2007年09月24日

福田新総裁「開き直り」の党四役人事

1週間、私はブログの更新を怠ってしまったが、この人は、およそ2週間ぶりの公の場への登場ということになった。

<安倍首相>病中会見 辞任は「最悪のタイミング」と陳謝

 安倍晋三首相は24日午後5時過ぎから、入院先の東京・信濃町の慶応大病院で記者会見し、辞任の理由は健康問題であるとしたうえ「国会は停滞し、国政に支障をきたし、閣僚はじめ政府関係者、与野党関係者、国民のみなさまに多大なご迷惑をおかけしたことを改めて深くお詫び申し上げる」と述べ、25日の内閣総辞職間を前に国民に謝罪した。突然の辞任表明については「国会冒頭の非常に重要な時期、特に所信表明演説の直後という最悪のタイミングになった」と陳謝した。

(24日、毎日新聞)

病院側のアドバイスにより、約10分間のみで切り上げられた安倍晋三首相の記者会見。
国民への“お詫び”、総理辞任理由の“釈明”など、会見の内容自体も大変ネガティブなものだったが、この会見を見てよりショッキングだったのは、安倍首相の頬のやつれ具合と、声のか細さである。
安倍首相は、かねてからスマートなルックスだといわれてきたが、全体的に細くなってしまい、激ヤセしてしまったともいえる外見に変化していた。

テレビ東京の篠原文也解説委員は、今日の『速ホゥ!』(テレビ東京)の中で、次のように、総理辞任に至るまでの問題点を解説している。

 安倍さんにとっては、国民にこういう、政権の間中に謝罪をしていませんのでね、ずいぶんやっぱり周りに聞くと気になっていたようですよ。
 ただ安倍さんだけの責任に課すのは、ちょっと私は酷だと思ってね、去年あれだけみんなで“安倍さん、安倍さん”と言って大フィーバーで総理に担いだわけですから、そういう人たちの責任もあるし、もっとより本質的に問題なのは、自民党が(安倍首相が)経験不足であるのを知りながら、国民的人気の高い人を(総裁に)担がざるを得ない。こういうところまで自民党自身が衰弱というか、落ちていると。こういうことが、僕はより本質的な問題だと思いますよ。

去年のこの時期、自民党各派が“安倍支持”に雪崩現象を打ったことは、このブログでもご紹介したが、安倍首相が首相に就く時には熱狂的に支持しておきながら、参院選で惨敗すると一斉して批判勢力に転じる自民党の議員たちも、困り者である。


さて、安倍首相の後継となる、自民党第22代総裁に選出された福田康夫氏(71)は、きょう午前、党役員人事を決定した。

福田自民総裁 幹事長に伊吹氏起用 古賀氏は選対委員長に

 福田康夫自民党総裁は24日午前、党務の要となる三役について、幹事長に伊吹文明文部科学相、政調会長には谷垣禎一元財務相を起用、総務会長に二階俊博総務会長を再任する人事を決めた。また、次期衆院選の実務責任者として古賀誠元幹事長を新たに設けた選挙対策委員長に選任し、三役と同等に扱い、今後党四役とすることも決まった。大島理森国対委員長は再任となった。
 伊吹氏は旧大蔵省出身。1983年の衆院選で旧京都1区から初当選し当選8回。労相や国家公安委員長を歴任。伊吹派会長を務め、昨年9月の安倍内閣発足で文科相に就任、今年8月の内閣改造で留任した。

(24日、毎日新聞)

新しい幹事長には古賀誠元幹事長の就任が有力となっていたが、大方の政治記者の予想を裏切って、新幹事長には伊吹文明文科相が選任された。
政調会長には、“非主流派”として安倍政権下、冷や飯を食らってきた谷垣派の会長である谷垣禎一元財務相が就任。
総務会長には二階俊博氏が再任され、幹事長就任かと噂されていた古賀元幹事長は、新設の「選挙対策委員長」ポストに就いた。

全体的な印象としては、各派閥の領袖を要職ポストに就かせるという、典型的な“旧来の自民党”的派閥人事だと感じる。
福田総裁はそのような批判が出ることを百も承知の上で、あえて、開き直りの“党四役”人事を行ったのだろう。
それだけ、今国会でのテロ対策特措法をめぐる状況が厳しいものであるとの見方も出来るし、同時に、福田総裁が小泉・安倍両政権下における“ポピュリズム型政治”から脱却したいとの思惑があったのだとも受け取れる。

