2009年01月20日

次の選挙を意識して…!? 「消費税」明記をめぐり自民党内真っ二つ

蒸し返された「消費税論議」。今国会最大の政局となるか――。

<読む政治>「消費税」蒸し返す自民

jimin_20090119.jpg(C)毎日新聞

◇国の将来より目先の選挙

 政府・与党でいったん決着をつけたはずの「消費税増税」問題を、自民党が蒸し返している。09年度税制改正法案の付則に、昨年12月24日に閣議決定された「中期プログラム」の内容を盛り込むかどうかの攻防だ。

 定額給付金の是非が問われた国会の第1関門を「造反2人」でしのいだ直後にもかかわらず、麻生太郎首相に近い自民党幹部は警戒感を募らせていた。

 「この問題は党を割るよ。麻生政権で最大の党内政局だ」

 第2次補正予算案が衆院を通過した翌14日、党本部で開催された政調全体会議で増税路線への反発が一挙に噴き出したためだ。

 「消費税は行政改革や公務員改革とセットで論ずるべきだ」(塩崎恭久元官房長官)▽「党内で平場の議論がなされていない」(世耕弘成元首相補佐官)

 以前から増税に慎重な「上げ潮派」の中川秀直元幹事長は「(税率を引き上げたら)景気は二番底、三番底に落ちていく」と執拗(しつよう)に反対論を繰り返した。

 税財政改革の道筋を示す「中期プログラム」には、景気回復を前提として「消費税を含む税制抜本改革を2011年度より実施」と書かれている。法案の付則に明記することも閣議決定済みだ。

 ところが、「年末だったのでちゃんと読んでいなかった」(中堅議員)という単純な理由に加え、次期衆院選への不安感が増税反対の大合唱を生んだ。従来と異なるのは、一部に「離党してほしいのは、麻生首相の方だ」などと麻生降ろしの機運が芽生えたことだ。

 中川氏は全体会議後の14日午後、自民党議員のパーティーでのろしを上げた。「これからは消費増税が政局、政策の焦点になる」

◇付則修正で妥協探る

 自民党内で消費税が蒸し返されそうな兆候はすでにあった。

 今月4日の年頭記者会見で麻生首相が「景気回復の後に増税をお願いする」と、消費税問題を次期衆院選の争点に掲げる意向を示したところ、6日には山本一太参院議員ら中堅・若手7人が消費増税に反対する勉強会を発足させた。

 8日午前の衆院予算委員会では、中川氏に担がれて昨年9月の党総裁選に出た小池百合子氏がさらりと首相を皮肉った。「(景気回復に向けて)みんなで頑張っていこうという時に『あちらにもうオオカミ(消費増税)が控えていますよ』というのはどうかな」

 自民党国対幹部は小池氏の質問を聞いて、「キナ臭さ」を感じ取ったという。

 14日の政調全体会議を起点に、麻生首相も火消しに乗り出した。15日朝には町村信孝前官房長官ら主な派閥領袖に電話を入れ、「昨年末の閣議決定の線で頼みます」と協力を依頼した。麻生派座長の中馬弘毅氏も首相の意向で各派閥を回った。

 しかし、党内の不満は収まらない。15日に町村派が開いた消費税の勉強会でも、付則への明記に理解を示す意見は皆無だった。町村氏は直後の派閥総会で「総理がぶれたとなると政治的なマイナス効果もある」と収拾を促したが、派閥の代表世話人の一人である谷川秀善氏は「選挙にマイナスになるようなことは知らん顔するようなことでないと。勝ってなんぼやから」と露骨に注文をつけた。

 最大派閥の町村派が反麻生の発火点になったら困る。そう考えて動き出したのは、麻生氏と盟友関係にある安倍晋三元首相だ。

 15日の派閥総会後、安倍氏は中川氏や町村氏らに対し「消費税を政局にする余裕はない」と付則の文案修正を持ちかけた。中川氏が「11年度までに(増税)準備のための法整備を行う」とする案を示すと、安倍氏は首相に電話をかけ、「この案なら町村派は大丈夫です。塩崎氏まで責任は持てる」と説明した。

 塩崎氏に近い茂木敏充前行革担当相らも15日に修正案をまとめ、町村氏や津島雄二党税調会長らは18日、妥協案を探った。ただし、中期プログラムの作成を主導してきた与謝野馨経済財政担当相の周辺は「11年度の消費税(増税)をいじったらおしまいだ」と態度を硬化させている。

◇新たな造反、促す民主

 持続可能な社会保障制度を構築するのに、もはや消費税論議は避けられない。しかし、急激な景気の悪化と迫りくる衆院選への不安が、自民党議員を浮足立たせる。国の将来よりも、まずは自分の選挙という感覚だ。

 17日夜、東京都内の公民館。地元商店主らを集めた新年会で、自民党の若手議員が「国民に痛みを強いるのなら、政治家や行政も血を流さなければいけない。首相はあまりに説明不足だ」と訴えると「よしっ」「そうだ」と声が飛んだ。

