2007年09月13日

「福田氏出馬」で先の読めない総裁レース

まさかの「麻生VS福田」――。党内には“福田アレルギー”というものもある。

自民総裁選 25日投票で調整へ 麻生氏ら各派の動き活発

 自民党は13日午前、党本部で総務会を開き、辞任を表明した安倍晋三首相の後継を決める総裁選の日程について「14日告示−19日投票」との案を提示したが、出席者から先送りを求める声が続出し、日程は決まらなかった。執行部は同日午後の両院議員総会の意見も踏まえ同日中に日程を決める考えだが、投票日は25日に延期する方向で調整している。後継候補を巡っては、麻生太郎幹事長が総裁選日程が決まり次第、出馬表明する予定のほか、中堅・若手グループが同日朝、小泉純一郎前首相の出馬を要請し、小泉氏は固辞する考えを示した。さらに額賀福志郎財務相が同日午後、出馬を表明したほか、小泉・安倍路線に批判的な福田康夫元官房長官らを推す声も出ており、自民党各派の動きが活発化している。

 執行部が19日投票案を提示したのは臨時国会の開会中であるため、早期収拾には早めの新総裁選出が必要との観点からだ。しかし総務会では、発言者15人のうち12人が日程の先送りを求めた。谷垣禎一元財務相は「党員の意見を聞いてもっと先延ばしした方がいい」と主張。25日投票の日程に言及した出席者もいた。

 一方、武部勤元幹事長は13日午前、二階俊博総務会長、細田博之幹事長代理にそれぞれ会い、19日投票案について「幅広く立候補者を募る意味からも短期間に過ぎる」として、投票日の25日以降への先送りを求める申し入れ書を提出した。

 こうした中、総裁選出馬の意向を固めている麻生氏は13日朝、東京都内のホテルで来日中の中国ナンバー4の実力者、賈慶林(カ・ケイリン)中国共産党政治局常務委員と会談した。会談で麻生氏は安倍首相の辞任に触れ「このあと(党の立て直し)をどうするかが、執行部に与えられた大きな仕事だ」と指摘。麻生氏はこの後、総務会など総裁選日程の決定まで幹事長業務をこなし、その後に出馬表明をする考えだ。

 一方、中堅・若手による「小泉前総裁の再登板を実現する有志の会」のメンバー17人が同日午前、党本部で会合を開き「小泉氏しか危機を突破できない」として、午後に小泉氏に出馬を要請することを確認した。冒頭、小野次郎衆院議員は「小泉前首相以外に(次期衆院選を)勝ち抜く顔になれる人はいない」と力説。中川泰宏衆院議員が同日朝、小泉氏に非公式に出馬を打診したが、小泉氏は「出ない。第三者を探せ」と述べたという。

 ◇

 自民党各派は対応を慎重に見極めている。最大派閥、町村派会長の町村信孝外相は13日午前、記者団に「グループとしてどうするか、私自身どうするか、皆さんの声をよく聞いて考えたい」と語るにとどめた。町村氏は同日午前、訪仏日程を切り上げ帰国した森喜朗元首相と対応を協議した。福田康夫元官房長官は毎日新聞の取材に「(出馬するかどうか)そんなことは決まるまで分からない」と述べ、出馬に含みを残した。

 昨秋の総裁選で安倍、麻生両氏と戦った谷垣氏は「政策転換をしないといけない。それができる体制をどう作るかだ」と記者団に語り、「安倍路線」からの転換が必要との考えを示した。

 「ポスト安倍」の有力候補の一人とみられる額賀財務相は13日午後、津島派の総会で「世界の中の日本を作るためにがんばらせていただきたい」と出馬を表明した。

 山崎派は13日朝から山崎拓前副総裁ら幹部が派閥事務所に集まり対応を協議。古賀派会長代理の太田誠一元総務庁長官も加わるなど、派閥同士の腹の探り合いも活発化している。

(13日17時15分、毎日新聞)

今日も昨日同様、時間が取れず、急ぎ足のエントリ投稿ということになってしまうが、上記の毎日新聞記事が、私の専門分野である「自民各派閥の動き」について分かりやすくまとめてあるので、よく読んでいただきたい。


今のところ、出馬の意向を表明、または出馬が確実とされているのは以下の人物たちだ(カッコ内は所属派閥)。

・麻生太郎幹事長(麻生)
・福田康夫元官房長官(町村)
・額賀福志郎財務相(額賀)


※山崎拓前副総裁(山崎)も「意欲」は見せている

町村派内には、派閥会長である町村信孝外相の出馬を模索する声もあるが、思いもかけず、福田氏が出馬を「前向きに検討中」であることを明言したので、福田氏支持で一本化されそうだ。

私としては、「ポスト安倍」レースに福田氏が参戦することは“100パーセントない”と考えていたので、福田氏が出馬の意向を固めたのは一つ衝撃的であった。
昨年の自民党総裁選時、福田氏は「歳も歳だし」との理由で出馬をしないと発表した。
“100パーセントない”と考えていたのは、時間が経てば人も年老いていくので(「若返りエステ」などをやっていれば必ずしもそうだとは言えないかもしれないが)、福田氏が「高齢」を理由に出馬を見送った以後、出馬する展開はないだろうと考えていたからである。
まったく、これは私の「政治家ことば」解読力が未熟であったということだ。


逆に、今回、出馬をしない意向であることを表明したのは、以下の人物たちだ。

・谷垣禎一元財務相(谷垣)
・小泉純一郎前首相(無派閥)


