2009年02月08日

第一目的は「中川外し」 町村派“お家騒動”の裏側が明らかに

森氏にとって町村氏は一つのカードにすぎず、町村氏を会長にする積極的理由はなかった。

自民町村派 勝者なき抗争 集団指導体制解消

20090207__group_of_machimura.jpg(C)毎日新聞

 自民党町村派内の対立は、町村信孝前官房長官や中川秀直元幹事長らによる集団指導体制を見直し、町村氏の会長昇格で決着した。森、小泉、安倍、福田と4代続けて首相を輩出し、衆参議員89人を擁する最大派閥の揺らぎ。その背景を検証する。【犬飼直幸、高山祐、近藤大介】

【関連記事】自民党:町村氏派閥会長に復帰…中堅・若手の反発根深く

 「いずれ中川は再び動き出すぞ。今やっておいた方がいい」

 今月2日夜、東京・赤坂のホテル。町村派最高顧問の森喜朗元首相は、町村氏と同派相談役の安倍晋三元首相に、派閥人事の見直しを迫った。混乱を懸念する町村氏らは当初、慎重だった。安倍氏は「中堅・若手には、衆院選まで体制を変えない方がいいとの空気が強い」と伝えたが、森氏は自らの派閥退会まで持ち出し、人事断行の決意を示した。森氏は翌3日に福田康夫前首相、4日には町村、中川両氏とともに代表世話人を務める谷川秀善参院議員らと相次いで会談。主要幹部に根回ししたうえで、森氏は中川氏にも会談を申し入れたが、中川氏は応じなかった。派閥総会が開かれた5日、町村氏は総会前に森氏に電話し「中川氏と会ってから人事案を示した方がいい」と再考を促したが、森氏は「あいつは面会を拒否した。今日の総会で言う」と押し切った。

   ■  ■

 森氏と中川氏の間にすき間風が吹き始めたのは昨年夏。中川氏が衆院選後の政界再編をにらみ、「派中派」の動きを強めたことがきっかけだった。経済成長と財政再建を優先する「上げ潮路線」の勉強会を、中川氏は派内に発足させた。

 森氏の「あまり派手にやらない方がいい」との忠告に、中川氏は打ち明けた。

 「民主党の前原誠司前代表や野田佳彦元国対委員長らと話はついている。上げ潮路線の政策なら、彼らとブリッジ(橋)を架ける新党を作れる」

 選挙結果次第では自民党を割り、新党結成に動くのでは−−。中川氏が漏らした新党構想に、森氏は警戒感を強めた。

 昨年9月の自民党総裁選で、中川氏は小池百合子元防衛相を擁立し、麻生太郎首相支持の森氏との対立は決定的となった。総裁選後、派閥事務所で向き合った中川氏と森氏との間で、こんなやりとりがあった。

 中川氏「一つの会社(派閥)に、3人社長がいるのはおかしいとみんな言っています」

 森氏「誰が言ってるんだ。名前を挙げろ」

 町村派から中川派への代替わりを画策した中川氏の言葉を逆手に取り、森氏は実は昨年末、中川氏を派の顧問に格下げする人事案を作成していた。安倍氏が難色を示したため見送られたが、今年に入り、中川氏が消費税増税問題で麻生政権への批判を強めると、森氏は周囲に「あの時にやっておけばよかった」と悔いを漏らした。

   ■  ■

 派閥総会を翌日に控えた今月4日、町村派の中山泰秀衆院議員から電話で「森さんと会って、手打ちした方がいい」と説得を受けた中川氏は「政策の話をしているだけで、悪いことはしていない」と拒否。森氏も、自重を促す自民党の青木幹雄前参院議員会長(津島派)に「あなたの言うことでも、それだけは聞けない」と断った。

 5日の町村派総会。マイクを握り、中川氏を糾弾する森氏の隣で、中川氏は厳しい表情で黙り込んだ。代表世話人にはとどまったものの降格人事により、中川氏の影響力低下は避けられない。中川氏が連携相手と見た民主党幹部は今、「私は政権交代論者で、政界再編論者ではない」(野田氏)、「全く事実無根」(前原氏)と距離を置く。

 安倍氏は6日、首相官邸を訪ね、麻生首相に町村派の新体制を報告した。かねて最大派閥の政権支援に期待してきた首相は「落ち着いて良かった」と笑顔を見せた。ただ、総会では中堅・若手から異論が相次ぎ、派に君臨してきた森氏の求心力低下も印象づける。2時間以上の総会で、町村氏を評価する意見は出なかった。勝者なき派内抗争。最大派閥の揺らぎは続く。

(7日、毎日新聞)

