2007年09月08日

奪われた『ザ・シンプソンズ』家族たちの声

ある日突然、大好きな家族みんなの声が変わってしまったら・・・。

アッコ甘〜い声で優しい母役…米アニメ映画「ザ・シンプソンズ」

 歌手の和田アキ子(57)が来年公開の米人気アニメ映画「ザ・シンプソンズ MOVIE」でママのマージ役の声優を務めることになり6日、都内で会見した。

 パパのホーマーを演じた所ジョージ(52)、息子バート役の田村淳(33)、娘リサのベッキー(23)らシンプソン一家が勢揃い。所に呼ばれ「なあに、あなた」と甘〜い声を出して登場し「マージは優しくて温かい愛情で家族を包んでいる。普段、和田アキ子には怖いイメージがあるけど、優しさが出れば」と語った和田。

 が、優しいママはここまで。「3人が本当の家族だったら? 淳が女関係に気をつけるようにし、ベッキーには早くいい人が見つかるようスキを作ってあげる。所にはもっと真剣に仕事するようハッパをかけます」。

 やはり“恐妻”で“猛母”だった?

(7日、SANSPO.COM)

このブログで私は国立無宗教追悼施設の建設を主張したり、“反・禁煙”を訴えたり、昨日(7日)も死刑制度を肯定したりしている。
「その流れ」というわけではないのだが、今日も、社会一般の“流れ”に少し反したような文書を書きたい。

米アニメ『ザ・シンプソンズ』の日本語版声優変更問題である。

私は、千葉ロッテマリーンズと、ステイシー・オリコと、そして『ザ・シンプソンズ』をこよなく愛する日本人である(『ザ・シンプソンズ』のあらすじについてはこちらを参照のこと)。
『ザ・シンプソンズ』はシーズン2から見ているが、当初から字幕ではなく日本語版吹き替えで観ている。
その理由は、大平透氏、一城みゆ希氏といった日本を代表する声優の方々が、オリジナル英語版の面白さそのままに、むしろ、日本人にとってはより面白く観ることができるようにしてくれているからだ。

今回の『ザ・シンプソンズ MOVIE』(2008年日本公開)では、主要吹き替えキャストが総入れ替えし、家族のうち4人の声を芸能人が務めることになった。

ホーマー(父):所 ジョージ
マージ(母):和田 アキ子
バート(長男):田村 淳(ロンドンブーツ1号2号)
リサ(長女):ベッキー

私はNHK教育で放送された海外ドラマ『アルフ』における“宇宙モンスター”役、ディズニー・ピクサー映画『トイ・ストーリー』シリーズでの“バズ・ライトイヤー”役、それから、東京ディズニーランドのアトラクション『ビジョナリアム』(現在は閉鎖)での“タイムキーパー”役など、声優としての所さんを高く評価している。
声優業に限らず、所さんについては、著書「トコロ流昔話 花咲かじいさんの恩返し」(角川文庫)も大爆笑モノだと思うし、昨年発売されたCDアルバム『安全第二』(avex trax)も大好きだ。
奥さんの芳賀文子さんが書かれた「芳賀文子のブンブーンクッキング」(マガジンハウス)を読んで、見よう見まねで料理を始めたりなどもしている。
おそらく、こういったことから私は結構重度な「所ジョージファン」だと言えると思うのだが、その私でも、今回の『ザ・シンプソンズ』声優変更は理解しがたい。

やはり、ホーマー役の日本語版声優にふさわしいのは、大平氏しかいない。
所さんのことがどんなに好きでも、大平氏以外の“ホーマー”を私の耳は受け付けない。何があっても、日本における一ファンとして、『シンプソンズ』日本語版声優は変えてほしくないのだ。

映画の公式サイトを見てみる限り、おそらくこの映画は小学校低学年をターゲットとして上映されるのだろう。
小学校低学年の人々を馬鹿にするつもりはないが、それぐらいの年齢の方々が『シンプソンズ』の世界観を楽しむことが出来たら、私には驚きだ。まさに“D'oh!!”である。