私自身、伊吹文科相の幹事長就任は想定外であったが、タカ派的な色合いの濃い伊吹派のトップを招き入れる形で“党ナンバー2”に就かせたことからは、福田氏のしたたかな「挙党一致」戦略が伺える。

また、幹事長には他派閥の会長を任命したことで、内閣における女房役“官房長官”には、出身派閥である町村派の会長、町村信孝外相を起用するのではないかとの憶測が広がっている。

いずれにしても、次の日本の新しいリーダーには福田氏がなることが決まった。
異例の安倍首相による辞任劇、そしてまさかの福田氏の総裁選出馬、それに加えてこれから展開されるのは、「未知の世界」=「ねじれ国会」を舞台にした与野党激突マッチである。
日本という国の先行きが見えず、政局の行方も先が見えない。来年7月の北海道・洞爺湖サミットで、誰が日本国の総理としてホストを務めるのかさえ、現時点では定かではない。
父・赳夫元首相譲りの“バランス感覚”と、官房長官時代に培った“腹をくくる”政治家としての持ち味を、そのまま総理に就任しても活かしてもらうことを福田新総裁には期待するととともに、一日も早く、安定した政治状況を築いてほしいと思う。

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2007年09月17日

杉村太蔵“one of them”からの脱皮作戦

結婚して、子供も生まれた。次の選挙じゃ落ちられない。

<杉村太蔵議員>総裁選びに反発し「チルドレン塾」を退席

 小泉チルドレンと呼ばれる自民党の当選1回衆院議員らでつくる選挙塾「新しい風」(会長・武部勤元幹事長)は16日、党本部で総裁選対応を協議した。このうち、メンバーの杉村太蔵衆院議員が「(武部氏らの方針に)ついていけない」と途中退席。武部氏は杉村氏に「もう来るな」と怒ったという。

 杉村氏は記者団に「こんなことで総裁が決まるなら自民党は終わる」と述べた。総裁選で小泉純一郎前首相の再登板を模索していた同会が、福田康夫元官房長官支持でまとめようとすることに、反発したとみられる。

(17日、毎日新聞)

私はかねてから、「杉村太蔵 本当はしたたか」説を展開してきた。

今はなき日曜夜の情報番組『スタ☆メン』(フジテレビ)で、爆笑問題の太田光氏やパンツェッタ・ジローラモ氏が「杉村氏はバラエティー的対応の出来る政治家」だと言及した際には、その意見に同調した(2005年10月03日)。

杉村氏が参院神奈川補選で“ビラ配り”を志願した際には、「杉村氏はメディアをリードして政治活動を展開する政治家」だと、やや過大評価気味に記述した(2005年10月08日)。

時は流れ、2007年9月。
杉村太蔵の「したたか」なる政治家的な動きを、またもや伺えるニュースが飛び込んできた。

杉村氏が今回、「新しい風」の会合を途中退席したのは、「派閥単位で総裁が決まるのはおかしい。議員各自が気に入る候補を支持すべきだ」との理由からだ。
この考え方自体には、私も深く共感する。「派閥力学」なる言葉は、小泉純一郎前総裁の下、自民党から消えてなくなったはずだ。
今回の杉村氏の意見は、まったく正論だと思う。

しかし、このブログで散々ご紹介している言葉を思い出してほしいのだが、政治家の発言にはすべて“ウラ”や“思惑”があり、木村太郎氏の言葉を借りれば、我々は「政治家ことば」を判読せねばならないのだ。
当然、杉村氏の今回の動きにも、表から見ただけでは分からない“ウラ”の意図がある。

まず、興味深いのは、杉村氏が決して「福田総裁」実現に反発して会合を途中退席したのではなく、「派閥単位で総裁が決まる」というプロセスに反発したという点である。
これは、派閥解体という「小泉イズム」の真の継承者は自分だとのアピールを党内外に向けて行うことになる。
事実、杉村氏の言っている「派閥単位で総裁が決まるのはおかしい」との言葉は、いかなる政治家も反発できない性質のものだ。世論も杉村氏の意見に同調するだろう。
「福田総裁」実現を否定し「麻生総裁」実現を肯定したわけではなく、単に総裁が決まる過程がおかしいと言っているのだ。

