2008年11月15日

ドラマ『告知せず』でボロ泣き! 高畑淳子の演技力は凄まじすぎる


kokuchi_sezu_01.jpg(C)テレビ朝日

今夜9時00分から先程11時21分まで放送された、芸術祭参加ドラマ『告知せず』(テレビ朝日)を観た。

私は『3年B組金八先生 第5シリーズ』(TBSテレビ)以来(いわば比較的最近になってからだが)、高畑淳子さんという女優に興味を持っていて、ここ数年で彼女の演技やそのキャラクターが、多彩なドラマやバラエティー番組にまで広まっていたのを大変嬉しく思っていた。

高畑さんの存在を世に知らしめた決定的なドラマと言えば、『白い巨塔』(フジテレビ)だろうか。
あのドラマでは、高畑さんは石坂浩二さん演じる大学病院の外科部長・東教授の夫人役を好演していて、大学病院の「教授選挙」を婦人会の側から操る(?)みたいな役どころだった。

今夜放送されたドラマ『告知せず』でも、高畑さんは医師の夫人を演じている。
『白い巨塔』よろしく、今回のドラマにも「教授選」というキーワードが出てきた。

――それで、このドラマの感想であるが、とにかく本当にもう感動した。
渡哲也さんの息子に生まれたら私はそのプレッシャーで圧死してしまうだろうと感じたが、そんな感想はさておき、このドラマを見て私は中盤ぐらいからボロ泣きしてしまった。

ドラマのあらすじを簡単に書くと、長谷川誠至(渡哲也)は何十年も大学病院で医師として働いており、これまで多くのがん患者に「がんの告知」をして来た。
患者本人に「がんの告知」をしないほうがいいんじゃないかという患者家族の意見も聞いた上で、過去、長谷川は患者たちに「がん告知」をして来た。もちろん、その中には、救えなかった患者もいる。

長谷川の息子・涼(滝沢秀明)も父同様に医者となり、父の働く大学病院で研修医として働くことが決まった。
ある日、長谷川の妻・十央子(高畑淳子)が腸に激痛を感じ、救急車で長谷川の働く大学病院に運ばれる。手術の末、桑原医師(古谷一行)から「腸閉塞」だと告げられる十央子。
桑原は長谷川に話す。「あなたの奥さんは実は小腸にがんが出来ていて、それが全身に転移しています。私のほうから奥さんに告知してもいいが、あなたはベテランの外科医だ。あなたが奥さんにがんであることを告知すべきではないでしょうか」。

長谷川は、告知すべきかどうか悩んだ末、十央子にがんの事実を「告知しない」ことを決断する。
そのことを知った桑原から、長谷川は「あなたはこれまで多くの患者に告知をしてきたじゃないか。あなたが奥さんに告知しないなら、主治医である私が奥さんに告知します」と言われてしまう。
結局、その場では「私の口から告知します…」と答える長谷川だったが、告知が出来ぬままでいる。
そうした間にも、がんは十央子の身体を蝕んでいく――。

――私にはあまり文章説明能力がないみたいなので、これでちゃんとあらすじが伝わったかどうか微妙なのだが、ちゃんとしたあらすじは、番組公式サイトでご覧頂きたい。

自分の身体の不調に気付きながらも、「教授選」を控える夫のため、また、息子に心配をかけたくないという思いから、体調の悪さを必死にひた隠し、明るく気丈に振舞う十央子。
そんな明るくも悲しい女性を、高畑淳子という女優が、信じられないほど凄まじい演技力で演じ切っている。
現時点では、私は高畑淳子さんこそが世界一の役者だと確信してしまうぐらいだ。もうとにかく凄まじい。「リアル」の一言では片付けられない名演ぶりだった。

