高畑さんの存在を世に知らしめた決定的なドラマと言えば、『白い巨塔』(フジテレビ)だろうか。
あのドラマでは、高畑さんは石坂浩二さん演じる大学病院の外科部長・東教授の夫人役を好演していて、大学病院の「教授選挙」を婦人会の側から操る(?)みたいな役どころだった。

今夜放送されたドラマ『告知せず』でも、高畑さんは医師の夫人を演じている。
『白い巨塔』よろしく、今回のドラマにも「教授選」というキーワードが出てきた。

――それで、このドラマの感想であるが、とにかく本当にもう感動した。
渡哲也さんの息子に生まれたら私はそのプレッシャーで圧死してしまうだろうと感じたが、そんな感想はさておき、このドラマを見て私は中盤ぐらいからボロ泣きしてしまった。

ドラマのあらすじを簡単に書くと、長谷川誠至(渡哲也)は何十年も大学病院で医師として働いており、これまで多くのがん患者に「がんの告知」をして来た。
患者本人に「がんの告知」をしないほうがいいんじゃないかという患者家族の意見も聞いた上で、過去、長谷川は患者たちに「がん告知」をして来た。もちろん、その中には、救えなかった患者もいる。

長谷川の息子・涼(滝沢秀明)も父同様に医者となり、父の働く大学病院で研修医として働くことが決まった。
ある日、長谷川の妻・十央子(高畑淳子)が腸に激痛を感じ、救急車で長谷川の働く大学病院に運ばれる。手術の末、桑原医師(古谷一行)から「腸閉塞」だと告げられる十央子。
桑原は長谷川に話す。「あなたの奥さんは実は小腸にがんが出来ていて、それが全身に転移しています。私のほうから奥さんに告知してもいいが、あなたはベテランの外科医だ。あなたが奥さんにがんであることを告知すべきではないでしょうか」。

長谷川は、告知すべきかどうか悩んだ末、十央子にがんの事実を「告知しない」ことを決断する。
そのことを知った桑原から、長谷川は「あなたはこれまで多くの患者に告知をしてきたじゃないか。あなたが奥さんに告知しないなら、主治医である私が奥さんに告知します」と言われてしまう。
結局、その場では「私の口から告知します…」と答える長谷川だったが、告知が出来ぬままでいる。
そうした間にも、がんは十央子の身体を蝕んでいく――。

――私にはあまり文章説明能力がないみたいなので、これでちゃんとあらすじが伝わったかどうか微妙なのだが、ちゃんとしたあらすじは、番組公式サイトでご覧頂きたい。

自分の身体の不調に気付きながらも、「教授選」を控える夫のため、また、息子に心配をかけたくないという思いから、体調の悪さを必死にひた隠し、明るく気丈に振舞う十央子。
そんな明るくも悲しい女性を、高畑淳子という女優が、信じられないほど凄まじい演技力で演じ切っている。
現時点では、私は高畑淳子さんこそが世界一の役者だと確信してしまうぐらいだ。もうとにかく凄まじい。「リアル」の一言では片付けられない名演ぶりだった。

私としては、十央子の妹(美保純)が、入院する十央子の病室を訪ねるシーンで、一番号泣してしまった。
兄弟、姉妹の関係って、ああいうものなんだよなあ。
このドラマでは高畑淳子という女優の底知れぬ演技力(信じられないほどリアルにがん患者を演じていた)を、心臓をワシ掴みされるように痛感させられたわけだが、美保純さんも、かなりかなり好演していた。
美保純さんが号泣するシーンに合わせて、私も号泣してしまった。恐るべし美保純。

あとは、宮川彬良さん作曲の音楽もよかった。
オープニングを飾り、劇中でも印象的に使用されていた。素晴らしいの一言だ。

今夜は、本当によいドラマを見させてもらった。
それなりに長い年数「人間」をやっていると、どうしても、ドラマに登場する人物に、実在の人物を照らし合わせてしまうものだ。
そういう意味でこのドラマは非常に卑怯である。ここまで人間を感動させてしまうような「がん」ドラマは、この作品ぐらいなものだろう。

もしも自分の愛する人ががんになったら、そして自分がそれを本人に知らせる役目だとしたら、あなたは「告知」ができるだろうか?
そんなことを感じさせられたドラマだった。


<追記>

「感動させられたドラマ」つながりで、TBSテレビには『私は貝になりたい』(1994年版)を再放送してほしい。
中居正広さん主演の映画版が現在ロードショー中で、フランキー堺版の映画も名作の評価を受けているが、TBSテレビ版はたぶんセルVHS化もされていない。
私は、所ジョージさんが主人公を演じている、このTBS版の『私は貝になりたい』をまた観たい。
TBSでこのドラマが放送された夜には、『NEWS23』で、筑紫哲也キャスターらが感想を述べ合っていたっけ。

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2008年11月14日

古賀氏が「古賀派は主流派」宣言 狙うは“キングメーカー”の座?

人気低迷にあえぐ首相の方に朗報です。議員歴28年目の方が、あなたを必要としています。

古賀氏が「主流派宣言」 麻生派と合流に含み、関係修復へ秋波?

 定額給付金などをめぐり麻生太郎首相への逆風が続く中、首相と不仲がささやかれてきた自民党の古賀誠選対委員長が「主流派」を宣言し、首相の全面支持を打ち出した。古賀派(宏池会)から10年前に分裂した麻生派(為公会)との合流にも言及。麻生政権発足後、古賀氏の発言力は低下しており、首相との関係修復により巻き返しを図りたいとの思惑もチラつく。

 「よく考えると(麻生政権の政策の)難しいところは何もかも宏池会がやっている。いっそのこと為公会と一緒に大宏池会になっておけばよかったと思わなくもない。しっかりと支えて頑張っていきたい」

 13日昼、古賀派総会で古賀氏がこうあいさつすると出席議員から驚きの声が漏れた。

 古賀氏の指摘通り、定額給付金は園田博之政調会長代理が仕切り、国際金融危機対応プロジェクトチーム(PT)座長は柳沢伯夫元厚労相、道路特定財源の一般財源化PT座長は谷垣禎一元国交相が務めるなど主要な政策は古賀派議員が担っている。

 だが、古賀氏と首相は郵政民営化を機に関係が悪化した。首相は18年末に旧谷垣派との合併工作を進めるが、古賀氏の干渉により頓挫し、その後、古賀派が谷垣派と合流したためより険悪化。古賀派内の麻生派との合流「大宏池会構想」を求める声も古賀氏は「麻生氏とは理念・哲学が違う」と一蹴(いっしゅう)してきた。

 ところが先の総裁選で菅義偉選対副委員長ら若手・中堅の多くが「麻生擁立」に動き、古賀氏も従わざるを得なかった。麻生政権発足により菅氏らはますます台頭しており、古賀氏にとって首相との関係修復は急務となったようだ。