そして、今回の杉村氏の行動は、「福田総裁」「麻生総裁」どちらが現実のものとなっても、プラスに働く効果を持つ。

大方の予想通り「福田総裁」が実現すれば、「福田氏支持」で事実上まとまった“小泉チルドレン”の中での「問題児」として、杉村氏はインパクトを残す。
小泉前首相の威光を借りた、事実上の“武部派”である「新しい風」に所属し、武部氏の指示に従うだけでは、選挙区を持たない“小泉チルドレン”としては存在感が埋没してしまう。
今後も議員生命を維持したいと考えるのであれば、何としても「小泉イズム」を引き継ぐ真の継承者として、党内外に対して、存在感をアピールしておかねばならない。
福田氏支持勢力としての“小泉チルドレン”における“one of them”になることを避け、福田氏に対して一定の距離を置く姿勢を示すことで、政治家としての存在感を高める。
しかも、世論の風向きが“反福田”に流れた時でも、他の“小泉チルドレン”らとは違い、杉村氏は「『福田首相』は、派閥単位で形成された首相じゃないか」と言うことが出来るようになる。
今回の杉村氏の行動は、そういうことを見越してのことではないだろうか。

次に、麻生氏が大逆転をして「麻生総裁」が実現したケースを考えてみよう。
今回、総裁の決まるプロセスがおかしいといって会合を途中退席した杉村氏だが、見方によっては、「福田総裁」にNO、「麻生総裁」にYESと言っているとも受け取れる。
「麻生総裁」が現実のものとなった時に、「福田氏支持」でまとまっていた“小泉チルドレン”の中で、ただ一人、麻生氏を支持していた人材だということで、杉村氏は「麻生総裁」に一目置かれる存在となる。
麻生氏は平沼赳夫元経産相の“復党”に積極的な姿勢を示しており、普通の見方をすれば、“小泉チルドレン”にとって「麻生総裁」は避けがたい事態だと思うかもしれない。
しかしこれは、逆に言えば、仮に「麻生総裁」が実現した場合、杉村氏は麻生氏に対して「恩」を売ったということになるということだ。
「『恩』(麻生氏支持)を『仇』(平沼氏復党)で返すのか」と言って、杉村氏は麻生氏に「整合性が取れていない」と迫ることが出来るのである。
世論も「せっかく麻生さんを応援したのにね」ということで、杉村氏に同情する意見が大勢を占めてくるかもしれない。

「福田総裁」の下であれ、「麻生総裁」の下であれ、杉村氏は“小泉チルドレン”の中から脱皮した存在として、時の総裁・執行部に一目置かれる存在となれるかもしれない。
少なくとも、「新しい風」の一所属議員として他の“チルドレン”と同じ行動をしていては、次期衆院選では埋没してしまう。
杉村氏の高度な、しかし、失敗した場合には取り返しの付かなくなる「賭け」を、私は感じる。



<余談>

平日の朝は普通忙しいので、祝日である今日、久々に朝のワイドショーを見てみた。

『とくダネ!』(フジテレビ)の小倉智昭キャスターはさすがの安定感である。質問や言い回しも、理路整然としている。
スタジオゲストは、自民党の石原伸晃政調会長と、テレビ東京の参院選特番で面白い“政治シミュレーションドラマ”を書いてくれた、政治ジャーナリストの上杉隆氏。石原氏も上杉氏も大変落ち着いた方なので、スタジオ全体も落ち着いている。

それに比べて、『スーパーモーニング』(テレビ朝日)のほうはどうだろう。
ワイワイガヤガヤ、コメンテーターもスタジオゲストの国会議員たちも、ただただうるさいだけで、とてもじゃないが視聴に耐えない。
特にコメンテーターの某氏はうるさく、騒がしく、偽善者ぶっていて、見ているだけで吐き気がした。
いつもは落ち着いているはずの三反園訓氏(テレビ朝日コメンテーター)も金切り声を上げている。これでは見る気がしない。

