2006年09月28日

安倍内閣 大臣コレクション 2006 Autumn

26日(火)に発足した第一次安倍晋三内閣。この国は、5年半ぶりに新たな首相を迎えたわけだが、その新首相を支える17名の閣僚とは一体どんな人たちなのか?

今回の組閣人事は「ノーサプライズ」の「論功行賞」内閣とも言われるが、私はこの内閣は
「“おなじみ”内閣」
とネーミングできると思う。
もはや説明は不要の尊敬できる方。しかし、ゲストではなく、すっかりこちら側の方だから、「“おなじみ”○○さん」となる。
今回の人事はまさにそういう人事で、参院枠・公明党枠については少々考えなければならないとしても、入閣したのは、安倍支持を打ち出し、個人によるがこれまで長い期間に渡って安倍氏を下支えしてきた人たちだ。
そういう意味では、安倍氏がスムーズに動くことが出来るようにという人選だし、安倍氏にとっての「善人」ばかりが揃っている内閣だといえる。

それでは、今回新しく各省庁の大臣に選ばれた17名について、“お人柄”と“来歴”をコンパクトにご紹介したい。


○総理 安倍晋三(52)
 総理の椅子目前に病に倒れた父・晋太郎元外相(故人)の悲願を達成し、圧倒的大差の得票で、戦後最年少で自民党総裁・総理の座に就いた。
 拉致問題への強い取り組みで知られ、「美しい国、日本」を創るべく官邸機能強化、官邸主導の政治を目指す。

○総務、郵政民営化 菅 義偉(57)
 故・小此木彦三郎元通産省の秘書や、横浜市議を経て国政に出た“叩き上げ”。小泉内閣では副総務相として、北朝鮮への経済制裁シュミレーションを手がけた。
 派閥横断で、総裁選での安倍氏優位の大きな流れを作った「再チャレンジ議連」では幹事長を務めた。

○法務 長勢甚遠(62)
 小泉内閣での官房副長官、内閣メールマガジン編集長を務め、一時は安倍内閣での「超地味官房長官」か!?との噂話も聞かれた政策通。
 前回の年金会改革では、夫婦で厚生年金を分割するという厚生労働省案に「家族制度を崩壊させる」と反対し、撤回させた。

○外務 麻生太郎(66)
 自民党総裁選で安倍氏と争い敗れたものの、街頭演説などでの人気の高さから存在感を維持。安倍氏を支えながら、「捲土重来を期す」。
 会社経営者を経ての国政入りで、経済政策に強いことを自任する。普段は記者からも怖い印象だが、半径1m以内に入れば好きになってしまうと言われるほど。

○財務 尾身幸次(73)
 3度目の入閣、新政権では最長老閣僚だ。無所属で初出馬した時に陰で晋太郎氏に支えたもらった恩義から、早くから晋三氏支持で動いた。
 科学技術政策に精通している。経済成長重視路線であることが、早くも霞が関に不安感を与えている。

○文部科学 伊吹文明(68)
 昨年の総選挙で多くの離党者を出した亀井派を引き継ぎ、今やすっかり派閥の長。8月10日の早い時期に安倍氏支持を表明した。
 文科相就任早々、「小学校での英語の必修化は必要ない」と、独自色を打ち出し、「外国語より美しい日本語を」と主張している。

○厚生労働 柳沢伯夫(71)
 総裁選では安倍氏の選対本部長に就任し、安倍氏圧勝の流れに一役買った“シニアの親安倍”。
 過去、谷垣禎一氏や竹中平蔵氏と“喧嘩”したこともあることから、経済閣僚での入閣も目されたが、厚労分野でどれだけ手腕を発揮するのか注目される。

○農水 松岡利勝(61)
 米国産牛肉の安易な輸入再開に反対するなど、典型的な“農水族”。小泉前首相下では“嫌われた”部類に入る。
 構造改革路線には反対の立場と見られてきたが、郵政法案では小泉前首相を支持。最近は「猟官運動が露骨過ぎる」とも批判される“九州のムネオ”。

