2009年02月14日

“小泉発言”に永田町が衝撃 …しかしすべてはシナリオ通り?

小泉元首相の発言に、あれほど森元首相が不快感を示している理由とは?

<小泉発言>古賀誠氏が批判 山崎拓氏は「大勢に影響せず」

 自民党の古賀誠選対委員長は14日、小泉純一郎元首相が定額給付金の財源を確保する08年度第2次補正予算関連法案の衆院再可決に疑問を示したことについて「再可決は党の機関決定を経ている。首相まで経験した方が、政権の足を引っ張る印象を与えるのは慎むべきだ」と批判した。福岡市内で開かれた党福岡県連大会後、記者団の質問に答えた。

 一方、小泉政権当時、党幹事長を務めた自民党の山崎拓前副総裁は、県連大会のあいさつで「郵政民営化という政治課題について、小泉氏の信念を述べたもので、政権批判ではない」と指摘。記者団には「小泉氏本人の採決反対は100%ない。消極的な欠席はあり得るが、大勢に影響しない」と述べ、造反の動きは広がらないとの見方を示した。【田所柳子】

(14日、毎日新聞)

<小泉発言>町村信孝氏も批判 「場違いなタイミング」

 自民党町村派会長の町村信孝前官房長官は14日、北海道江別市で記者団に対し、小泉純一郎元首相の発言について「国会情勢が分かっていないから、場違いなタイミングで発言してしまったのではないか」と批判した。これに先立つ会合では「小泉さんが言ったからといって以前賛成したものに反対する議員はいない。方々手を打っている」と述べ、再可決の際に与党からの造反はほとんどないとの見方を示した。【鈴木勝一】

(14日、毎日新聞)

12日、自民党本部で「郵政民営化を堅持し推進する集い」が開かれ、小泉純一郎元首相や武部勤元幹事長、中川秀直元幹事長、小池百合子元防衛相らが出席した。
この会合で小泉氏は、麻生太郎首相の“郵政民営化見直し”発言について「怒るというよりも笑っちゃうぐらい、もう、ただただあきれている」と厳しく麻生政権を批判した。
定額給付金についても「私は本当にこの法案(補正予算関連法案)が(衆院の)3分の2を使ってでも成立させねばならない法案だとは思っていないんです」と、事実上反対する姿勢を打ち出した。
首相のリーダーシップについては「政治で力を得るには信頼だ。特に首相、首相の発言に信頼がなければ戦えない」と発言した。

この衝撃の“小泉発言”を受け、麻生内閣の河村建夫官房長官は「厳しいお灸を据えられた」「しつけをするとき、殺す気で殴る親はいない」と述べ、小泉氏の首相批判は「親心」との見方を披露。「拳々服膺(ふくよう)しながら難局を乗り切るのが首相の使命だ」と語った。
二階俊博経産相は「群を抜いて存在感と影響力を持つ政治家だ。小泉氏の言うことには慎重に、謙虚に耳を傾ける態度が必要だ」と述べた。
定額給付金に関する小泉発言に対して、麻生首相に近い中川昭一財務相は「一旦(小泉氏も)賛成し、党で決定したものを、今頃反対だと、首相までされた方が言うのは理解に苦しむ」と批判。
野田聖子消費者行政担当相も「最初の採決の時に言ってほしかった」と苦言を呈し、金子一義国交相も「一歩踏み込み過ぎた」と強調した。 

私個人の意見としては、このブログなどで「定額給付金は最大の景気対策だ」などと持ち上げた手前、中川財務相や野田消費者相の発言に賛同する。
中川秀直氏が言うように、政権に注文をつけたり意見を申したりするのは、なんら悪いことではない。なんら悪いことではないが、それは政策決定の過程における話であって、一度、党で決定されたものを「私は本来はこの法案に反対だった」などと言うのは、筋の違う話だろう。