 古賀氏は先月9日にも埼玉県草加市の講演で「首相と溝があると書かれるがそんなことはない。宏池会で同じ釜のメシを食った仲で、今でもタロちゃん、マコちゃんと呼び合っている」と親密さをアピール。今回の発言も修復工作の一環とみられるが、もし大宏池会が実現すれば町村派に匹敵する大派閥となるだけに党内の勢力図が大きく塗り替えられることになる。

(14日、産経新聞)

13日、麻生太郎首相は、米ワシントンでの「金融サミット」(第1回緊急首脳会議)出席のために政府専用機で日本を出発した。
“麻生不在”の永田町で、13日、自民党の古賀誠選対委員長の口から「古賀派は主流派」宣言が飛び出した。
13日午後、自民党古賀派の総会で、古賀氏は「よく考えると(麻生政権の政策の)難しいところは何もかも宏池会(古賀派)がやっている」と語った上で、麻生政権について「しっかりと支えて頑張っていきたい」と述べ、麻生首相にエールを送った。

2006年末、当時安倍晋三内閣の外相だった麻生首相は、自身が会長を務める為公会(麻生派)と、谷垣禎一元財務相が会長を務める谷垣派の合併を画策したが、古賀氏の“干渉”があり、実現が阻まれた。
さらに、2008年には、谷垣派と古賀氏が会長を務める古賀派と谷垣派が合流(「中宏池会」構想の実現)。古賀氏が会長に就任し、谷垣氏は会長代行に収まった(※「中宏池会」構想実現までの経緯は、過去にこのブログで詳しくお伝えしてきた。興味のある方は、検索ボックスから過去のエントリをお読み頂きたい)。
それ以来、麻生・古賀両氏の関係は劇的に悪化。一時は浮上した「大宏池会構想」(かつて一つだった麻生・古賀・谷垣の3派が合流する構想)についても、古賀氏はその現実化に否定的な見解を述べてきた。

そんな中、今年(2008年)9月に「麻生首相」が誕生したわけだが、安倍・福田前政権と比較しても速いペースで麻生政権は難局を迎えている。
迷走を続ける「定額給付金」騒動をめぐっては麻生首相のリーダーシップすら疑われている現状だが、昨日(13日)、古賀氏からは麻生氏にエールを送る発言があった。
古賀氏は、麻生政権の内部について「難しいところは何もかも宏池会(古賀派)がやっている」と語ったが、実際、「定額給付金」は古賀派の園田博之政調会長代理が仕切っている。
また、「自民党国際金融危機対応プロジェクトチーム(PT)」では同じく古賀派の柳沢伯夫元厚労相が座長に就任。今月7日に発足が決定された「道路特定財源の一般財源化PT」の座長にも、谷垣氏が選出された。

先月(10月)9日にも、古賀氏は埼玉県草加市での講演で「首相と溝があると書かれるがそんなことはない。宏池会で同じ釜のメシを食った仲で、今でも『タロちゃん』『マコちゃん』と呼び合っている」と、麻生首相との関係回復をほのめかす発言を展開している。
麻生首相と古賀氏の2人が、お互いを「タロちゃん」「マコちゃん」と呼び合っている光景はあまり想像しにくいが、古賀氏の一連の発言には、どんな思惑があるのか。

安倍元首相、福田康夫前首相と、町村派から2人の“任期投げ出し総理”が誕生したことで、小泉純一郎政権時代から党内の“キングメーカー”と目されてきた森喜朗元首相の影響力は低下を余儀なくされた。
そんな中で、古賀派と谷垣派の合併により、町村派、津島派に続き今や党内No.3の議員数を誇る派閥となった古賀派。福田政権では念願の主要ポストも獲得し、小泉―安倍政権で続いてきた“冷や飯”食い生活から脱出した。
安倍・福田・麻生と、多様なカードを切ってもその効果が現れず、下野するとの見方までされる自民党内では、「欲求不満」現象が生じている。

このような党内を占める半絶望感の中で、かつての自民党の栄光を取り戻そうと躍起なのが、実質上の“キングメーカー”になることを狙う古賀氏だ。
人気低迷にあえぐ麻生首相は、きっと「頼みの綱」を求めているに違いない。だったら、その「綱」に自分がなってみせようじゃないか。それは自民党、ひいては宏池会を再び栄光の座に復権させる意味合いを持つ――。古賀氏としては、そのような心境なのではないだろうか。

自身の内閣の官房長官に河村建夫氏、党幹事長に細田博之氏という“超地味系”議員を登用したことからみると、麻生首相は“リーダーシップ”に溢れた首相をやり遂げる覚悟だろう。
そこに古賀氏の登場する幕はないように思えるが、一寸先は何が起こるか分からないのが永田町。もしかしたら、国民の大半の興味から離れるところで「サプライズ」があるかもしれない。



<追記>

今回のエントリは古賀派に関するエントリだったので、谷垣禎一前政調会長の名前も何回か出てきた。
さて、その谷垣氏とある週刊誌の間(あいだ)のお話。

谷垣元財務相の名誉棄損訴訟、文春の敗訴確定…最高裁

 週刊文春の記事で名誉を傷つけられたとして、谷垣禎一・元財務相が発行元の文芸春秋などに2200万円の賠償などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(近藤崇晴裁判長)は11日、文芸春秋社側の上告を退ける決定をした。

 同社に220万円の支払いを命じた2審・東京高裁判決が確定した。2審判決によると、2005年12月1日発売の同誌は、1988年に谷垣元財務相が買春疑惑で中国当局の事情聴取を受けたなどと報じた。

(12日、読売新聞)

2006年党総裁選時、週刊文春は当時の総裁候補(安倍氏、麻生氏、谷垣氏)の3人に誌上インタビューを行ったが(インタビュアーは阿川佐和子さん)、谷垣氏は「貴誌とは係争中なので」とインタビュー依頼を断った。
明らかに事実としか思えない“無難”な記事だけを掲載していては、売り上げ低下がさらに加速するだけだろうが、しかし、メディアの片隅にでも位置する者としては、それなりの裏付けぐらいしてもらいたいものだ。
谷垣氏が「ハニートラップ」に引っ掛かった!…などというトンでもない話題を、久々に思い出させられたニュースだった。



<追記 その2>

一部スポーツ紙の報道によれば、来年(2009年)3月に『NEWS23』(TBSテレビ)が終了するという。
たしかに、今秋の番組改編で放送時間の縮小(22時54分からの番組スタートが、23時00分からになった)、月曜第2部の打ち切りなど“予兆”はあった。
今月7日には、番組初代「キャスター編集長」の筑紫哲也氏が逝去したが、そのこととは直接の関係なく、今秋の改変の時点で『NEWS23』の打ち切りは既定事項だったのだろう。

来年春からは、23時台は30分間のストレートニュースを、膳場貴子キャスターが一人で放送。
その代わりと言っては何だが、18時台から2時間の報道・情報番組を放送し、21世紀に「報道のTBS」を甦らせるとのことだ。この報道が本当かどうかはよく分からない。