とりあえず言えることは、テレビ朝日『スーパーモーニング』に品性はないということだ。

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2007年09月15日

麻生・福田両陣営「選対本部長」人事を分析

邦夫が支える太郎。聖子が支える康夫。

自民総裁選:福田氏「全力で…」、麻生氏「自分の手で…」

 安倍晋三首相の退陣に伴う自民党総裁選は15日午前、立候補を受け付け、福田康夫元官房長官(71)=町村派▽麻生太郎幹事長(66)=麻生派=の2氏が届け出、一騎打ちの選挙戦が始まった。福田氏は麻生派を除く8派の支持を固めるなど国会議員票で大きくリードしており、優位は動かない情勢だ。両氏とも小泉内閣以来の構造改革路線の修正を掲げ、参院の与野党勢力逆転で党が危機的状況に陥る中、党立て直しに向けた政策や構想を競い合う。新総裁は23日に選出される。

 福田氏は午前10時半から党本部で記者会見。「責任を持ち難局に立ち向かう」と決意表明。「全員で全力をあげる方向で人事をするのは当然だ」と述べ、首相就任の際は挙党態勢の布陣で臨む意向を示した。麻生氏との違いについて「同じ自民党だから、そんなに違いはない」と語り、「政策の中身、好き嫌いなどいろんな判断基準がある」と述べた。経済・財政運営では小泉内閣から続く構造改革路線の軌道修正を訴える方針。外交面では中国・韓国が反発する首相の靖国神社参拝について行わない考えも表明するなど、アジア重視で独自性をアピールしたい考えだ。

 一方、麻生幹事長は15日朝、決起大会で「改革に伴う痛みに手当てが必要なのは当然だ。地方の声を真摯(しんし)に受け止めなければならない。小さな政府でも、強く、ぬくもりのある政府を作り上げる」とあいさつし、改革路線を継続しながらも、地方や弱者に配慮した政策を進める考えを表明。「地方票を一票でも多くいただき、自民党再生の足がかりを築く」と地方票重視を強調した。「情熱と気迫、経験」をアピールしつつ、8派の支持を得た福田陣営を「談合」と批判することで、支持を訴える。決起大会には、同党の国会議員29人(うち麻生派15人)が出席した。

 党総裁選挙管理委員会は15日午前11時から党本部で立候補を受け付け、両陣営の代理人が20人の推薦人名簿を添えて届け出た。23日の投開票は党大会に代わる両院議員総会で行われ、国会議員387人(衆院304人、参院83人)に各1票、都道府県連に各3票(合計141票)の合計528票で争う。新総裁の任期は安倍首相の残任期間の09年9月まで。

 福田氏は町村派だけでなく津島派、古賀派など8派の支持を得て優位な情勢。ただ、麻生氏推薦人に伊吹派など他派議員が名を連ねたことから、引き締めを求める声も陣営から出そうだ。また、37都道府県連が党員投票による予備選を実施して投票先を決める考えで、地方票で麻生氏がどれだけ劣勢を挽回(ばんかい)できるかが焦点だ。【川上克己、竹島一登】

(15日、毎日新聞)

今回の自民党総裁選は急きょ実施されることになったものであり、臨時国会開会中でもある今、「政治的空白」を作ってはならないということでタイトな日程で組まれた“スピード総裁選”だと形容できるだろう。
そんな中、自民党の34都道府県連は「党員投票」を実施して、持ち票である“3票”の投票先を決定する姿勢だ。


きょう、総裁選に向けての選挙対策本部を設置した、麻生・福田両陣営。
麻生陣営の選対本部長には鳩山邦夫法相(津島派)、福田陣営の選対本部長には橋本聖子参院議員(町村派)がそれぞれ就任した。

鳩山法相は去年の総裁選時にも、麻生陣営選対本部長として、麻生氏を支えた。
今月5日には、実兄・由紀夫民主党幹事長と共同で記者会見し、政治リーダー育成機関「友愛塾」を来年4月に立ち上げると発表した。
党派の異なる兄弟がタッグを組むことには、「政界再編をにらんでの動きか」との憶測も聞かれるが、鳩山兄弟は「もっと大きなスケールの話。祖父・一郎元首相の“友愛”精神を広めたい」と、これを否定している。
邦夫氏は、今度の総裁選で福田氏が派閥からの支援を取り付けていることについて、福田氏のやり方は「派閥主導の旧来的自民党手法だ」と批判している。

