2007年05月03日

“昭和30年代村”という幻想

いつか来た道とは、まさにこのことだ。

報道関係者各位
プレスリリース                2004年4月15日
                     ツカサグループ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆◆◆生き甲斐が持てる介護の村 村ごとウィークリーマンション! ◆◆◆
 ◆◆◆ 家族4人で1週間10万円で過ごせるテーマパーク ◆◆◆
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  ツカサグループ、究極の新規事業『昭和30年村計画』を発表
         http://www.222.co.jp/s30vil/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
♪アドレスはにゃんにゃんにゃんてんコてんジェイピー のTVCMでお馴染みの
ツカサ都心開発株式会社(本社:東京都品川区、代表:川又 三智彦)は、全
く新しい「土地の有効活用」「人材の発掘と育成・支援」を目的とした町ごと
テーマパーク『昭和30年代村計画』構想を発表、現在用地を募集しています。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■『昭和30年代村計画』とは
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
土地の有効活用と人材の発掘と育成を目的とした、戦後から高度経済成長期ま
で昭和30年代の古き良き時代の日本を再現し、ひとつの自治体として作り上げ
るというプロジェクトです。

人々の温かさ・人情味にふれ合い「懐かしさ」と「新鮮さ」が融合する、世代
を超えた癒しの複合テーマパークとして、土地活用問題、介護問題、住居問題、
雇用問題、職人技術の保存、そして子供の人格教育といった、現代社会の中で
増えつつある深刻な問題の解決を目指します。


以上は、2004年4月に掲載された@Pressからの引用だが、ついにこのような“村”が、静岡県・伊東市に誕生することが決まった。

映画「ALWAYS 三丁目の夕日」をきっかけに、とでも言うのだろうか、“昭和30年代”ブームが続いている。
過去にノスタルジーを感じるのは人間として当然のことだし、気持ちはよく分かる。
しかし、本当に、こんな“村”が出来てよいのだろうか。

このニュースを聞いたとき、頭に浮かんだのは、映画「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」(2001年)である。

この映画は、昭和の時代を再現したテーマパーク“20世紀博”が全国各地で開かれることから始まる。
野原しんのすけの父・ひろしや母・みさえもまた、この“20世紀博”に夢中になっていく。
次第に、世の大人たちは、昔懐かしい夢や希望にあふれた時代に郷愁を感じて、現代社会で生きることを放棄し、“子ども”へと戻っていく――というストーリーだ。

昭和30年代は、緑も多く、地域コミュニティーもしっかりとしていて、みんなが前向きに生きていこうとしていた、素晴らしい時代だったかもしれない。
しかし、その時代を再現したテーマパークに定住するということは、私は、あくまで幻想にしかすぎないと思っている。
現在の社会から逃避し、昔懐かしい時代を再現したテーマパークで、昔のような暮らしをするということは、「いつか来た道」に後退し、未来への前進を放棄するということだ。

私たちは、望むと望まないとに関わらず、未来に向かって生きていくことしか出来ない。また、そうしなければならないのだろうと思う。
未来には苦難があり、凶悪犯罪があり、ネガティブなことばかりが待っているかもしれない。
しかし、我々が“過去”に生きることは、今後、時間と共に生きる“人間”として生きることをあきらめ、逃げることだ。

“過去”は、“過去”だからいいのだ。
“過去”だから、よかったと思えるのだ。
私は、今、改めて問いたい。
昭和30年代は本当によい時代だったのか? 本当に素晴らしい時代だったのか?
あの時代に戻れば、犯罪は起きないだろうか? あの時代に生きればみんな幸せだろうか?
そして、あなたも幸せになれるだろうか?

“過去”“現在”に置き換えて生きることは、後世に何かを残すという人間としての営みを行わないと宣言するようなものだ。
こういったことで、私は、時々行くぐらいならばまだストレス発散にはなるだろうが、“昭和30年代村”に定住するということについては、非常に危惧している。

残酷なことを言うようだが、“古きよき昭和”は、もう戻ってこない。
ただし、我々は、後世の人々に“古きよき平成”と評価されるような時代をつくることは出来るはずだ。
一人の人間として、私には、“昭和”に逃げる勇気などない。
posted by Author at 17:26| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
というか、やはりというか、昭和30年代村構想は破綻したようです・・。ま、当然??
Posted by とおりすがり at 2013年05月01日 19:09
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/40685714

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。