最近の『NEWS23』は、実に中身のある超優良報道番組だと感じていたので、打ち切りが本当ならば純粋に残念だ。
私が前回のエントリで持ち上げた『イブニング・ファイブ』も終了してしまうことになるのだろうか?
TBSはこの30年以上、TBS元アナウンサーであり『イブニング・ファイブ』メインキャスターである三雲孝江キャスターに“依存”し切ってきた(関連エントリ)
番組改編はテレビ局にあっては世の常だが、三雲キャスターの処遇を一歩間違えると、TBSは大火傷を負いかねない。要注意である。

――それにしても、先日(11日)の追悼特番『ガンとの闘い500日…筑紫さんの遺したもの』はよい出来だった。
友達があんまりいないことで知られる福田前首相が、筑紫氏について「最初会った時は『この人とは立場が逆だから』と身構えたけど、実際会ったらそんなことはなかった。筑紫氏は心置きなく何でも話せる友人」と語っていた。
対する筑紫氏のほうは「福田さんとの関係(筑紫氏が政権批判をすること)はしょうがない。私は権力のwatchdog(監視役)だから」といったことを日記に書き残していた。
番組EDでの井上陽水さんによる『最後のニュース』演奏も感動した。そこに昔の筑紫氏の映像をかぶせるという手法は、超ベタではあるものの、滅茶苦茶ホロリとしてしまった。


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2008年11月12日

「定額給付金」で迷走… 景気を悪くしたあなた、最低です

金持ちも貧乏人も「給付金」受給を辞退しろ! さもなくば…

<定額給付金>「所得制限」めぐり衝突

 総額2兆円規模の定額給付金(仮称)の支給対象を巡る政府・与党内の混乱の背景には、景気対策と迅速性を重視する「全世帯給付派」と、「ばらまき批判」をできるだけ抑えようとする「所得制限派」の衝突があった。さらに、首相がいったん「全世帯」と打ち上げながら、所得制限を容認するよう発言を転換したことが混乱に拍車をかけたため、与党からは官邸の調整能力と首相のリーダーシップを疑問視する声が噴出。年内衆院選を見送り、実績づくりで政権浮揚を図るようかじをきった首相だが、スタートからつまずいた形だ。【犬飼直幸、西田進一郎】

 首相が定額給付金を「全世帯対象」と発表した翌日の10月31日。首相官邸で開かれた経済財政諮問会議は、高額所得者を除外するか、全世帯配布かで意見が衝突した。

 民間議員「豊かな家計ではあまり消費喚起の効果がない」

 鳩山邦夫総務相「単純に手間暇を考えた場合、地方自治体の窓口で配ることになると、どこまでできるかという問題との闘いだ」

 民間議員「やはり上限をどこかに置いた方がいい。自主的申告という考え方もあろうかと思う」

 結局、進行役の与謝野馨経済財政担当相が「所得制限を設けないとも設けるとも、実はどちらにも決めていない」と議論を引き取り、首相の「全世帯配布」の方針をあっさり撤回した。財政再建に重点を置く与謝野氏は、そもそも財政支出を極力抑えたいとの立場。給付金の景気対策としての実効性にも疑問を抱いており、翌11月1日にはテレビで「高い所得の世帯にお金を渡すのは常識から言って変だ」と語った。

 これに対して、巻き返しに出たのが景気対策重視派だ。中川昭一財務・金融担当相は4日、「事務手続きをやっていくとかなり時間がかかる。年度内で迅速にという観点からは一律にやらざるを得ない」と与謝野氏の意向に猛反発した。

 しかし、この時点では、首相は与謝野氏に傾いた。首相は中川氏発言の4日、「貧しいとか生活に困っているところに出す。豊かなところに出す必要はない」と与謝野氏に同調した。ただ迷走する首相に対しては、与党内から「首相の指導力不足」などの声が噴出した。

 10日には、事務作業の膨大化を懸念する自治体を代表し、全国市長会長の佐竹敬久秋田市長が「所得制限なしが望ましい」と会見で表明。現場レベルからの「反対」に、首相もようやく、高額所得者に自発的な辞退を促すことを明確に示した。当初、優勢だった与謝野氏も11日には渋々追認するしかなかった。

 こうした中、民主党の小沢一郎代表は11日神戸市内で記者団に対し、首相が高額所得者の自発的な辞退を促す方針を示したことについて「与謝野さんが言っているように『自発的に辞退』というのは制度じゃない」と、首相を批判したうえで与謝野氏にエールを送った。

 与謝野氏が首相の「全世帯配布」方針に強く異を唱えたことについて、自民党幹部は「これまで黒衣の調整役だった与謝野氏が首相の意向を平然と無視したのは、次期首相を目指すという政治的野心が生まれているからだ」と指摘。小沢氏の発言も、次期衆院選後の政界再編を視野に置き、与謝野氏に秋波を送っているとの見方も自民党内で出ている。

 ◇うんざりムードも

 定額給付金を巡る政府方針が二転三転したため、自民党内ではうんざりした雰囲気が漂った。党内では元々、定額給付金の導入に慎重論が根強かっただけに、調整にかかわった党幹部が「やるべきではなかった。財源は税金ということを忘れてはいけないし、胸が痛む」ともらすなど、正式決定前に制度そのものの是非論まで再燃している。

 自民、公明両党は11日、政調幹部が電話などで最終調整を行った。12日の幹事長、政調会長などの会合で決定する方針だが、検討対象は「給付金」という名称の変更まで拡大。笹川尭総務会長は11日の記者会見で、「支給でも給付でも一緒だが、(名称で)迷うなら、鉛筆を転がして、神に委ねるしかない」とあきれ気味に語った。

 定額給付金制度は政府・与党の掲げた追加の経済対策の目玉。迷走の原因が首相自身の発言のぶれにあり、与党内には「普通は発言する前に調整しておくものだ」と、首相の政策決定手法への不満がくすぶる。自民党内では「こんなことで、次期衆院選のタイミングを判断できるのか」(幹部)として、政権運営への懸念も出始めている。

(12日、毎日新聞)

麻生太郎首相が先月(10月)発表した「追加経済対策」の目玉である“定額給付金”制度(仮称)。
総額2兆円規模で実施されるもので、簡単にいえば「全世帯」に金券・クーポン券を支給するという制度である。
国民一人につき1万2000円。18歳以下と65歳以上の国民には、8000円が加算されて、一人につき2万円が支給される。
これについての財源は、特別会計の余り金、いわゆる“埋蔵金”を充て、赤字国債の発行を新たに行うようなことはしない。

麻生首相は会見で、支給対象を「全世帯」と発表したが、この考え方について、与謝野馨経財担当相は「高額取得者が給付金を受給するというのはおかしな話だ」と噛み付いた。
これに対し、中川昭一財務・金融相は「事務手続きをやっていくとかなり時間がかかる。年度内で迅速にという観点からは一律にやらざるを得ない」と、現実的には受給する人・しない人の“線引き”を行うことは難しいという考えを示した。
閣内で「与謝野VS中川」という構図が生まれたのだが、さて、内閣トップの麻生首相の判断はどうか。