橋本氏は昨年6月、日本スケート連盟の会長に就任した3男3女の母(実子3人)。
出産のための休暇を数日取っただけで、国会にカムバックしてくるという、並の男もビックリの、かなり“タフ”な女性政治家だ。
福田陣営の選対本部長には、党の重鎮・中山太郎衆院議員(無派閥)が就任するとの話もあったが、「若くてハツラツとしたイメージがよい」(町村派議員)ということで、橋本氏が職に就くこととなった。
橋本氏が選対本部長に就くというのには、小泉純一郎前首相のような「わかりやすいパフォーマンス」的手法が使われたことが伺える。

鳩山法相が麻生陣営の選対本部長に就任したことには「鳩山氏の義理堅さ」を感じ、橋本氏が福田陣営の選対本部長に就任したことには「小泉流サプライズ人事」を感じる。


さて、麻生氏と福田氏の政策的違いを比較すると、以下のように分類できるだろう。

<麻生>
  外交:日米関係重視
  経済:小泉路線の転換?

<福田>
  外交:全方位外交
  経済:小泉路線+地方に配慮

このように一応分類は出来ても、両者に決定的な違いを感じられないのが現状だ。
「日米関係」は外交を考える上において機軸ではあるが、当然「アジア外交」を考える視点も必要。
参院選での惨敗を受け、小泉改革の方向性については正しさを感じていても、「影」の部分を修正する考え方も求められている。

両者の違いがあまり鮮明に映えないのは、麻生氏が「ハト派」(旧河野派)の中にあって「タカ派」的であり、福田氏が「タカ派」(旧福田派)の中にあって「ハト派」的であるからかもしれない。


とりあえず選対本部長も決まり、23日(日)の投開票日に向け“ガチンコ勝負”となった自民党総裁選。
自民党は、平日は候補者の街頭演説を行わないことを決めるなど、出来るだけこの総裁選から派手な演出を削ぎたい意向だ。

私個人的には、額賀福志郎財務相も、小池百合子前防衛相も立候補して、色んな候補が色んな意見をディスカッションし合う「総裁選」が好ましかったように思う。
多種多様な候補が議論を戦わせることでこそ、「自民党の底力」は発揮されるだろうと感じるからだ。

しかしながら、今回が「急」な総裁選であることを考えれば、立候補者が複数名になっただけでもよかったと考えることも出来る。
現状では福田氏が圧倒的に優勢だが、34の都道府県連での「党員投票」の結果によっては、議員票の動向も左右されるかもしれない。

ちょうど一週間後、はたして新総裁に選出されるのはどちらなのか。
所信表明演説の翌々日に総理が辞意を表明する今日び、「政界の一寸先は闇」との常套句が、不思議なリアリティを醸し出している。

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2007年09月14日

麻生が安倍をハメた!? “陰謀論”はでっち上げ

事実上の「一騎打ち」だが、党内各派はすでに片方へ傾いた。

<総裁選>麻生氏が首相を「お見舞い」

 自民党の麻生太郎幹事長は、きょう午後3時、党本部で同党総裁選への出馬会見を開いた。そんな中、会見直前、麻生氏が報道陣の前から姿を消す一幕があった。
 実は午後2時ごろ、麻生氏は出馬会見を前に、慶応大病院に入院中の安倍晋三首相を訪れた。麻生氏は首相に「出馬する」と報告したということだ。

(14日、テレビ東京『速ホゥ!』)

「麻生VS福田」の“一騎打ち”が確定した自民党総裁選。
思いもかけない福田康夫元官房長官の「出馬の意向」表明で、自民党各派閥は、昨年9月の総裁選同様、一人の候補に対して“雪崩れ減少”を起こしている。

党内各派の“支持”勢力図
(カッコ内は人数)

<福田氏支持>
  町村派(80)
  津島派(64)の大半
  古賀派(46)
  山崎派(38)
  伊吹派(25)
  高村派(15)
  谷垣派(15)
  無派閥の約7割