○経済産業 甘利 明(57)
 「反安倍」の急先鋒ともされる山崎派所属ながら、山崎拓会長の意向に反し、派内の6割近くを安倍氏支持の流れに導いた“功労者”。
 派外の人脈が厚く、分析力・調査力などに定評があるが、一部ではナルシシストではないかとの噂も…。

○国土交通 冬柴鉄三(70)
 唯一の公明党枠。新しい公明党の幹事長に就く北側一雄氏との国交相“交代”だ。
 「自公保」時代の縁があって山崎拓、二階俊博両氏とのパイプは太いが、目下の悩みは幹事長就任時より20kg近く太ったこと。

○環境 若林正俊(72)
 参院自民党では政策審議会長を務め、まじめな性格には定評がある。青木幹雄参院議員会長が「入閣を」と安倍氏に推薦した内の1人。
 意外にも安倍氏とは少年時代も知る間柄だが、政治家としての押しの弱さをどう克服するかが注目。

○官房、拉致問題 塩崎恭久(55)
 安倍氏とは当選回数も同じで、共に闘ってきた「盟友」。最近は副外相として中国や韓国を積極的に訪問した。
 経済通、財政通でもあり、日産自動車のカルロス・ゴーン社長など人脈も広い。官房長官としての調整能力が問われる。

○国家公安、防災 溝手顕正(64)
 昨年の通常国会では与野党の間での国会運営の舵取り役をこなした、「参院推薦者」2名のうちのもう1人。
 自民党の地方行政部長会を務めたこともあり、全国に自治体事情に詳しい。安定感が評価されている。

○防衛 久間章生(65)
 安全保障分野に精通し、小泉政権下では総務会長を2期連続で務める。安倍氏が幹事長に抜擢された際には、幹事長代理として仕えた。
 今回の総裁選では、津島派幹部として額賀副志郎防衛庁長官の出馬を事実上阻止し、安倍氏圧勝に一役買った“政権ナンバー2”。

○沖縄・北方、少子化、イノベーション 高市早苗(45)
 新進党を経て、当時支持率の低かった森喜朗元首相の「勝手補佐官」を名乗った夫婦別姓反対論者。
 03年に落選したが、郵政解散を受けての昨年の総選挙で「刺客」として返り咲き。思想の近いとされる安倍氏を支える。

○金融、再チャレンジ 山本有二(54)
 「再チャレンジ議連」会長として安倍氏支持勢力の中心に。政界「功名が辻」とも称されたが、自らそれを誇りとしている。
 早大雄弁会出身。大臣就任直前には「これからの人生、安倍氏は私抜きでは語れない」と冗談っぽく本音を吐露。

○経済財政 大田弘子(52)
 経済財政諮問会議メンバーでもあった“竹中人脈”の1人。小泉改革を民間人として支えた。
 笑顔を交えて答弁する様子が自民党内に受けがよいが、自ら論議を主張するような性格ではないとも言われる。

○規制改革、行政改革 佐田玄一郎(53)
 中堅議員らで構成する「安倍晋三さんを支える会」会長。与党アスベスト対策プロジェクトチームでは座長を務める。
 トンネル関係の技術者から政界に転じた、異例の経歴の持ち主で、上越新幹線の建設などにもかかわった。


大田氏は、登用があったとしても首相補佐官での登用かと思っていたが、国の経済政策を決める立場としての入閣となった。これは「サプライズ」だといえるだろう。
高市氏の「6分野担当大臣」就任も、私には多少「サプライズ」だった。あまりにも「露骨」すぎると思ったからだ。しかし、今、内閣の顔ぶれを見てみると、そうでもないことが伺える。
高市氏の夫で、同じ森派の山本拓参院議員は農林水産副大臣に就き、夫婦揃って安倍氏を閣内から支えることになった。
ホワイトハウス型の官邸主導の政治運営が出来るのかどうか。スローガンを掲げたからには、必要な法整備をしないとならない。