そもそも麻生首相は、先月の記者会見で「全世帯」を対象に定額給付金を支給すると提言した。
しかし、与謝野氏が所得制限を設けるよう主張しだすと、麻生首相は与謝野氏の考え方に同調。一転、所得制限を設けることを容認する発言を行った。
首相による、このいきなりの“方向転換”に、政府・与党内は混乱。現在も“迷走”が続いている。

給付金を全世帯に支給し、それを景気対策につなげたいという麻生首相。
年収が5000万円も1億円もあるような高額取得者は、支給対象から外すべきだという与謝野氏。
いや、現実的にはそんなことは難しい。決めた以上は、全世帯に給付すべきだという中川氏。
――3人とも、主張したいことは分かる。また、理解できる。
しかし、与謝野氏と中川氏の意見が衝突し、麻生首相が未だに“どっちつかず”の状態を続けているから、この問題は迷走している。
ここはトップリーダー、すなわち麻生首相の“決断”が必要な時だろう。麻生首相には、ぶれない姿勢で決断をしてもらいたい。
各自治体・市町村による支給裁量が実施される枠組みは決定したが、それならそれでいい。大事なのは、麻生首相が「こうします」としっかりメッセージを打ち出すことだ。

私自身が今回の件をどういう風に考えるかというと、これは人間の“品格”の問題だと思う。
たしかに、無条件で1万2000円が貰えるのは嬉しい。これで何か買おうとも思う。11日に政府・与党が固めた方針によれば、年収1800万円以上の人は「辞退すべきだ」とのことだ。
では、「江戸っ子」ならどうするだろう。
お金に困る江戸っ子なら「こんなもの要らねえや。孤児にでもくれてやれ」とやせ我慢して受け取りを拒否するだろうし、高額所得者の江戸っ子なら「倍にして返してやらあ」とやはり受け取りを拒否し、さらにはその倍の額を政府に寄付するなり、募金するなりするだろう。

対して、金がないから貰える金は最大限貰おうとし、「お前は高額所得者だから辞退しろ」と言われてもそれを拒否して、自分の懐に金を入れる。
そんな“セコい”人間の行き着く先は、堀江貴文か小室哲哉である。守銭奴のような人間は、最後には堕落し腐敗する。シェークスピアを観てもそれは明らかだ。
某野党第一党の党首は、国民の税金で私的不動産を購入し、セコセコと財産を増やしている(※)が、こんな人間は必ず逮捕される。
どんなに落ちぶれても、無様な“セコさ”を世間に見せるような人間にはなりたくない。「お前、貧乏だよね」と言われても「うるせえ!おれは貧乏じゃない」と、家具を売り払ってスッカラカンの家の中で叫ぶような人間に私はなりたい。

定額所得者も、高額所得者も、定額給付金の受け取りを拒否しよう。
あるいは、受給した金で国債を購入してもいいし、どこかの慈善団体に寄付してもいい。
「金が欲しい。金くれ!」などと公言するような“セコい”人間になって金集めに必死になるぐらいなら、生活費も貯金も一切なくなって、餓死する。それも一つの美徳だろう。

――ちょっと話が大袈裟になってしまった感があるが、受給した1万2000円で何か商品を購入することも、立派な“景気回復対策”の一環だ。とりあえず、その商品を販売したり製造したりしている企業は助かる。
だから、貰った1万2000円を単純貯蓄するのだけはやめよう。それで何かを買おう。
不景気な時こそ金を使う。国民みんなが商品の代替機能として、紙幣や硬貨を使用すれば、不景気なんてすぐになくなる。景気回復なんてすぐに実現する。

景気を悪くしたのは、他ならぬあなた、国民である。もちろん、そんな意識はないかもしれない。赤字国債を発行したのは政治家の一部であって、自分には関係ないと思うかもしれないが、その政治家を選んだのはあなた自身である。同時に私自身でもある。
自分で悪くした景気を、自分で回復させてみようじゃないか。そのために、一番簡単な方法。
それは、お金を使う。商品を買う。企業に対してお金を消費する。

使いませんか? お金。




<追記>

色々事情があって、私はこの2年以上、夕方ニュースは『速ホゥ!』(テレビ東京)という番組だけを見てきた。
もちろん、私はニュース番組マニアだから、他の番組もチェックしていたが、内容にまでしっかり踏み込んだのは『速ホゥ!』だけだった。
この秋、『速ホゥ!』は終わった。もうテレビ東京の夕方ニュースを見る義理はないので、私の大好きな三雲孝江キャスターが出演する『イブニング・ファイブ』(TBSテレビ)を見てみた。

一昨日(10日)には、我が国自衛隊の少年自衛官(16歳前後)の訓練や寮生活などについての特集が放送されていた。批判的な報道ではなく、むしろ防衛省のイメージビデオを見ているかのようで、私としては大変見やすかった。『イブニング・ファイブ』はなんて素晴らしい特集を放送するんだろうと思った。
昨日(11日)は「麻生首相の『ホッケの煮付け』は都内料理店に実在した!」というニュースがトップニュースで放送されていたし、今日(12日)の放送では、不法移民の家庭に生まれ、自分を日本人だと思いながら13年間過ごしてきた女子中学生のドキュメンタリー特集が放送されていた。

本当にもう、『イブニング・ファイブ』は素晴らしい番組なのである。私は寝返った。私は今週から『イブニング・ファイブ』派である。改めて、テレビ東京とはキッパリ縁を切る。

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2008年11月05日

「黒人初の大統領」は、不治の病「ブッシュ病」を治せる救世主なのか


mccain_and_pailin_20081004.jpg(C)ロイター
幻に終わった「マケイン大統領」と「ペイリン副大統領」

mccain_abd_pailin_20081104_part2.jpg(C)ロイター
互いに抱き合うマケイン氏とペイリン氏



4日(日本時間5日)投開票された、2008年米大統領選では、民主党のバラク・オバマ候補が、共和党のジョン・マケイン候補を破り、米政治史上「黒人初」の大統領に就任することが決定した。

米大統領選というのは、敗北した候補が勝利した候補に祝辞の電話をし、敗北した候補が「敗北宣言」をした後に、勝利した候補が「勝利宣言」をする。
今回の選挙も同様に、マケイン氏がオバマ氏に祝意を示す電話を行い、「敗北宣言」を行い、それからオバマ氏の「勝利宣言」が行われた。
オバマ氏の「勝利宣言」が行われた会場は数万人規模の支持者が収容できる造りとなっていたが、マケイン氏のスピーチ会場は約3,000人規模(招待された支持者のみ入場可)と、オバマ氏と比較して小さめの会場だった。
今回の大統領選を、一種、象徴するかのような演説会場の広さの差であった。

マケイン候補の「敗北宣言」全文(英文)は以下の通り。

John McCain concession speech

guardian.co.uk

Thank you. Thank you, my friends. Thank you for coming here on this beautiful Arizona evening.