<麻生氏支持>
  麻生派(16)
  津島派(64)の一部
  無派閥

いかに福田氏が党内各派閥から多大なる支持の声を受けているか、一目瞭然だ。


テレビ東京が今日実施した街頭アンケートでは、「ポスト安倍に誰がふさわしいか」との問いかけに対して、以下のような結果になった。

<巣鴨>
 麻生氏支持/19票
 額賀氏支持/1票
 福田氏支持/80票

<秋葉原>
 麻生氏支持/66票
 福田氏支持/34票

麻生太郎幹事長の“秋葉原での人気”の高さが伺える。また、秋葉原で聞いた人の中には、福田氏の存在を知らない人もいたという。


昨年の総裁選時には、「私は(新聞等に)『今日も生体反応なし』って書かれてたよ」と話し、総裁選に出馬しないことを強調してみせた福田氏。
あの時と一転し、今度は“総裁”就任に意欲を見せる今回、「今日の生体反応はどうですか」とのテレビ東京記者の問いかけに、福田氏は

「『生体反応』は・・・これからだ。反応が出るのは」

と微笑しながら答え、車に乗り込んだ。


さて、「安倍首相辞任表明」について、一部評論家などは、「麻生氏は安倍首相の辞意を月曜には知っていたが、安倍氏を止めなかった。麻生氏が安倍首相をハメたのだ」との“陰謀論”を言っているが、真相はどうなのか。

結論を言うと、私は、そういった事実は一切ないと考えている。

“陰謀論”というのは太古の昔から人間に好まれてきたものであり、日本の歴史を振り返ってみても、蘇我入鹿のいた時代から繰り広げられてきたものだ。おそらく、縄文時代には縄文時代なりの“陰謀論”があったことだろう。
今回、麻生氏の“陰謀論”を展開しているのは、「福田氏に有利な戦いをさせよう」と画策している党内の勢力によるもので、麻生氏の対外評価を下げる意図からでっち上げられているものだ。

麻生氏は安倍氏にとって、最も信頼できる政治家であると断言しても過言ではなく、だからこそ“最重要ポスト”である党幹事長に起用した。
安倍氏にとって麻生氏は、実弟の岸信夫参院議員と同等ほどの“信頼を置く”政治家であろう。
「麻生が安倍をさらし者にした」と、稚拙な“陰謀論”を公言している評論家もいる。固有名詞を挙げるほど、私は低次元な人間になった憶えはないが、安倍首相と麻生氏が密接な関係にあるのは、疑いようもない事実であり、“陰謀論”はまったくの事実無根だと断定できる。

今日午後、麻生氏が入院している安倍首相を訪ねたのも、情に厚い麻生氏らしい純粋な「お見舞い」の気持ちが表れた行動だったと言えよう。
同時に、「“陰謀論”を展開している勢力には負けず、安倍改革の継承者として、総裁選を勝利する」と首相に“約束”しに行ったという見方も出来るかもしれない。


今日、額賀福志郎財務相が総裁選出馬を取りやめたが、額賀氏の所属する津島派は、基本的には他の派閥同様、「福田氏支持」で固まっている。
ただし、鳩山邦夫法相(津島派)は、自身が中心的役割となって麻生氏を支持する意向を表明しており、津島派に所属する議員の一部が「麻生氏支持」に回る可能性がある。

島村宜伸元農水相(無派閥)も、

「(総裁選の行方を決めるのは)今さら派閥ですか」

と記者団に呆れ顔で語り、鴻池祥肇元防災担当相(麻生派)らと協調している。


テレビ東京の福田裕昭政治部長の解説によれば、今回、自民党各派が一斉に「福田氏支持」への雪崩を打った背景には、小泉純一郎前首相による「後光」があるという。
小池百合子前防衛相や“小泉チルドレン”らで組織する「小泉前総裁の再登板を実現する有志の会」からの“再登板”要請には「NO」を示した小泉氏だが、電話先の中川秀直前幹事長に対して

「(福田氏出馬は)いいじゃないか。応援するよ」

と話したとのことで、この言葉が福田氏の「後光」として、永田町を一人歩きしている現状と言えそうだ。


ブログというのは個人的な感情を書く場だと思うし、もう昔のことになっているので明らかにするが、2001年総裁選時、私は橋本龍太郎元首相(故人)でもなく、小泉純一郎前首相でもなく、麻生氏を支持した。
と言っても、私は自民党員でないので何の意味もない“支持”だったのであるが、麻生氏の理念にかつて同調したことも事実だ(ちなみにこの時、麻生氏は立候補者4人中4位の得票数だった)。
かといって、今回の総裁選で、私は「麻生氏に勝利してもらいたい」などと“表明”してみせるつもりはない。
事実、郵政造反組の「復党問題」をめぐる点では、私は、麻生氏の考え方には同意しかねるし、そういう面では“麻生総裁”が現実のものとなることについては、若干の恐怖を覚えている。