 「支持率2割の政権がやることか」。公然化する自民党内の首相批判を尻目に、民主党は新たな造反誘引策の検討を始めた。付則に増税時期が明記された場合、付則を削除する修正案を出し、踏み絵を迫る作戦だ。

 民主党の国対幹部がつぶやいた。「消費税での自民党の分裂は、給付金の比じゃない」

(19日、毎日新聞)

きょう(20日)午前、参院予算委員会には麻生太郎首相と全閣僚が出席し、平成20年度第2次補正予算案をめぐる2日目の質疑を行った。
21年度税制改正法案に、消費税増税の時期を明記するかについて、麻生首相は「付則の中にそういった前提、道筋を書かせていただきたいと思っております」と述べ、明記に理解を求めた。
その上で「景気が急激に回復することも悪くなる可能性もある。景気が回復したときにきちんと対応できるように、あらかじめ準備しておく必要がある」と強調した。
消費税率引き上げを次期総選挙のマニフェストに盛り込むかに関しては「消費税の必要性は訴えていかなければならない」と強調。これに対し、公明党の斉藤鉄夫環境相は「今の経済状況で増税は国民の理解を得られない」と述べるにとどめた。

きょう、自民党本部では政調全体会議が開かれ、消費税率の引き上げ時期を予算関連法案の付則に明示すべきかどうかの議論が行われた。
先週2回開かれたこの会合だが、自民党内の意見は真っ二つ、意見はまとまらず、今回3度目の会合を迎えた。

“反対派”である柴山昌彦衆院議員は「誤解を招くような表現では、少なくとも我々としては賛成できない」と述べ、水野賢一衆院議員も「含みを残すべきではないという風に思います」と記者に語った。
党内から“増税論議”をめぐって造反者が出るかについては「造反ということですか? なかなか非常に面白くなってくるんじゃないんですか。うーん」と話した。
前掲の毎日新聞記事にも登場した“反対派”のドン、中川秀直元幹事長は「全自民党議員が皆一致していけるような方向に持っていってもらいたい」、山本一太参院議員は「2011年から引き上げるかのようなニュアンスを発信することは、日本経済に対して、大変負のアナウンスメント効果がある」とそれぞれ述べた。

対して、“賛成派”の後藤田正純衆院議員は、町村派(旧森派)所属の中川氏から反対意見が出ていることを念頭に「森派の方々が(首相を)ずーっとやってきた。じゃあ、その8年間何やってたんですか?と。(明記がなければ)政治家が何もしないっていうのと一緒なんですよ。野党からすると本当に手を叩いて喜ぶような話ですから」と語った。
丸山和也参院議員も「(財政を)きちんと立て直さないでね、その都度その時々いくらいい政策を言ってもダメだと。ここでうやむやな形で明記しないんなら、私は離党をしますよ、と(言った)」と明記の必要性を強調した。

過去2回同様、きょうの政調全体会合でも「反対」の声が根強かったが、これからは党内の各部会にて詳細を議論し合うことになる。
執行部では、税制調査会の幹部を中心に法案の付則に書き込む文章を修正する作業を進めており、それを基に、今週中に党としての結論をまとめたい考えだ。
細田博之幹事長は「そういうものをまとめていくのが自民党の伝統ですから、あまり心配はしておりませんけれども」と、あくまで楽観的である。

しかし、今回の党内における混乱を招いているのは、一般の議員が方針を決める論議に参加できる場が少ないためでもある。
塩崎恭久元官房長官も「党内民主主義が、少しおかしくなっていないか」と述べており、議論の進行の仕方をめぐっても今後問題が生じてくる可能性は高い。
また、党内各派閥の領袖による会合が開かれているが、これは、決まった結論に反発して法案の採決で“造反”したりする議員が出ないよう、引き締めを図る狙いがあるようだ。

麻生首相の姿勢は「景気回復をした後に、2011年度からの増税を国民のみなさんにお願いする」というもので、これ自体は終始一貫ぶれていない。また、予算関連法案の補足に引き上げ時期を明記することについても、姿勢はぶれていない。
しかし、定額給付金騒動から引き続く「麻生批判」と絡めて、中川氏らが“反対”意見を強く打ち出し、これが党内の過半数の議員から賛同を得ているというのが現状だ。
麻生首相が打ち出した「増税ビジョン」に関して、各国会議員が地元後援会などの支持者から「これでは次の選挙は戦えないよ」との言葉を浴びせられているという現実も手伝って、各議員は「増税の“ぞ”の字」すら、次の選挙までは口に出せないと考えているのだろう。
党総裁の意見に物申すことが悪いことだとは思わないが、中川氏らには麻生首相を支えるつもりが最初からない。――このことが今回、如実に露呈している。

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posted by Author at 21:50| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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