My friends, we have we have come to the end of a long journey. The American people have spoken, and they have spoken clearly. A little while ago, I had the honour of calling Senator Barack Obama to congratulate him.

(Crowd boos)

Please.

To congratulate him on being elected the next president of the country that we both love.

In a contest as long and difficult as this campaign has been, his success alone commands my respect for his ability and perseverance. But that he managed to do so by inspiring the hopes of so many millions of Americans who had once wrongly believed that they had little at stake or little influence in the election of an American president is something I deeply admire and commend him for achieving.

This is an historic election, and I recognize the special significance it has for African-Americans and for the special pride that must be theirs tonight.

I've always believed that America offers opportunities to all who have the industry and will to seize it. Senator Obama believes that, too.

But we both recognise that, though we have come a long way from the old injustices that once stained our nation's reputation and denied some Americans the full blessings of American citizenship, the memory of them still had the power to wound.

A century ago, President Theodore Roosevelt's invitation of Booker T Washington to dine at the White House was taken as an outrage in many quarters.

America today is a world away from the cruel and frightful bigotry of that time. There is no better evidence of this than the election of an African-American to the presidency of the United States.

Let there be no reason now ... Let there be no reason now for any American to fail to cherish their citizenship in this, the greatest nation on Earth.

Senator Obama has achieved a great thing for himself and for his country. I applaud him for it, and offer him my sincere sympathy that his beloved grandmother did not live to see this day. Though our faith assures us she is at rest in the presence of her creator and so very proud of the good man she helped raise.

Senator Obama and I have had and argued our differences, and he has prevailed. No doubt many of those differences remain.

These are difficult times for our country. And I pledge to him tonight to do all in my power to help him lead us through the many challenges we face.

I urge all Americans ... I urge all Americans who supported me to join me in not just congratulating him, but offering our next president our good will and earnest effort to find ways to come together to find the necessary compromises to bridge our differences and help restore our prosperity, defend our security in a dangerous world, and leave our children and grandchildren a stronger, better country than we inherited.

Whatever our differences, we are fellow Americans. And please believe me when I say no association has ever meant more to me than that.

It is natural. It's natural, tonight, to feel some disappointment. But tomorrow, we must move beyond it and work together to get our country moving again.

We fought we fought as hard as we could. And though we feel short, the failure is mine, not yours.

(Crowd: "No!")

I am so...

(Crowd begins chanting)

I am so deeply grateful to all of you for the great honour of your support and for all you have done for me. I wish the outcome had been different, my friends.

The road was a difficult one from the outset, but your support and friendship never wavered. I cannot adequately express how deeply indebted I am to you.

I'm especially grateful to my wife, Cindy, my children, my dear mother ... my dear mother and all my family, and to the many old and dear friends who have stood by my side through the many ups and downs of this long campaign.

I have always been a fortunate man, and never more so for the love and encouragement you have given me.

You know, campaigns are often harder on a candidate's family than on the candidate, and that's been true in this campaign.

All I can offer in compensation is my love and gratitude and the promise of more peaceful years ahead.

I am also, I am also, of course, very thankful to governor Sarah Palin, one of the best campaigners I've ever seen ... one of the best campaigners I have ever seen, and an impressive new voice in our party for reform and the principles that have always been our greatest strength ... her husband Todd and their five beautiful children ... for their tireless dedication to our cause, and the courage and grace they showed in the rough and tumble of a presidential campaign.

We can all look forward with great interest to her future service to Alaska, the Republican party and our country.

To all my campaign comrades, from Rick Davis and Steve Schmidt and Mark Salter, to every last volunteer who fought so hard and valiantly, month after month, in what at times seemed to be the most challenging campaign in modern times, thank you so much. A lost election will never mean more to me than the privilege of your faith and friendship.

I don't know, I don't know what more we could have done to try to win this election. I'll leave that to others to determine. Every candidate makes mistakes, and I'm sure I made my share of them. But I won't spend a moment of the future regretting what might have been.

This campaign was and will remain the great honour of my life, and my heart is filled with nothing but gratitude for the experience and to the American people for giving me a fair hearing before deciding that Senator Obama and my old friend Senator Joe Biden should have the honour of leading us for the next four years.

(Crowd boos)

Please. Please.

I would not, I would not be an American worthy of the name should I regret a fate that has allowed me the extraordinary privilege of serving this country for a half a century.

Today, I was a candidate for the highest office in the country I love so much. And tonight, I remain her servant. That is blessing enough for anyone, and I thank the people of Arizona for it.

Tonight, tonight, more than any night, I hold in my heart nothing but love for this country and for all its citizens, whether they supported me or Senator Obama, whether they supported me or Senator Obama.

I wish Godspeed to the man who was my former opponent and will be my president. And I call on all Americans, as I have often in this campaign, to not despair of our present difficulties, but to believe, always, in the promise and greatness of America, because nothing is inevitable here.

Americans never quit. We never surrender.

We never hide from history. We make history.

Thank you, and God bless you, and God bless America. Thank you all very much.

本来なら、日本でも指折りの(!?)“アンチ・オバマ”である私が、和訳をすべきところなのだが、You Tube のほうに通訳されたビデオクリップがアップロードされているので、そちらでご覧頂きたい。
パパッと和訳できるほど、そんなに私の英語力は高めではないのだ(「日本語力」のほうも微妙だが)。

マケイン敗北宣言 McCain's concession speech 1/2
マケイン敗北宣言 McCain's concession speech 2/2

しかし、マケイン氏の「敗北宣言」の内容をまとめると、以下のようになる。
カギカッコ内の言葉は、すべてマケイン氏の言葉だ。

 米共和党のマケイン候補は4日夜(中略)、妻のシンディさん、副大統領候補のペイリン・アラスカ州知事らとともに現れ、「長い旅が終わった」と、しばしば笑顔を交え、吹っ切れたような表情で敗北を宣言した。
 会場から挙がる不満の声を制し、まずオバマ氏の勝利に祝福を送ったマケイン氏は「とりわけアフリカ系米国人の人々にとってオバマ氏の勝利は意義深いものだ」と称えた。さらに、党派の違いを乗り越え、米国民として団結するよう支持者に訴えた。
(産経新聞)

 「厳しい戦いを勝ち抜いたオバマ氏に敬意を表したい」
 「米国は常に、努力する人に機会を与える国だ」と強調。また、投票日を目前にして亡くなったオバマ氏の祖母に弔意を示した。
 「意見の相違はあっても、愛する国を率いるオバマ氏に協力したい」
 「同じ米国人として団結しよう」
 「残念な気持ちがあることは確かだが、失敗したのは私で、皆さんではない」
 「家族には負担をかけた。これからは静かな時間を過ごしてもらいたい」とほほ笑んだ。
 「大統領候補として戦ったことを後悔はしない。私の意見に耳を傾けてくれた国民の皆さんに感謝する――たとえその結果、オバマ氏を選んだとしても」と語ると支持者からブーイングの声が上がりかけたが、マケイン氏はそれを制するように「この国に尽くすことが私の喜び」と述べ、「米国は決して負けない。われわれが歴史を作るのだ」と宣言して演説を結んだ。
(CNN.co.jp)