「福田総裁」が現実味を帯びてきた“ポスト安倍”レース。
小泉内閣における総務相と官房長官が“激突”することとなったが、これはまさに、永田町ないしは日本において、今なお前首相の存在感が大きいことを表しているのかもしれない。


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2007年09月13日

「福田氏出馬」で先の読めない総裁レース

まさかの「麻生VS福田」――。党内には“福田アレルギー”というものもある。

自民総裁選 25日投票で調整へ 麻生氏ら各派の動き活発

 自民党は13日午前、党本部で総務会を開き、辞任を表明した安倍晋三首相の後継を決める総裁選の日程について「14日告示−19日投票」との案を提示したが、出席者から先送りを求める声が続出し、日程は決まらなかった。執行部は同日午後の両院議員総会の意見も踏まえ同日中に日程を決める考えだが、投票日は25日に延期する方向で調整している。後継候補を巡っては、麻生太郎幹事長が総裁選日程が決まり次第、出馬表明する予定のほか、中堅・若手グループが同日朝、小泉純一郎前首相の出馬を要請し、小泉氏は固辞する考えを示した。さらに額賀福志郎財務相が同日午後、出馬を表明したほか、小泉・安倍路線に批判的な福田康夫元官房長官らを推す声も出ており、自民党各派の動きが活発化している。

 執行部が19日投票案を提示したのは臨時国会の開会中であるため、早期収拾には早めの新総裁選出が必要との観点からだ。しかし総務会では、発言者15人のうち12人が日程の先送りを求めた。谷垣禎一元財務相は「党員の意見を聞いてもっと先延ばしした方がいい」と主張。25日投票の日程に言及した出席者もいた。

 一方、武部勤元幹事長は13日午前、二階俊博総務会長、細田博之幹事長代理にそれぞれ会い、19日投票案について「幅広く立候補者を募る意味からも短期間に過ぎる」として、投票日の25日以降への先送りを求める申し入れ書を提出した。

 こうした中、総裁選出馬の意向を固めている麻生氏は13日朝、東京都内のホテルで来日中の中国ナンバー4の実力者、賈慶林(カ・ケイリン)中国共産党政治局常務委員と会談した。会談で麻生氏は安倍首相の辞任に触れ「このあと(党の立て直し)をどうするかが、執行部に与えられた大きな仕事だ」と指摘。麻生氏はこの後、総務会など総裁選日程の決定まで幹事長業務をこなし、その後に出馬表明をする考えだ。

 一方、中堅・若手による「小泉前総裁の再登板を実現する有志の会」のメンバー17人が同日午前、党本部で会合を開き「小泉氏しか危機を突破できない」として、午後に小泉氏に出馬を要請することを確認した。冒頭、小野次郎衆院議員は「小泉前首相以外に(次期衆院選を)勝ち抜く顔になれる人はいない」と力説。中川泰宏衆院議員が同日朝、小泉氏に非公式に出馬を打診したが、小泉氏は「出ない。第三者を探せ」と述べたという。

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 自民党各派は対応を慎重に見極めている。最大派閥、町村派会長の町村信孝外相は13日午前、記者団に「グループとしてどうするか、私自身どうするか、皆さんの声をよく聞いて考えたい」と語るにとどめた。町村氏は同日午前、訪仏日程を切り上げ帰国した森喜朗元首相と対応を協議した。福田康夫元官房長官は毎日新聞の取材に「(出馬するかどうか)そんなことは決まるまで分からない」と述べ、出馬に含みを残した。

 昨秋の総裁選で安倍、麻生両氏と戦った谷垣氏は「政策転換をしないといけない。それができる体制をどう作るかだ」と記者団に語り、「安倍路線」からの転換が必要との考えを示した。

 「ポスト安倍」の有力候補の一人とみられる額賀財務相は13日午後、津島派の総会で「世界の中の日本を作るためにがんばらせていただきたい」と出馬を表明した。

 山崎派は13日朝から山崎拓前副総裁ら幹部が派閥事務所に集まり対応を協議。古賀派会長代理の太田誠一元総務庁長官も加わるなど、派閥同士の腹の探り合いも活発化している。

(13日17時15分、毎日新聞)

