2008年11月01日

「田母神論文」をきっかけに、日本政府は過去の戦争を捉え直せ

「思考停止」しか能のない人間が総理になるぐらいなら――。

自著にまだ売れてるの?=麻生首相、書店で買い物

 麻生太郎首相は1日午後、東京・八重洲の「八重洲ブックセンター」を訪れ、読書の秋に備えて御厨貴著「表象の戦後人物誌」など政治、経済関係の書籍4冊を購入した。

 首相は店内で、買い物客に「こんにちは」と声を掛けたり、握手に応じたりしてすっかりリラックスした様子。お気に入りの漫画コーナーには立ち寄らなかったものの、自著の「とてつもない日本」や「自由と繁栄の弧」が陳列された棚を見つけると、「まだこんなものが売れていることが不思議だ」と照れ笑いしていた。
 
(1日、時事通信)

きょう(1日)午後、麻生太郎首相は、JR東京駅近くの大型書店を訪れ、政治・経済関係の書籍4冊を購入した。
麻生首相は文芸書、国際情勢、経済など各コーナーをひと回り。
途中で客から「本を買いに来たんですか?」と声を掛けられると「そうです」と答え、握手にも気軽に応じた。
レジでは自分で財布を取り出し、現金で支払いを済ませた。

麻生首相が購入した書籍は、こんな本だ。
村井哲也著『戦後政治体制の起源―吉田茂の「官邸主導」』(藤原書店)
御厨貴著『表象の戦後人物誌』(千倉書房)

『戦後政治体制の――』は、若手の政治学者が祖父・吉田茂元首相の政治運営などについて考察した本。
『表象の――』は、東京大学大学院教授が、昭和天皇の伴走者・徳川義や、保守本流に位置した危機の宰相・池田勇人など、戦後日本を代表する人物の行動などを描いた本である。

――さて、解散・総選挙について、自民党幹部の発言である。

<自民・大島氏>「年内の衆院解散難しい」

 自民党の大島理森国対委員長は1日、青森県八戸市で記者団に「現実的に『クリスマス解散』をやって経済対策がすべて実現できるとは思わない」と述べ、年内の衆院解散は難しいとの見方を示した。

 大島氏は「選挙より経済対策と決定した。どんなことをしても実現しなければならない。今年度の補正予算案に盛り込まれたものは何が何でも実現しないとならない」と指摘し、第2次補正予算成立を最重視すべきだとの考えを示した。

 また麻生太郎首相が年内の衆院選を先送りした理由について「10月のアジア欧州会議で各国首脳が(大統領選が行われる)米国と経済ナンバー2の日本が、時同じくして政治の安定感がなくなることを心配した。首相の決断の中で大きい一つだったと思う」と語った。【喜浦遊】

(1日、毎日新聞)

――今日の新聞各紙朝刊のトップ記事は、浜田靖一防衛相が、航空自衛隊トップの田母神(たもがみ)俊雄・航空幕僚長が更迭されたという記事だ。
これは、田母神氏が自身の実名で『日本は侵略国家であったのか』と題する論文を発表したことを受けての対応だ。

麻生内閣は、1995年発表の「村山談話」と2005年発表の「小泉談話」を踏襲し、大東亜戦争など過去の日本の戦争において、日本が植民地支配と侵略によりアジア諸国の人々に多大な迷惑を与えたとする姿勢を示している。
これに対し、田母神氏の論文は、日中戦争について「我が国は蒋介石により戦争に引きずり込まれた被害者」と指摘し、旧満州や朝鮮半島が「日本政府と日本軍の努力によって、圧制から解放され、生活水準も格段に向上した」と植民地支配を正当化している。

憲法にある「思想・良心の自由」の記述から言って、田母神氏個人がいかなる政治思想を持っていたとしても、たとえ田母神氏が政府(防衛省)の幹部であったとしても、なんら問題はない。それは“私的見解”の範疇だからだ。
しかし、政府(麻生内閣)の“公式見解”と政府(防衛省)の幹部の“公式見解”がちぐはぐになってしまっていることは問題だ。“公式見解”については、厳正に統一化する必要がある。
大東亜戦争に関する思い入れがどんなに強いとしても、政府(防衛省)幹部である人間が、政府(内閣)の“公的見解”と異なる“私的見解”を実名で公表したことには問題があると言うしかない。

特筆すべきは、田母神氏が「確信犯」である点であろう。
防衛省幹部である身分を利用して、政府と異なる“私的見解”を公表した、との批判を受けても致し方ない。
私自身は、田母神氏の言っていることは否定できない面があると思うし、また一理ある思考だとも思うが、この種の発言は、政府(防衛省)の要職にあっては厳に慎むべき発言だ。
その点、田母神氏の論文がインターネット上に掲載された当日(先月31日)に、浜田防衛相が田母神氏を更迭したことは、実に迅速な対応であったと言える。

先日、大阪府の橋下徹知事が「日教組」批判を行ったが、「日教組」について、大阪府の“公式見解”というものはない。だから、橋下知事が「日教組」批判をしたとしても、それが府内(地方自治体内)の“公式見解”を逸脱することはありえない。
また、明らかに府知事の“私的見解”と思われる発言が存在したからといって、それが府(地方自治体)としての“公式見解”だと解釈することには、常識的に言って無理があるだろう。

ただし、「本当に日本の過去の戦争は侵略戦争であったのか」という点について、もう少し真剣に、「村山談話」の存在が現代日本で正当性があると解釈することが妥当であるかということを、政府・国民は真剣に検討する必要があるだろう。
過去に発表されたものは覆せない、過去に発表されたものはすべて正しい、ということでは、政治経済学者の小室直樹氏の指摘する通り、日本は「伝統主義」という呪縛から抜け出すことができない。
安倍晋三元首相が「村山談話」や「河野談話」を踏襲したというのは、今考えてもおかしな話であるし、政権が交代するごとに、日本国政府は、過去の日本のあり方について、真剣にその立ち位置を検討する必要性があるのではないか。
――ちなみに、小室氏の著書の愛読者は、田母神氏の“私的見解”と同じような意見を持っていると思う。

最後に重ねて申し上げるが、私は、田母神氏の意見が正しいと言っているのではない。しかし、そういう見方があり得るのも事実だ。
新しい政権が、必ずしも過去の首相談話を踏襲しなければならないという規則など存在しない。
政権ごとに、過去の戦争について、真剣に捉え直す――。“慣行的”に、過去の日本の歴史を真剣に考察することなくやり過ごすようなことは、今後、決してあってはならない。
私は、思考停止で「『過去の戦争悪かった』って、昔の総理が言ったんで、私もそれでいいです」と発言するような首相よりは、 「やはり、私は必ずしも『過去の戦争を侵略戦争』と決め付けることは出来ません」と発言するような首相のほうがいいと思う。
たとえ新しい総理大臣が間違った知識を持っていたとしても、思考停止の人間が総理大臣になるよりはマシだ。

――こういった「理想論」を現実のものにするためには、やはり政界再編が必要かもしれない。

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posted by Author at 21:42| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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