 「オバマ氏は、彼自身のため、そして祖国のために偉大な業績を成し遂げた。私は彼に喝采(かっさい)を送る」
 「相違を埋める必要な妥協を見つけるため、彼を支えるようすべての米国民に求める」
(読売新聞)

 「アメリカの民意が示された」
 「残念に思う気持ちも今夜はあるが、明日はこれを乗り越えて進まなければならない」と述べた。
 またペイリン副大統領候補を、活気にあふれた新しい共和党の声と称賛した。
(ロイター)

今回の選挙戦を振り返ってみて、オバマ氏は実に上手な選挙戦を展開したと思う。
民主党大統領候補予備選ではヒラリー・クリントン上院議員から、本選ではマケイン氏からネガティブ・キャンペーンを受けたが、それらはむしろ、オバマ氏には追い風となった。
国際的な金融危機を迎える国際社会の中で、ネガティブ・キャンペーンに動じないオバマ氏の姿勢は、「頼れるアメリカのリーダー像」を見事に演出した。
オバマ氏を支えた選挙参謀、政策スタッフ、スピーチ・ライター、そして何より、オバマ氏自身の“魅力”の勝利と言えるだろう。

都合により、私はFNN(フジテレビ系列)の開票特番を予約録画して見ることしかできなかったが、そこで安藤優子キャスターはこう発言した。
「オバマ氏は政治家と言うよりは、宗教家みたいですね」。
実に的を射た発言だと思った。オバマ氏は政治家と言うよりは宗教家だった。
慢性的な「ブッシュ病」に侵され、ここ数年、それが不治の病かのごとく悩まされてきた米国民にとって、新たな“神”の登場は不可欠であった。
サブ・プライムローン問題、金融危機――。とにかく「経済」の問題、自分たちの財布に直結する問題を解決してくれる“救世主”が必要だった。

オバマ氏が、自身が「黒人」であることをことさらに強調しなかったことも、オバマ氏にとっては追い風となった。
これまで「黒人」に対して薄いながらも差別感を抱いていた中年以上の白人層は、「公民権運動」の際の黒人たちのように「権利」を声高に主張せず、むしろ、全米国民のリーダーとなるという決意を謳ったオバマ氏を、支持しやすかった。
また、過去の黒人差別も知らないし、「公民権運動」も感覚的によく分からない若者の票も、見事に違和感なく獲得したと言えるだろう。

オバマ氏の大統領選当選を歓迎する声は、どこのメディアを覗いても見受けることが出来るだろう。
だから、私は、ここでマケイン陣営の苦労と努力を称えたい。
サラ・ペイリン・アラスカ州知事を副大統領候補にしたことで、マケイン氏の支持率は、一時、急激に増大した。
しかし、ペイリン氏が“外交政策音痴”であることがバレると、すぐにメディアはペイリン叩きに動いた。
私は、ペイリン氏にはたしかに一部「知識不足」な面があるかもしれないが、ペイリン氏は実に素晴らしい候補者であったと思う。
前回のエントリでも書いたが、同じ「知識不足」でも、ペイリン氏は「向上」を目指し補習に励むタイプ、オバマ氏は「開き直って」無知であり続けるタイプだと理解している。
ペイリン氏が「楽観主義の現実主義者」であったことに対し、オバマ氏が「“救世主”的なファンタジスタ」であったことも、今回のオバマ氏当選の一因だといえるだろう。

これは後日、改めてエントリを書きたいと思うが、私は、ジョージ・W・ブッシュという大統領は、実に優れた、有能な大統領だったと考えている(…けっしてジョークではない)。
ジョージ・W・ブッシュこそは、世界史の中で初めて「テロとの戦い」に初めて参戦した大統領であった。問題だったのは、ブッシュ大統領が、長年に渡り国民的人気を呼び寄せ続けられるような“マラソン型”ランナーではなかったことだろう。

――とにかく、2年以上に渡る戦いは終わった。
「女性初の大統領」が誕生するとも、「黒人初の大統領」が誕生するともいわれた今回の大統領選は、現在生きる米国民にとって、最も記憶に残る熱い選挙戦であったことは間違いない。
ところで、現在、テレビ番組などに出演し「『オバマ大統領』でアメリカは変わる!世界は変わる!」と興奮しているコメンテーターという俗名を持つ人たちが、1〜2年後に、同じようなことを言えるかどうかだった。
私は、どうも、コメンテーターのみなさん方は、1〜2年後には「やっぱりオバマではダメだった。米国民はまたもや間違いを犯した」などと言っているような気がしてしまうのだが。

――とりあえず、私は2012年にサラ・ペイリンの名前が再び浮上することを願ってやまない。私としては、彼女こそが理想的な「アメリカン・プレジデント」だ。
その時は、コンドリーザ・ライスの名前も挙がってくるだろうか?
「オバマ大統領」が米国を“CHANGE”できるか。つまりそれは、オバマ氏が全国民を一つにまとめ、最後の最後まで“Yes,we can”と言わせ続けられるかどうかだ。オバマ氏が、先述したような「マラソン型」ランナーであるかどうかである。
皮肉ではなしに、彼の手腕に期待したい。ちなみに、日米関係はどう変わるのか。それほど劇的な変化があるとは思わないが(現にあってはならないが)、それはまた別の話。

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2008年11月03日

「オバマ大統領」に幻想を抱いている君へ

米国民は、本当に「白人男性」以外を大統領に選ぶのか。

マケイン氏もSNL出演 「自虐コント」演じる

 ニューヨーク(CNN) 米大統領選挙の共和党のマケイン候補は、11月1日夜にNBCで放送されたコメディー番組「サタデー・ナイト・ライブ」(SNL)にゲスト出演し、ライバルである民主党のオバマ候補陣営と比較して選挙資金が不足していることが題材の冒頭コントに出演した。

 マケイン氏は、共和党のペイリン副大統領候補に扮したティナ・フェイと並んで画面に登場。マケイン氏は、オバマ氏が潤沢な選挙資金を背景に、9月29日のプライムタイムに全米の主要3ネットワークで30分CMを放送したことを踏まえ、「わたしたちがCM枠を購入できるのは、テレビショッピングチャンネルのQVCだけ」とにこやかに語る。マケイン氏はまた、「主要3ネットワークに出たいのはやまやまだが、わたしは真の一匹オオカミ。カネがない共和党員です」などと、自虐的なせりふを続ける。