きょう(7日)の毎日新聞に、自民党・町村派で「町村信孝会長」体制が復帰したことについて、その内幕が書かれている。
上に掲げた記事がそれだが、森喜朗元首相が「町村会長」復帰と「中川外し」に固執したこと、安倍晋三元首相が派閥分裂に危機意識を抱いていること、そして中川秀直元幹事長が派内の若手・中堅から支持を得ている一方、民主党の「政界再編」論者からは距離を置かれていること、などが読み取れる。

通常は1時間程度で終了する町村派の総会だが、今回の総会は2時間以上を要した。
町村氏が森氏の「中川外し」を傍目から静観し続け(町村氏としてはそうする以外になかったのかもしれないが)、森氏も「中川外し」のために町村氏というカードを使用した。
そこに、町村氏が会長になるための積極的理由はなく、あくまでも森氏は「中川外し」をしたかっただけという印象を強く受ける。
なお、あえて言うまでもないが、谷川秀善参院議員が町村派の代表世話人であるのは、町村派トップ人事が政局的な意味合いを持つのを薄めるためである。俗な言い方をすれば「名誉職」ということだ。

昨日(6日)の『NEWS23』では、後藤謙次キャスターが「もともと、町村派の体制を整えることは、麻生首相が森氏に依頼した。しかし、逆に森氏がやりすぎてゴタゴタが生じてしまっては、麻生首相としては“ありがた迷惑”な話だろう」と解説していた。


さて国会は、麻生太郎首相の「郵政民営化には賛成ではなかった」発言で紛糾している。
麻生首相は、郵政民営化に伴う日本郵政グループの4分社化体制の見直しに言及した。現在「郵政民営化に反対」であるというわけではない。
自民党内では民営化推進派が反発する一方、慎重派は勢いづいている。

6日夜、麻生首相は首相官邸で記者団に、4分社化見直しについて「利用している人の利便性、経営の効率性の二つを考える。当然のことだ」と述べ、分社のあり方を含めて議論していくべきだとの考えを改めて示した。
政府では郵政民営化委員会が見直し議論の作業を進めており、自民党もプロジェクトチーム(中谷元座長)を設置して検討。政府と自民党の見直し議論自体は、3月末に決着が出る。

党関係者によると、5日、小泉純一郎元首相は町村派議員に電話し、「麻生氏は郵政民営化に反対していなかった。反対なら(小泉内閣で)総務相をやっているわけがない」と語ったという。
「郵政総選挙」(2005年)当時、幹事長だった武部勤党改革実行本部長も「(麻生首相の発言は)非常に不見識と言わざるを得ない」と指摘した。
「郵政総選挙」で初当選した“小泉チルドレン”らで作る「国民視点の政策を実現する会」が6日に開いた会合では、「首相は慎重に発言してほしい」などの声が相次いだ。
これに対し、民営化慎重派からは「党のPT(プロジェクトチーム)で4分社化も含めてもう一度、議論すべきではないか」との意見が出ている。


――6日、ロイター電子版に「インタビュー:G7で保護主義防止にメッセージを=谷垣元財務相」という谷垣禎一元財務相(元政調会長)へのインタビュー記事が掲載された。こちらは明日以降、詳述したい。
なお、TBS報道番組の行方についても、三雲孝江キャスターの気になる動向についても、今後エントリを書くつもりなので、お楽しみに。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
posted by Author at 00:23| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月05日

町村派「町村会長」で再始動  古賀派・麻生派は10年ぶりの急接近

自民党内3つの派閥で起きた、「2つの気になる動き」。特に中川氏の行動には要注目だ。

会長に町村氏=中川秀氏は代表世話人続投−自民・町村派

 自民党町村派は5日の総会で、3人の代表世話人による集団指導体制を改め、町村信孝前官房長官を会長に充てることを決めた。最高顧問の森喜朗元首相が提案し、了承された。中川秀直元幹事長、谷川秀善参院議員は代表世話人を続投する。最大派閥(89人)の同派は今後、町村氏を中心に運営され、麻生政権を引き続き支えていくことになる。

 総会では、森氏が「3人代表制は見直したい」と町村氏の会長昇格を提案。一部の中堅・若手から「もっと意見を聞いて決めるべきだ」といった声も上がったが、最終的には拍手で了承された。これを受け、町村氏は「微力だが全力を尽くして頑張る」とあいさつした。 

(5日、時事通信)

きょう(5日)、自民党の各派閥は総会を開いた。
最大派閥・町村派の総会では、最高顧問である森喜朗元首相が3人いる代表世話人の中で、町村信孝前官房長官を「会長」に復帰させるよう提案した。
森氏は「3人の代表世話人という体制はおかしいと考えてきた。町村派なのだから『町村会長』にすべきだ」と発言。
中川秀直元幹事長と谷川秀善参院議員の2人は代表世話人を続投するが、今回「会長」職が新設されることで、中川氏と谷川氏は事実上の“降格”を余儀なくされることとなる。