“小泉発言”は、小泉氏による公の場で初めての「@麻生政権批判」と「A定額給付金批判」があったという意味で二重の衝撃を持つものだが、今回の“小泉発言”の引き金を抜いたのは、麻生首相自身である。
麻生首相は、衆院予算委員会で、郵政民営化における郵政公社の4分社化について「私はもともと小泉内閣において郵政民営化に賛成ではありませんでしたので」などと発言した。
小泉氏にとって、郵政民営化は自身の人生における最重要課題である。議員初当選以来、全神経を「郵政民営化」の5文字に注いできたといっても過言ではない。

その郵政民営化に茶々をつけられたというのは、小泉氏にとって気分のよい話ではなかっただろう。
麻生発言は、小泉氏の一番触れてはいけない部分に触れてしまったといえる。TBSの記者などは「麻生発言は、龍の尾ならぬ“小泉ライオンの尻尾”を踏んでしまった」と話している。
小泉氏による定額給付金批判発言についても、これは「麻生憎し」の延長線上に過ぎず、麻生政権に対する「批判のための批判」である。この点、小泉氏は民主党と同等であるといえよう。

ただ、もちろん留意しておきたいのは、政治家の言葉には必ず裏の意味があるということである。
ましてや小泉氏は、2001年党総裁選で「自民党をぶっ壊す」と公言し、下馬評を覆して総裁の座を獲得した人物だ。
2005年には「郵政民営化」というワン・テーマのみで、史上稀にみる選挙戦術を駆使し、「郵政総選挙」にて自民党を大勝に導いた。
小泉氏の発言やパフォーマンスは「ワンフレーズ・ポリティクス」などと揶揄されたが、小泉氏が戦後第3位の長期に渡り、総理の座を維持し続けたのは、ひとえに小泉氏の“発言力”があったからだ。
小泉改革に批判をする方々も、小泉氏が言葉を巧みに使い分けすることのできる政治家であることに異論はないだろう。

今回の“小泉発言”は、実は麻生首相との裏のつながりがあった上での、シナリオ通りの発言だという推測もできる。小泉氏があえて麻生首相の敵役となり、自民党内での攻防をそのまま衆院選に持ち込もうというシナリオだ。
これは前回衆院選(2005年)と同じパターンで、この時は党内の郵政民営化推進派(「刺客」)と反対派(「抵抗勢力」)の争いを前面に押し出すことによって、民主党など他の野党の存在感を埋没させた。
民主党は“蚊帳の外”に追いやられ、自民党による自民党のための総選挙が展開された。「自民党をぶっ壊す」と公約した小泉氏は、実は自民党の救世主だったのである。

もちろん過度な妄想は厳禁だが、“小泉発言”の背景にこうした思惑が隠れているとしてもおかしくはない。むしろ、当選回数12回のベテラン議員が、自身の感情の赴くままにだけ発言していると考えるほうがおかしいだろう。
“小泉発言”を受けての古賀誠選対委員長、山崎拓前副総裁の反応も、すべて想定の範囲内である。
ただし、麻生首相に近い森喜朗元首相が、今回の“小泉発言”に不快感を表明しているのは、ただの演技だけではなく、自身を抜きにして「小泉―麻生」間で党内政局が運営されていること――すなわち、党内“キング・メーカー”の座が自身から小泉氏に勝手に移ろうとしていることに対する怒りがあるからかもしれない。

きょう(14日)午前、その小泉氏は成田発の日航機でモスクワに向け出発した。これは、顧問を務める民間シンクタンク「国際公共政策研究センター」による派遣だ。
ロシア政府やシンクタンク、現地企業関係者らと日露関係をめぐり非公式に意見交換し、20日に帰国する予定である。
「立つライオン後を濁す」の形で日本から去り、さらに次期衆院選では政界から去る小泉氏だが、まだまだ小泉氏による「自民党演出」はありそうだ。小泉氏と麻生首相のダブル主演による“小泉劇場”が再び幕開けするかもしれない。

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posted by Author at 21:56| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(2) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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この時期、当を得ない小泉元首相の非難発言!!!
Excerpt: 小泉純一郎元首相は、12日、麻生太郎首相の郵政民営化に関する発言を激しく批判した。各新聞やテレビは鬼の首を取ったように一斉に報道し、当の麻生首相や首相をバックアップして来た森元首相にインタビューを試み..
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