 マケイン氏はフェイとともに、選挙戦関連グッズという設定の「商品」を、テレビショッピングさながらに紹介。マケイン氏のシンディ夫人の「宝石コレクション」には、同氏が民主党上院議員とともに支持した選挙戦改革法案の名称「ファイン・ゴールド」を付けた。同氏はさらに、タウンミーティング形式の討論会の開催提案をオバマ氏に拒否されたことを踏まえ、討論会が10回開催された場合を想定した「記念プレート」を出した。

 ペイリン氏に扮したフェイは、民主党のジョー・バイデン副大統領候補と、オバマ氏の税制改革案を率直に批判した人物としてマケイン氏やペイリン氏が度々言及した「配管業者ジョー」、ペイリン氏が平均的米国人を指すことば「6個入りジョー」を人形化した「ジョーのアクションフィギュアセット」を紹介。マケイン氏はフェイをほめると、「ニューヨークから生放送、イッツ・サタデー・ナイト」の決めぜりふでコントを締めくくった。マケイン氏はこの後の「ウィークリー・アップデート」のコーナーにも登場した。

 マケイン氏はSNLに過去2回出演している。2週間前にはペイリン氏本人がフェイと一緒に登場し、ここ14シーズンのSNLで最高の視聴率を記録した。

(2日、CNN.co.jp)

仏大統領装ういたずらの餌食に=ペイリン氏、野心もちらり?

sara_pailin.jpg(C)ロイター

 【ニューヨーク2日時事】カナダの娯楽ラジオ局「CKOI」は1日、サルコジ仏大統領を装ったコメディアンが米共和党のペイリン副大統領候補にかけた電話の通話内容を放送した。いつか大統領になるのだろうと水を向けられたペイリン氏は、「もしかしたら8年以内にね」と返答。冗談ともつかないやりとりが電波に乗った。

 ペイリン氏は狩猟に行こうと誘われ、「仕事をこなしながら楽しむことができるわ。一石二鳥ね」と応対。偽者のサルコジ大統領が散弾銃で友人を誤射したチェイニー米副大統領に言及すると、「わたしは慎重な射手になるわ」と保証した。また、サルコジ大統領のカーラ夫人を「美しい奥さま」と呼び、結婚を祝福した。

 このコメディアンは要人をかたる手口でサルコジ大統領やシラク前仏大統領を引っ掛けた常習犯。ペイリン陣営は「首脳の仲間入りを果たしてちょっぴり愉快」と悔し紛れの声明を出した。 

(3日、時事通信)

いよいよ明日(4日)投開票を迎える、2008年米大統領選。
有権者登録数は史上最多の10億8000万人を突破し、投票率の大幅アップが予測されている。
米メディアによると、新規登録者の割合は民主党が共和党を上回っているそうで、戦後最高の投票率を記録した1960年(ジョン・F・ケネディ大統領当選時)に迫るとみられている。
しかし、不正登録の被害も拡大しており、激戦のオハイオ州では、新規登録者66万人中20万人分の登録票から誤記や不正が見つかったということで、バラク・オバマ上院議員(民主党)とジョン・マケンイン上院議員(共和党)が小差の争いになった場合、訴訟合戦に発展する可能性もある。

上記の記事にあるマケイン氏の「究極の自虐ネタ」は、たぶんインターネット上の動画投稿サイトにも動画がアップロードされていると思うので、興味のある方は見て欲しい。
とにかく面白い。さすが長年上院議員をやってきただけのことはある。マケイン氏は一流コメディアンだ。

このブログでは過去数回に渡って米大統領選の行方をお伝えしてきたが、概して思うことは、メディアの“偏向”ぶりだ。
米国はもちろんのこと、世界中、あるいは世界のメディアの多くは、バラク・オバマという人物に過度な期待感を持ちすぎているのではないだろうか。
もう明日が投票日だから書いてしまうが、オバマ氏の態度、雰囲気、発言内容、そして話しぶりを見る限り、私はオバマ氏という候補に、非常に強い不信感と不安感を抱いている。
私が思うに、彼は他の大統領選予備選候補者よりも、多少スピーチが上手いだけである。オバマ陣営の最大の功労者はスピーチ・ライターであると言うべきだろう。

先日、コリン・パウエル前国務長官は、共和党副大統領候補であるサラ・ペイリン女史(アラスカ州知事)を「経験不足」「知識不足」などと批判し、また、一部“自称有識者”も、同様の意見を数か月前からメディア上で展開している。
しかし、私が決定的に思うことは、ペイリン氏とオバマ氏の“現場力”の差である。“現場力”とは、現場を知る力、有権者たちの不平不満を肌で知っている度合いのことだ。
ペイリン氏は学生時代から政治に関心を持ち、共和党の政治活動に積極的に参加。州知事となるまでに多くの人々と触れ合い、また、確固とした政治理念を持っている。
それに対し、オバマ氏はどうだろう。たしかに米国内の地方議会議員として活動していた時期はあったが、「イラク戦争」派兵反対を主張する市民団体とのミーティングばかりが目立ってきた。

オバマ氏は「私はイラク戦争開戦時から、イラク戦争に反対していた」と声高に主張し、それを自らの手柄のように仕立てているが、これもオバマ流のパフォーマンス工作である。
彼が当時、イラク戦争開戦に反対できたのは、彼が名もない(また、私に言わせれば責任感もない)一地方議会議員であったからであって、当時、国会議員を務めていた人物でイラク戦争開戦に反対した者は皆無だった。
同時に、これはテレビ討論やインタビューなどを見ても明らかなのであるが、ペイリン氏からは「知識不足」を補おうとする努力が感じられるものの、オバマ氏からそれを感じることが出来ない。
ペイリン氏の語り口からは「向上心」が感じられるが、オバマ氏の語り口からは、知識不足に対する「開き直り」しか感じられない。

――もちろん、以上は私なりの見方であるし、必ずしも100%の客観性を持った文章だとは自分自身でも言い難いが、しかし、この反対以上のことを、世界中のメディアは行っている。
つまり、明らかに世界中のメディアは「オバマ支持」に偏向し切っているのだ。
私がここでオバマ氏批判(のようなもの)をした以上のことを、世界中のメディアは行っている。「オバマこそ善、非オバマなるものは悪」とでも言わんばかりの風潮である。
ここで改めて書いておくが、オバマ氏は「J・F・ケネディの再来」なんかではないし、日本の小浜市にとって好意的な人物ですらない。

もっとも、先の太平洋戦争において、米国がヒロシマ・ナガサキに核爆弾を投下した事実すら知らないのではないか。彼の「知識不足」度合いから言って、それは不思議なことではない。
問題なのは、それでも彼が開き直っていることだ。「事実を知らない」ことが問題なのではない。そんなものは後からいくらでも勉強すればいい。「事実を知ろうとしない」不勉強心こそが問題なのだ。
――私は、米国民が「オバマ大統領」に対し不平不満を漏らし、「やっぱりオバマは大統領には不適格だった…」と嘆く光景を、安易に想像できる。

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posted by Author at 20:47| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 2008米大統領選 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月01日