「“おなじみ”内閣」。
報道番組などにおいて、キャスターに「おなじみ安倍内閣ですが…」と言われるときに、笑顔で言われるか、苦い顔で言われるか。もちろん、そんなことは場合によってはどうでもいいことであるが、そのどうでもいいことで世論が動くこともある。
まさに、これからだ。
posted by Author at 19:56| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(1) | ポスト小泉スペシャル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月25日

「安倍流人事」の面白み成分

20日に選出された自民党の安倍晋三新総裁は、25日、自民党の党三役人事を決定した。
  幹事長:中川秀直(森派)
  政調会長:中川昭一(伊吹派)
  総務会長:丹羽雄哉(丹羽・古賀派)
中川秀直氏の幹事長就任はかねてから言われており、安倍氏は来年夏の参院選に向けて、党内を束ねることの出来る「実力者」を選んだ形だ。
新しい政調会長に選ばれた中川昭一農水相は、事前の報道では入閣が有力視されていたが、教育改革を推し進めたい安倍氏を党側からサポートすることになった。
丹羽氏の総務会長就任は、私には少々意外だったが、冷静になって考えてみれば妥当なところかもしれない。派閥の領袖が党三役に就くことは、確かに過去にもあったが、やはり派閥の衰退ぶりを感じずにはいられない。

また、三役以外の党内人事についても注目の2名が決定している。
  国対委員長:二階俊博(二階グループ)
  幹事長代理:石原伸晃(無派閥)
長年、民主党・小沢一郎代表の側近だった二階氏を国対委員長に充てたのは、来年7月の参院選を意識してのことに他ならない。安倍氏が小沢氏同様、参院選を一大決戦とみていることが読み取れる。
幹事長代理に石原氏が選ばれたことは、きっと石原氏にとっては拍子抜けだろう。「内閣官房長官か」とも言われた石原氏にとって今回の“処遇”は、若干“冷遇”と受け取ったかもしれない。
石原氏の幹事長代理就任で、官房長官は残る駒・塩崎恭久副外相の就任が有力視されている。

さて、明日は閣僚人事。国会での首相指名を受け、“第一次安倍内閣”の発足ということになる。
“安倍総裁”実現の論功行賞として、山本有二党経理局長(再チャレンジ議連会長)や甘利明元労相の入閣も取り沙汰されている。
総裁選で争った麻生太郎外相は留任か、経済閣僚への転任か。谷垣氏同様に「特別処遇なし」というサプライズもあり得る。
私としては、兄貴分的存在の町村信孝前外相や、政策的に近い山谷えり子内閣府政務官、政調会長就任も目された柳沢伯夫党税制調査会長らの扱いがどうなるのか気になるところだ。
町村氏は与謝野馨経済財政担当相よりも早く、最初の官房長官候補だった。山谷氏は男女共同参画担当相との声も浮上している。近い将来の増税議論を控え、柳沢氏も経済閣僚に据えておきたいところだろう。

希望者は多い。自身の総裁就任に向け尽力してくれた人も多い。そんな中での、限られたポストへの割り当てである。
ひとまず、党三役人事は、不満はあっても批判は出ないものだといえる。
誰を、どこに――。
今の所、「誰」のサプライズはない。ただ、「どこに」では早くも“安倍流人事”の面白さをのぞかせている。
一口に「バランス」を優先する訳でも、小泉首相流の奇抜な「サプライズ」人事をする訳でもない“安倍流人事”は、意外と見応えありそうだ。
posted by Author at 13:35| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(1) | ポスト小泉スペシャル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月20日

新総裁決定・・・どうなる!?“安倍自民党”

20日午後2時50分、自由民主党の第21代総裁に安倍晋三官房長官(51)が選出された。
あす21日に52回目の誕生日を迎える安倍氏にとって、一日早い“人生最高の誕生日プレゼント”になったには違いないだろうが、気にかかるのは得票数だ。