小泉氏の再登板はありえないと考えていたが、谷垣氏が出馬せず、福田氏支持に回るという決断をしたのは、自民派閥ウォッチャーとしては、いささか残念だ。
これでは、麻生氏の「為公会」こそが「宏池会」の本流を汲む派閥であると意味しているのと同じである。
もちろん、仮に福田氏が出馬を「前向きに検討」だなんてしなければ、谷垣氏は確実に総裁選に出馬する姿勢を示しただろう。
福田氏が出馬の意向を事実上表明している中、谷垣氏があえて出馬をしたところで勝ち目はないことは、ご本人が一番よくお分かりかもしれないが、今回出馬を見送ったらなかなか次のチャンスは回ってこないかもしれない。
そう思うと、谷垣氏の“逃げ”は残念だ。


まったくありえなくもないというのが「小池百合子前防衛相の出馬」であったが、これも「福田氏出馬」で可能性がほとんどなくなった。
武部勤前幹事長や“小泉チルドレン”と呼ばれる新人議員たちが中心となって、“小泉改革の原理に立ち戻れ”というスローガンの下、小泉氏の総裁選擁立は無理でも、例えば「郵政総選挙」時の“刺客”第一号として、「小泉政治」の中心的役割を果たした小池氏を総裁候補に担ぐ、ということはありえるかもしれないと考えていた。
ところが現実を見てみると、「麻生VS福田」という構図が生まれているので、麻生氏の対抗候補という意味からして、小池氏の出馬の可能性はなくなった。
“第三極”として名前が挙がってくる可能性も――あると言えばそれは1%ぐらいはあるかもしれないが――この短期間の「総裁選」スケジュールにあたっては、小池氏が総裁レースに登場してくることは考えにくい。


なお、額賀氏の出馬表明については、産経新聞「iza!」が全文をホームページ上に掲載しているので、興味の湧いた方は、少し目を通してもらいたい。

<額賀氏出馬表明>全文はこちら (iza!)


「麻生VS福田」という“実質上の一騎打ち”ということで総裁選が展開されることになりそうだが、はたしてこれはどちらが勝つか、動きがなかなか読めない。
まさに「緊急時」の今回、自民党議員たちがどういう判断を下すか、情勢は流動的で、このままでは額賀氏の“漁夫の利”的勝利も考えられるシチュエーションだ。
とりあえず、一日一日情勢が変わってくる、大変見応えのある、また、政局好きとしては楽しみがいのある一週間が繰り広げられそうだ。


※ちなみに、安倍首相は少なくとも3〜4日の入院が決定。
 公表されている限りでは、胃腸の悪化(持病)が原因だという。


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posted by Author at 19:55| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(2) | ポスト安倍スペシャル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
福田さんのシュミレーションには安倍内閣崩壊が有ったんじゃないかな‥前回の総理総裁選挙は、小泉純一郎の後継者としての選挙でしたので、新しい日本の為の改革を打ち出さねば世論がついてこないと考えて、高齢者的な政治感覚は世論には受け入れられない時期だと思ったから見送りし、小泉改革を継承する事の難しさを見越していたのではないでしょうか。
新たな日本を造る為の改革が頓挫した時に、世論が昔の政治手法に目を向けられた時こそが、福田さんの総理総裁へのお鉢が廻ってくるだろうと思っていたのではないでしょうか?
短期決戦に持ち込みさえすれば、出馬までの準備不足の為皆が断念し、虎視眈々と準備をしていた福田さんが居たなら、独りだけ準備万端でしょう?また、本来後押ししない派閥票も転がり込み、麻生さんと一騎打ちになれば麻生さんの失言問題は記憶に新しいので、世論は麻生さんを後押ししないですよね。福田さんを世論は味方はしなくても、敵になる事がないのが、最終的に追い風になり、消去法により福田さんが残り総理総裁物語が完結を迎えると考えていたのなら、福田さんには助演男優賞を贈りたいですね。
ただし、小池百合子さんの出馬があると、麻生さんと福田さんの共倒れになるかも?
悲劇のヒロインの和製ジャンヌダルクは、鳶に油揚げ的結末の逆転サヨナラ劇か?いずれにせよ今回の政権も長くならない気がしますけどね。
やはり舛添さんが次回の総理総裁へと登り出すのが頭から離れないです。
Posted by えいけつ at 2007年09月14日 02:04
えいけつさん、コメントありがとうございます。
大変鋭い分析ですね。特に、「福田氏に敵がいない」という点には激しく同意します。
次期総裁に求められるのは、
@参院選惨敗を受けての「生活重視」政策への転換
A「小泉自民党」時代の再現
という2点でしょう。

福田氏は、「@」については、安倍首相とこれまで距離を置いてきたので容易く行うことが出来るでしょうから、クリアーしていると言えましょう。
「A」についても、福田氏は小泉内閣において官房長官を務めていますから、“小泉改革の原点に立ち戻れ”という小泉チルドレンたちも、福田氏をむげに見下ろすことは出来ないでしょう。

対して、麻生氏は、「@」については安倍首相辞任に関して“連帯責任”がありますし、「A」についても、“小泉改革”を修正するべきだと捉えているなどの点で、この点をクリアーしているとは言い切れないでしょう。

額賀氏も出馬を取りやめ、これまでのところ、福田氏が総裁に選出されるとの見方が優勢ですが、はたして23日(日)の総裁選投開票日までにどうなりますことやら。
考えてみれば、安倍首相も「派閥」によって総理の座を得た人物でした。次の首相もそういうことになるでしょう。
中選挙区時代のように生存しているわけでないにしろ、まだまだ人物連合体として「派閥」は機能していると言えます。
「カネ」はなくても「ヒト」が集まっている。そんな派閥の現状を考えてみると、日本の政治は中選挙区時代より、むしろ“陰湿的”になっているのかな?と感じます。
Posted by mityosi at 2007年09月14日 13:44
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自民党後継総裁
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