「田母神論文」をきっかけに、日本政府は過去の戦争を捉え直せ

「思考停止」しか能のない人間が総理になるぐらいなら――。

自著にまだ売れてるの?=麻生首相、書店で買い物

 麻生太郎首相は1日午後、東京・八重洲の「八重洲ブックセンター」を訪れ、読書の秋に備えて御厨貴著「表象の戦後人物誌」など政治、経済関係の書籍4冊を購入した。

 首相は店内で、買い物客に「こんにちは」と声を掛けたり、握手に応じたりしてすっかりリラックスした様子。お気に入りの漫画コーナーには立ち寄らなかったものの、自著の「とてつもない日本」や「自由と繁栄の弧」が陳列された棚を見つけると、「まだこんなものが売れていることが不思議だ」と照れ笑いしていた。
 
(1日、時事通信)

きょう(1日)午後、麻生太郎首相は、JR東京駅近くの大型書店を訪れ、政治・経済関係の書籍4冊を購入した。
麻生首相は文芸書、国際情勢、経済など各コーナーをひと回り。
途中で客から「本を買いに来たんですか?」と声を掛けられると「そうです」と答え、握手にも気軽に応じた。
レジでは自分で財布を取り出し、現金で支払いを済ませた。

麻生首相が購入した書籍は、こんな本だ。
村井哲也著『戦後政治体制の起源―吉田茂の「官邸主導」』(藤原書店)
御厨貴著『表象の戦後人物誌』(千倉書房)

『戦後政治体制の――』は、若手の政治学者が祖父・吉田茂元首相の政治運営などについて考察した本。
『表象の――』は、東京大学大学院教授が、昭和天皇の伴走者・徳川義や、保守本流に位置した危機の宰相・池田勇人など、戦後日本を代表する人物の行動などを描いた本である。

――さて、解散・総選挙について、自民党幹部の発言である。

<自民・大島氏>「年内の衆院解散難しい」

 自民党の大島理森国対委員長は1日、青森県八戸市で記者団に「現実的に『クリスマス解散』をやって経済対策がすべて実現できるとは思わない」と述べ、年内の衆院解散は難しいとの見方を示した。

 大島氏は「選挙より経済対策と決定した。どんなことをしても実現しなければならない。今年度の補正予算案に盛り込まれたものは何が何でも実現しないとならない」と指摘し、第2次補正予算成立を最重視すべきだとの考えを示した。

 また麻生太郎首相が年内の衆院選を先送りした理由について「10月のアジア欧州会議で各国首脳が(大統領選が行われる)米国と経済ナンバー2の日本が、時同じくして政治の安定感がなくなることを心配した。首相の決断の中で大きい一つだったと思う」と語った。【喜浦遊】

(1日、毎日新聞)

――今日の新聞各紙朝刊のトップ記事は、浜田靖一防衛相が、航空自衛隊トップの田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長が更迭されたという記事だ。
これは、田母神氏が自身の実名で『日本は侵略国家であったのか』と題する論文を発表したことを受けての対応だ。

麻生内閣は、1995年発表の「村山談話」と2005年発表の「小泉談話」を踏襲し、大東亜戦争など過去の日本の戦争において、日本が植民地支配と侵略によりアジア諸国の人々に多大な迷惑を与えたとする姿勢を示している。
これに対し、田母神氏の論文は、日中戦争について「我が国は蒋介石により戦争に引きずり込まれた被害者」と指摘し、旧満州や朝鮮半島が「日本政府と日本軍の努力によって、圧制から解放され、生活水準も格段に向上した」と植民地支配を正当化している。

憲法にある「思想・良心の自由」の記述から言って、田母神氏個人がいかなる政治思想を持っていたとしても、たとえ田母神氏が政府(防衛省)の幹部であったとしても、なんら問題はない。それは“私的見解”の範疇だからだ。
しかし、政府(麻生内閣)の“公式見解”と政府(防衛省)の幹部の“公式見解”がちぐはぐになってしまっていることは問題だ。“公式見解”については、厳正に統一化する必要がある。
大東亜戦争に関する思い入れがどんなに強いとしても、政府(防衛省)幹部である人間が、政府(内閣)の“公的見解”と異なる“私的見解”を実名で公表したことには問題があると言うしかない。

特筆すべきは、田母神氏が「確信犯」である点であろう。
防衛省幹部である身分を利用して、政府と異なる“私的見解”を公表した、との批判を受けても致し方ない。
私自身は、田母神氏の言っていることは否定できない面があると思うし、また一理ある思考だとも思うが、この種の発言は、政府(防衛省)の要職にあっては厳に慎むべき発言だ。
その点、田母神氏の論文がインターネット上に掲載された当日(先月31日)に、浜田防衛相が田母神氏を更迭したことは、実に迅速な対応であったと言える。

先日、大阪府の橋下徹知事が「日教組」批判を行ったが、「日教組」について、大阪府の“公式見解”というものはない。だから、橋下知事が「日教組」批判をしたとしても、それが府内(地方自治体内)の“公式見解”を逸脱することはありえない。
また、明らかに府知事の“私的見解”と思われる発言が存在したからといって、それが府(地方自治体)としての“公式見解”だと解釈することには、常識的に言って無理があるだろう。

ただし、「本当に日本の過去の戦争は侵略戦争であったのか」という点について、もう少し真剣に、「村山談話」の存在が現代日本で正当性があると解釈することが妥当であるかということを、政府・国民は真剣に検討する必要があるだろう。
過去に発表されたものは覆せない、過去に発表されたものはすべて正しい、ということでは、政治経済学者の小室直樹氏の指摘する通り、日本は「伝統主義」という呪縛から抜け出すことができない。
安倍晋三元首相が「村山談話」や「河野談話」を踏襲したというのは、今考えてもおかしな話であるし、政権が交代するごとに、日本国政府は、過去の日本のあり方について、真剣にその立ち位置を検討する必要性があるのではないか。
――ちなみに、小室氏の著書の愛読者は、田母神氏の“私的見解”と同じような意見を持っていると思う。

最後に重ねて申し上げるが、私は、田母神氏の意見が正しいと言っているのではない。しかし、そういう見方があり得るのも事実だ。
新しい政権が、必ずしも過去の首相談話を踏襲しなければならないという規則など存在しない。
政権ごとに、過去の戦争について、真剣に捉え直す――。“慣行的”に、過去の日本の歴史を真剣に考察することなくやり過ごすようなことは、今後、決してあってはならない。
私は、思考停止で「『過去の戦争悪かった』って、昔の総理が言ったんで、私もそれでいいです」と発言するような首相よりは、 「やはり、私は必ずしも『過去の戦争を侵略戦争』と決め付けることは出来ません」と発言するような首相のほうがいいと思う。
たとえ新しい総理大臣が間違った知識を持っていたとしても、思考停止の人間が総理大臣になるよりはマシだ。

――こういった「理想論」を現実のものにするためには、やはり政界再編が必要かもしれない。

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posted by Author at 21:42| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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