各候補の得票数
  安倍晋三:総得票/464 議員票/267 地方票/197
  谷垣禎一:総得票/102 議員票/66 地方票/36
  麻生太郎:総得票/136 議員票/69 地方票/67

安倍氏は得票率にして66%、直前に安倍氏選対が目標としていた7割の得票はかなわなかった。
事前に各陣営が希望も含め票読みしたところは、ざっと
  安倍氏:500票超
  谷垣氏:70〜80票
 麻生氏:130票前後

といったものだった。

中でも注目は、谷垣氏の議員票、麻生氏の地方票での健闘ぶりだ。
谷垣陣営の加藤紘一元幹事長は「安倍氏の“65%得票”はバランスのよいところ」と、「非安倍勢力」が自民党内で一定の幅を効かしていることを強調した。
しかし、「安福対決」が福田康夫氏の不出馬により幻に終わったことで、谷垣氏が「福」の代わりとなることが出来なかったのは事実で、いずれにせよ「非安倍勢力」主導の総裁選は、はなから困難であったことが見てとれる。
麻生氏は地方での遊説で着実な人気を集めたが、残念ながら「時間切れ」といった格好だ。しかし、この得票数ならば「ポスト安倍」狙いをしたとて何ら問題は無い。

様々な党派の様々な議員の反応も、興味深いところだ。
幻の対決相手である福田康夫氏は、どこまでも冷静沈着、結果にわれ関せずといった従来の調子だが、記者団との質疑ではやや慌てた具合だった。
安倍陣営の中心人物・下村博文氏は、ふたを開いた得票数が、思いのほか少なかったことを認めた。
「安倍自民党」と対決することになる民主党の渡部恒三国対委員長は、右寄りの政権になることに警戒しつつ、先日、無投票再選で小沢一郎代表が再選されたことを忘れたかのごとく、3人1セットでの馴れ合い総裁選を非難した。
小泉政権終幕とともに退任する公明党の神崎武法代表は、安倍氏の得票数が予想より少なかったことを感想として述べ、若干冷えた見方だ。
社民党の土井たか子前党首は、自衛隊の海外派遣に反対し、新憲法策定を主張する安倍氏の政権公約を批判した。
新党日本の荒井広幸氏は、かねてからの安倍氏の友人として新総裁就任を祝福しつつ、小泉改革の修正を求めた。

さて、安倍氏が新総裁に決まってのあいさつで、気に留まったのは、いの一番、挨拶冒頭で小泉純一郎首相への「謝意」を表したことだ。
党員への感謝の言葉よりも前に小泉首相への謝意を表明したことは、その前の小泉首相からのあいさつでの「祝意」の言葉に応じた形ともいえるが、「小泉政権がなければ、自分はこんなに早く総理総裁にはなれなかった」という気持ちがあってのことだったのかもしれない。

安倍新総裁は、25日に党三役人事を、間を空けずして26日には閣僚人事を決定する予定だ。
間を空けずして人事を決めるのは、猟官運動の阻止と、党人事で処遇されなかった派閥からの反発を最小限にふさぎ込むためである。

純粋に圧勝とはいえず、“圧勝”と括弧を付けなければ表現できないような事態ともいえるが、いずれにせよ、安倍氏が新しい自民党の総裁に決した。
まずは党内の人事を巡っての動き、そして、特別国会での与野党の攻防といったところがフォーカスされるだろう。
5年半続き、最後まで安定した高支持率をマークした“異常”な小泉政権の後、若き新総裁が党内を、政権を、どう運営していくか、注目される。
posted by Author at 23:02| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(2) | ポスト小泉スペシャル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月18日