私としては、十央子の妹(美保純)が、入院する十央子の病室を訪ねるシーンで、一番号泣してしまった。
兄弟、姉妹の関係って、ああいうものなんだよなあ。
このドラマでは高畑淳子という女優の底知れぬ演技力(信じられないほどリアルにがん患者を演じていた)を、心臓をワシ掴みされるように痛感させられたわけだが、美保純さんも、かなりかなり好演していた。
美保純さんが号泣するシーンに合わせて、私も号泣してしまった。恐るべし美保純。

あとは、宮川彬良さん作曲の音楽もよかった。
オープニングを飾り、劇中でも印象的に使用されていた。素晴らしいの一言だ。

今夜は、本当によいドラマを見させてもらった。
それなりに長い年数「人間」をやっていると、どうしても、ドラマに登場する人物に、実在の人物を照らし合わせてしまうものだ。
そういう意味でこのドラマは非常に卑怯である。ここまで人間を感動させてしまうような「がん」ドラマは、この作品ぐらいなものだろう。

もしも自分の愛する人ががんになったら、そして自分がそれを本人に知らせる役目だとしたら、あなたは「告知」ができるだろうか?
そんなことを感じさせられたドラマだった。


<追記>

「感動させられたドラマ」つながりで、TBSテレビには『私は貝になりたい』(1994年版)を再放送してほしい。
中居正広さん主演の映画版が現在ロードショー中で、フランキー堺版の映画も名作の評価を受けているが、TBSテレビ版はたぶんセルVHS化もされていない。
私は、所ジョージさんが主人公を演じている、このTBS版の『私は貝になりたい』をまた観たい。
TBSでこのドラマが放送された夜には、『NEWS23』で、筑紫哲也キャスターらが感想を述べ合っていたっけ。

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posted by mityosi at 23:58| 東京 霧| Comment(4) | TrackBack(1) | 映画・音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
貴方と同様で、涙の中で、のめりこんでしまいました、
私も同様の、兄貴の経験があって、これを機会に、ブログでその経過を書いています、『告知せず』の物語:で3日
分くらいになると思います。
Posted by 花-maru、こと、丸山 渉軌 at 2008年11月19日 09:18
花-maru、こと、丸山 渉軌 さん、コメントありがとうございます。
やはり身内や知り合いにがん患者がいると、ドラマの見方も少し変わってきますよね。
今や、日本では2人に1人ががんになるそうですから。
ブログ、読ませていただきます。
Posted by mityosi at 2008年11月19日 22:55
はじめまして。
2月の1日に高松で高畑さんのお話の会がありまして、その時に、ご本人のお話から直接伺ってきたものです。実は、高畑さん、3年ほど前におとうさまを膀胱がんで亡くされていたのだそうです。小さな町医者に通院していて、十分な治療をしていなかったばっかりに発見が遅れて、大病院に転院した時は、すでに手遅れだったそうです。それで、ずっと最期を看取ったそうなのですが、その時のおとうさまの様子をあそこで再現した、とおっしゃっていました、だからリアリティがあった、ということなのです。でも、そういうおとうさまの最期の時でも、そういうふうにシビアに観察をしていた部分もあったのだと思うと、その演技研究の冷静さにもちょっとびっくりしました。
Posted by 謙介 at 2009年02月03日 22:57
謙介さん、コメントありがとうございます。
高畑さんの演技の背景には、そういう事実があったのですね…。わざわざブログにコメントを寄せて下さり、本当にありがとうございます。
今日、がんは2人に1人がなる時代で、それ自体はもしかしたら「大したこと」ではないのかもしれません。しかし、そのような数字の面からは計れない「物語」が、一人ひとりの患者さんに、そしてご家族にはあるんですよね。そのミクロな面を忘れてはいけないと思います。
お父様の闘病を女優の視点からも見ていた、という点には脱帽です。故・筑紫哲也氏もがん闘病中にがん治療について、入院中、担当医に取材していたと聞きました。これらは一種の職業病なのかもしれません。
Posted by mityosi at 2009年02月04日 22:15
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Tracked: 2009-03-06 08:31