今日も昨日同様、時間が取れず、急ぎ足のエントリ投稿ということになってしまうが、上記の毎日新聞記事が、私の専門分野である「自民各派閥の動き」について分かりやすくまとめてあるので、よく読んでいただきたい。


今のところ、出馬の意向を表明、または出馬が確実とされているのは以下の人物たちだ(カッコ内は所属派閥)。

・麻生太郎幹事長(麻生)
・福田康夫元官房長官(町村)
・額賀福志郎財務相(額賀)


※山崎拓前副総裁(山崎)も「意欲」は見せている

町村派内には、派閥会長である町村信孝外相の出馬を模索する声もあるが、思いもかけず、福田氏が出馬を「前向きに検討中」であることを明言したので、福田氏支持で一本化されそうだ。

私としては、「ポスト安倍」レースに福田氏が参戦することは“100パーセントない”と考えていたので、福田氏が出馬の意向を固めたのは一つ衝撃的であった。
昨年の自民党総裁選時、福田氏は「歳も歳だし」との理由で出馬をしないと発表した。
“100パーセントない”と考えていたのは、時間が経てば人も年老いていくので(「若返りエステ」などをやっていれば必ずしもそうだとは言えないかもしれないが)、福田氏が「高齢」を理由に出馬を見送った以後、出馬する展開はないだろうと考えていたからである。
まったく、これは私の「政治家ことば」解読力が未熟であったということだ。


逆に、今回、出馬をしない意向であることを表明したのは、以下の人物たちだ。

・谷垣禎一元財務相(谷垣)
・小泉純一郎前首相(無派閥)


小泉氏の再登板はありえないと考えていたが、谷垣氏が出馬せず、福田氏支持に回るという決断をしたのは、自民派閥ウォッチャーとしては、いささか残念だ。
これでは、麻生氏の「為公会」こそが「宏池会」の本流を汲む派閥であると意味しているのと同じである。
もちろん、仮に福田氏が出馬を「前向きに検討」だなんてしなければ、谷垣氏は確実に総裁選に出馬する姿勢を示しただろう。
福田氏が出馬の意向を事実上表明している中、谷垣氏があえて出馬をしたところで勝ち目はないことは、ご本人が一番よくお分かりかもしれないが、今回出馬を見送ったらなかなか次のチャンスは回ってこないかもしれない。
そう思うと、谷垣氏の“逃げ”は残念だ。


まったくありえなくもないというのが「小池百合子前防衛相の出馬」であったが、これも「福田氏出馬」で可能性がほとんどなくなった。
武部勤前幹事長や“小泉チルドレン”と呼ばれる新人議員たちが中心となって、“小泉改革の原理に立ち戻れ”というスローガンの下、小泉氏の総裁選擁立は無理でも、例えば「郵政総選挙」時の“刺客”第一号として、「小泉政治」の中心的役割を果たした小池氏を総裁候補に担ぐ、ということはありえるかもしれないと考えていた。
ところが現実を見てみると、「麻生VS福田」という構図が生まれているので、麻生氏の対抗候補という意味からして、小池氏の出馬の可能性はなくなった。
“第三極”として名前が挙がってくる可能性も――あると言えばそれは1%ぐらいはあるかもしれないが――この短期間の「総裁選」スケジュールにあたっては、小池氏が総裁レースに登場してくることは考えにくい。


なお、額賀氏の出馬表明については、産経新聞「iza!」が全文をホームページ上に掲載しているので、興味の湧いた方は、少し目を通してもらいたい。

<額賀氏出馬表明>全文はこちら (iza!)


「麻生VS福田」という“実質上の一騎打ち”ということで総裁選が展開されることになりそうだが、はたしてこれはどちらが勝つか、動きがなかなか読めない。
まさに「緊急時」の今回、自民党議員たちがどういう判断を下すか、情勢は流動的で、このままでは額賀氏の“漁夫の利”的勝利も考えられるシチュエーションだ。
とりあえず、一日一日情勢が変わってくる、大変見応えのある、また、政局好きとしては楽しみがいのある一週間が繰り広げられそうだ。


※ちなみに、安倍首相は少なくとも3〜4日の入院が決定。
 公表されている限りでは、胃腸の悪化(持病)が原因だという。


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posted by Author at 19:55| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(2) | ポスト安倍スペシャル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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