“異常” −小泉政治の5年半を振り返る−

いじょう[―じやう] 0 【異常】

(名・形動)
[文]ナリ
普通と違っていること。いつもと違うこと。また、そのさま。


5年半続いた小泉純一郎政権が、まもなく終焉する。
20日(火)に行なわれる自民党総裁選で選ばれた新総裁は、25日に党三役人事を、26日に組閣を行なう予定だ。

この5年半は、実に“異常”な5年半だった。
ここまで、首相がリーダーシップを発揮した政権は過去存在しないといっていい。
しかも、このリーダーシップは、閣内や政権与党内に対してというより、むしろ国民に向けての対外的なリーダーシップであった。
そういう意味では、ここまで国民が政治に近付き、政治に参加し、政治を文字通り肌で体感したことは過去無かったといえるだろう。
これが出来たのは、他でもない、時の内閣総理大臣が小泉純一郎という、戦後最大のパフォーマンスの上手な政治家の一人であったからである。
この国は、芸能界、スポーツ界に加え、政界からも、一人の国民的スターを生み出した。
ただ一つ、決定的に違うのは、露骨な「抵抗勢力」が存在するなど、このスターが他のスターと比べて、スターらしくないところだ。そして、それが、そのスター性をさらに押し上げた。

小泉政権の最大の実績は、道路公団民営化や郵政民営化に代表されるように、「大きな政府」から「小さな政府」へと、社会全体を市場主義的・自由主義的な流れに変化させる突破口を開いたことだろう。
これは、財政が悪化し、人口減少時代へと突入する日本の現状に加えて、小泉政権が新米政権であったことと無縁でないが、これら政策の実現のために小泉首相のとった行動が、実に“異常”だった。

小泉首相流パフォーマンスの総決算ともいえる、日本国全体を動かしての最大のイベントは、なんといっても2005年8月の「郵政解散」、そして翌9月の「総選挙」であった。

2005年8月8日。
参議院本会議場で、政府の郵政民営化関連六法案が否決されると、小泉首相はその日のうちに衆議院を解散し、郵政法案に反対した自民党の衆議院議員を、総選挙で公認しないことを発表した。
「否決されても、衆院解散なんて出来ない」と踏んでいた亀井静香氏や綿貫民輔氏の読みは完全に外れ、それら自民党公認をもらえなかった「造反組」議員の選挙区には、原則として、自民党公認の「刺客」候補が投入された。
「刺客」として敵地に派遣された中には、小池百合子、片山さつき、佐藤ゆかり各氏といった女性候補がおり、彼女らは「くノ一」と称された。

2005年9月11日。
未曾有の米同時多発テロから4年を迎えたこの日、小泉首相の「自民・公明両党で過半数議席獲得」という事前目標をはるかに超えて、“小泉党”と化した自民党は歴史的大勝を果たした。自民党vs「造反組」の構図の中で自らの立ち位置を見出せなかった民主党は、歴史的敗北を喫した。
自民党比例ブロックで全ての候補が当選したブロックもあったほか、「造反組」の藤井孝男氏や小林興起氏は落選。与党全体では、衆院議席3分の2以上の議席を獲得した。
これを受けて、自民党の「参院造反組」も矢継ぎ早に郵政法案支持に転じ、特別国会で郵政法案は可決、成立した。

小泉首相は「ワンフレーズ・ポリティクス」と称されるように、メディアに先行して、明快で分かりやすく、自らの行動を表現した。
それが、見出し型のニュースショー、ワイドショーに見事適合し「小泉劇場」はクローズアップされた。
メディアに動かされる政治家はかつていたが、ここまでメディアを動かす政治家はかつていなかった。
みな、メディアを巧く使ってやろうという魂胆はあったが、メディアの中心でメディアを操ろうという政治家は、小泉首相が初めてであろう。

この5年半を一口に語るのは難しい。
しかし、ただ一ついえるのは、この5年半は良い意味でも悪い意味でも“異常”な5年半であり、「小さな政府」づくりは、次の政権以降に託されたということだ。
20日に決まる“ポスト小泉”は、いずれも小泉内閣の現役閣僚でありながら、小泉改革の「修正」を主張している。
小泉内閣の5年半とはなんだったのか。突破口を開き、開いた調子に地方が壊れて、それで5年半の期間が必要だったのか。そして、それが一部ではあるかもしれないが、閣内から小泉改革の修正を言われる羽目になっている。これは、閣内からの遠まわしの小泉批判である。