人は「たかが声優が変更したぐらいで何をワガママな」と嘲笑うかもしれない。
「嫌ならば見なければよいではないか」とあきれるかもしれない。
しかし、ある日突然、“大好きな家族”みんなの声が変わってしまって、一体どうして冷静でいられようものか。
これじゃホーマーじゃない。マージじゃない。バートじゃないし、リサじゃない。末娘マギーの声(赤ちゃん声)が変わったかどうかまでは分からないかもしれないが、とりあえず、「言語をしゃべる」家族みんなの声が変更してしまうなんて、これを「悪夢」と言わずして、何と言えばよいのだろう。

エディ・マーフィーの吹き替えや、テレビ東京の朝の番組『おはスタ』(私は『モーニングサテライト』の流れで見ることが多い)の司会でおなじみの声優・山寺宏一氏は、先月26日(日)、以下の文章をネット上で記述している。

山寺宏一より今週の一言

 私、声優としていろんなアニメ作品や映画に携わらせて頂いておりまして、本当にありがたいことと思っているのですが、最近感じることはいろんなタレントや有名人を起用していることが目立つことです。まあ、僕もそれで普段お会いすることが難しい方と知り合いになれたり、凄く刺激になることもあるんですが、中には「これはあまりにもムチャじゃないの!」と言いたくなるキャスティングもあると思います。もちろん話題性は大事ですし、お客さんがたくさん入ることはおろそかにできないのですが、本当にピッタリあったキャスティングをよくよく考えて欲しいと、見る側の立場としても思います。

 時には声優以外のキャスティングで、「こんなに合う人がいるんだ!」とか「普段声の仕事をしてない人がやると、こんな芝居ができるんだ!」って事もたくさんあるのですが、その逆もまたたくさんあるんですね。特に長年テレビでやってきた作品が劇場版になったとき、それまでの声優陣をガラッと変えてしまうようなことはあってはならないと思います。それまでやってきた声優たちの心情もありますが、ずっと応援してきた視聴者の立場としても承知がいかないのではないのでしょうか?私自身も非常に憤りを感じることがありましたので、今回はこんな話をさせてもらいました。

 まあ声優が誰になるかということが話題になる事は決して悪いことではないと思うので、皆さんも私がやった仕事に対して、厳しい意見も出してもらいたいと思っています。もちろん良かった場合はそうした意見も大歓迎です。この仕事、皆さんのそうした反響があるとこちらもますますやりがいを感じて臨めるので、是非ご意見をお願い致します。

(WOWOW『HOLLYWOOD EXPRESS』番組公式サイト

『ザ・シンプソンズ』という固有名詞こそ挙げていないものの、おそらく山寺氏は今回の声優変更騒動を念頭において、このような文章を書いてくださったのだと思う。
私は山寺氏の「私の自慢は、10年間朝の子供番組に出演していることと、ポケモンの映画すべてに参加していることです」との最近おっしゃった言葉に非常に感動させられたのだが、やはり山寺氏は「声優」業に誇りを持った、日本を代表する声優だなと思う。
この山寺氏の言葉を、自身の作品に芸能人声優を起用してばかりで、日本の女性声優たちの声を「娼婦の声」呼ばわりしたどこぞの“左翼系アニメ映画監督”に聞かしてやりたい。

最後に、『ザ・シンプソンズ』声優変更に抗議する方々のブログをご紹介したい。
映画版「ザ・シンプソンズ」声優変更に反対するBLOG

私が映画評論家として認める数少ない日本人のうちの一人、町山智浩氏も今回の声優変更について「反対」の立場を明確にしている(「ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記」)。

まだ時間は残されている。
私の好きな家族。彼らの“声”を取り戻したい。

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posted by Author at 19:01| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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