託す方は託す方で無責任に見えた場面も事実あったかもしれないが、託された方は託された方で、この5年半を“失われた5年半”と言わせないために努力することが必要である。
ポスト小泉が“小泉党”と化した自民党をどういう方向へ持っていくのか、もしくは持っていかないのか。除名処分とした「造反組」の復党問題もある。まだまだ、小泉純一郎の影は大きい。
ラベル:ポスト小泉
posted by Author at 09:02| 東京 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | ポスト小泉スペシャル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月09日

ポスト小泉3候補の「違い」とは?

8日告示され、スタートした自民党総裁選。
立候補したのは、安倍晋三官房長官(51)、谷垣禎一財務相(61)、麻生太郎外相(65)の3人。
この中から、第21代自民党総裁が生まれる。いずれも、小泉内閣の現役閣僚だ。
3人とも、小泉純一郎首相の進めてきた改革について、真正面からの批判はしていない。小泉改革を評価するものの、部分的な修正が必要――というのが、3人に共通するスタンスである。
訴える「修正」程度の度合、そして政策面から見えてくるのは、「安倍・麻生vs谷垣」の構図だ。

今回の総裁選の主要テーマは、以下の3つに分類できる。



@対アジア外交

冷え込んだといわれる中韓両国を中心とした対アジア外交について、3者ともに「首脳会談」の実現を目的としている。

安倍氏は、11月に控えるベトナムでのAPEC首脳会議などの場を利用して、年内に首脳会談を実現させる意向を固めている。
「両国の首脳が胸襟を開いて話が出来る環境を作りたい」と話しているが、「問題があるから会わないというのは逆ではないか」とも述べるなど、中韓へのけん制を忘れない。
靖国神社参拝問題については、外交問題化しないためとして、行くも行かぬも発言しない意向だ。

麻生氏は、外相としてのこれまでの実績をアピールし、「自分なら中韓の元首、大統領に会える形に導ける」と問題解決への自信を示した。
靖国問題については、靖国神社の非宗教法人化した上で、特殊法人化する私案を発表済みだ。将来的に慰霊対象を議論することも訴えており、A級戦犯の分祀についても示唆している。

谷垣氏は、「日本はアジアのリーダーとして寛容な態度を持つべき」と、中韓両国への配慮を重視し、アジア外交におけるホットラインの構築を政策に掲げる。
靖国問題については、首相の靖国神社参拝が中韓両国との関係を悪化させているのは否定できないとして、首相就任時には、靖国神社には参拝しないことを明言している。



A経済・財政

安倍、麻生両氏は成長重視路線で、成長戦略を政策にし実行に移したい考えだ。

安倍氏は、歳出削減の徹底に加え、IT分野投資への優遇税制の検討を表明。増税をこの時期に決めることには否定的だ。

麻生氏も、「経済政策は私の強み」としつつ、安倍氏の考えに同調し、経済成長を優先すべきだとしている。産業支援の政策減税と歳出削減を済ませた後に、必要な増税を行なうというスタンスだ。

谷垣氏は、安倍・麻生両氏とは異なり、2010年代半ばまでに消費税率を10%程度引き上げ、社会保障目的税化する考えを強調している。3人の中では唯一、増税を前面に押し出しての総裁選を展開する。



B小泉改革路線の継承

安倍氏は、閣僚・党役員人事でも派閥推薦には従わないという「小泉流」を踏襲する考えを表明しているが、「どういう人材が党内にいるか意見を聞きながら、最後は一人で決めたい」と、党内の意見にも配慮する意向を示している。

麻生氏は、小泉改革について「破壊、解体後にどんな家を建てるかをあらかじめ見せられなかった」とし、小泉改革での「破壊」の後の「創造」を担いたい考えだ。

谷垣氏は、「日本をどういう方向へ歩んでいかせるかというメッセージが小泉さんから十分には出ていない」と、「修正」を志すというよりは批判の声を上げている。




「美しい国、日本」(安倍氏)。「日本の底力」(麻生氏)。「絆」(谷垣氏)。
それぞれの総裁選におけるキャッチフレーズだ。

自民党の新しい総裁、すなわち日本の新しい舵取り役が誰になるか。
もう大勢は決したといわれるが、今回の総裁選での議論を通して、国民一人ひとりが、我が国の直視する問題を見つめ、考えを深めることは、決して無意味ではないはずだ。
posted by Author at 18:58| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | ポスト小泉スペシャル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月31日

9月20日まで寝苦しい人々

“ポスト小泉”最有力の安倍晋三官房長官は、30日昼、久々に森派の懇談会に出席した。
この日、安倍氏は初めて「幹部席」に座った。
挨拶では「多くの国民から期待をいただき、これに勝る光栄はない。ご期待を真正面からしっかりと受け止めて9月1日に決意を表明したい」(毎日新聞より)と、1日に立候補する表明することを、再度、表明した。

この日は懇談会前と午後に、歴代の総理を訪ねた。
歴代の総理といっても、森喜朗、中曽根康弘、海部俊樹の3人だが、森氏との会談ではかつて清和会の会長だった安倍晋太郎元外相の写真の前で言葉を交わすなど、森氏らしいパフォーマンスがとられた。
中曽根氏との会談では憲法改正をこの時期から明言していることを評価され、海部氏との会談では激励された。
総理就任後の挨拶かのようにも映る。

この日は、石原伸晃前国土交通相や塩崎恭久副外相ら自民党中堅衆院議員11人が「安倍晋三さんを支える会」を発足させた。石原氏は「私たちは勝手連」だと表現する。

夜には、丹羽・古賀派が幹部会を開き、総裁選での安倍氏支持を確認した。

9月1日の広島での出馬表明を前に、いよいよ動きが本格化してきたといえる。
森派の懇談会では、「親福田」衛藤征一郎衆院議員が幹部席にいる森氏に話をしているものの冷たく対応され、それを横目に隣で安倍氏が黙々と昼食をとっている姿が印象的だった。

ここ最近、安倍氏には、有無を言わせない権力者としての威厳が備わってきたように感じる。
一国の首相たらん人物がそうなることはむしろ相応しいことだが、どうしても安倍氏の背後には「キングメーカー」森氏の姿が見え隠れしてしまう。
そして、その影を何とか振り切りたい安倍氏の心情も見えてくる。もう構わないで欲しいというのが率直な心境だろう。

きのう、安倍選対の副本部長にも就いた町村信孝前外相は、テレビのインタビューで「私は“どんでん返し”が起きることを本気で心配している」と話した。
どんでん返しが起きたとしても、残る候補は麻生太郎か谷垣禎一かしかいない。あとは推薦人が集まらない。
「安倍氏の支持率が下がることはあっても、麻生・谷垣両氏の支持率が上がることはない」。私はこういう言い方が出来ると思う。

小泉純一郎首相による、戦後3番目に期間の長い5年半もの長期政権が終わる。
これまで「冷や飯」を食わされた人たちにとっては「現場復帰」のチャンスだ。
と同時に、そういう人たちが現れるということは、これまで優遇されてきた方々にとってはおちおちしていられない事態だ。いつ自分の座っていた椅子を奪われてしまうか分からない。

消化試合とも言われる9月20日の総裁選。
注目は、安倍氏の得票数や内閣・党三役人事、郵政造反組への対応や“ポスト安倍”に移っているとも言われる。
前回触れたように、連立を組む公明党との関係も、今のところは“安倍人気”で隠れているが、政策的に微妙だ。

それぞれの思惑が多量に、かつ複雑に交錯して、安倍氏はともかく、総裁選に絡む者誰にとっても寝苦しい残暑が続く。
posted by Author at 10:33| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | ポスト小泉スペシャル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。