会合では、この提案に賛成する意見も出される一方で、「衆院選を控えてコップの中の争いをしている場合ではない」という意見や「所属議員の意見も聞かずに、一方的な話であり、オープンな場で時間をかけて議論すべきだ」という意見など、体制の見直しに反対する意見が多く出された。
しかし、派閥事務総長の中山成彬前国交相が「きょうの会合で結論を出したいので、森氏の提案を了承すべきだ」と賛同を求める。
さらに、森氏が「提案した代わりに派閥を離れたいと思う」と述べ、派閥離脱も辞さない構えを見せたことで、最終的に「町村会長」体制が了承された。

もともと町村氏は派閥会長だったが、2007年秋、福田康夫内閣で町村氏が官房長官に就任したことにより、会長職をなくした。
そして中川氏と谷川氏の2人を新たに加えた形で「代表世話人」ポストを設け、集団指導体制を採用していた。
森氏と中川氏はかつて“親子関係”と評されるほど密接な関係にあったが、昨年(2008年)秋の自民党総裁選で、森氏が麻生太郎首相を支持したのに対し、中川氏は小池百合子元防衛相を総裁候補に擁立。以来、すきま風が吹いていた。
2人の関係を決定的に悪化させたのは、先の「消費税率引き上げ時期」明記問題である。中川氏が麻生首相の案を批判したことに、森氏や安倍晋三元首相(町村派相談役)らが反発。
2日夜には、森氏、安倍氏、町村氏の3人が会談し、集団指導体制を見直す方向で協議を行っていた。

新たに派閥会長に就任した町村氏は「中川先生も谷川先生にも頑張って頂かなきゃなりませんし、全員野球でやっていこうと」とその決意を述べた。
今回の「町村会長」誕生は、町村派内における幹部間の衝突が表面化した結果のもので、森氏らは一度は“お流れ”になりつつあった「中川外し」に成功したといえる。
とはいえ、現在は事態を静観している中川氏が、今後どのような動きを見せていくか。このまま黙っているとは思えない。「政界再編」を主張する中川氏が、若手・中堅議員を引き連れて派閥を離脱し、町村派が分裂するというシナリオも予想される。

<古賀派>麻生派の幹部と会合開く

 自民党旧宮沢派(宏池会)の流れをくむ古賀、麻生両派の幹部が4日夜、東京都内の中華料理店で会合を開いた。河野洋平衆院議長の在職最長記録の祝い名目で古賀派が呼びかけた。古賀派内には両派の合流を模索する動きもあり、将来の「大宏池会構想」に向けた布石との見方も出ている。しかし、一方で同派内には麻生政権に批判的な議員も少なくなく、合流実現には時間がかかりそうだ。

 会合には、古賀派の古賀誠選対委員長、谷垣禎一元財務相、麻生派の中馬弘毅元行革担当相、鈴木恒夫前文部科学相ら20人が参加した。【田所柳子】

(5日、毎日新聞)

一方、別の派閥でも気になる動きがあった。
昨日(4日)夜、「総裁派閥」である麻生派の幹部と、党内第3派閥である古賀派の幹部が都内の中華料理店で会合を開いたのだ。
古賀派と麻生派は、もともとは旧宮沢派としてまとまっていたが、旧宮沢派の後継と目された加藤紘一元幹事長をめぐる確執により、麻生派(当時:河野派)は旧宮沢派を離脱。古賀派と麻生派の幹部が会合を開くのは、派閥離脱後初めてで、実に約10年ぶりのことである。
今回の会合が「河野洋平衆院議長の在任最長記録を祝う」という名目で開かれたものだが、人事をめぐり混乱する最大派閥・町村派を横目に、党内政局のキャスチングボートを握ろうという古賀派の思惑が伺える。

会合には河野氏のほか、古賀派から古賀誠選対委員長、丹羽雄也元総務会長、谷垣禎一元政調会長らが出席。
会合後、河野氏は「とても楽しく良い時を過ごしました」と述べ、谷垣氏も「恩しゅうを離れて十数年の時間も経ちましたし、そういう意味では懐かしい顔ぶれ」と笑顔混じりに記者団に語った。
現在の古賀派は、昨年、旧古賀派と旧谷垣派が合流したことにより発足。旧宮沢派(宏池会)は旧古賀派、旧谷垣派、旧河野派(現麻生派)の3つに分裂したが、このうちの2つの派閥が合流したということで、旧古賀派と旧谷垣派の合併は「中宏池会」構想と呼ばれた。
仮に古賀派と麻生派との合流が実現すれば、「大宏池会」構想が実現することとなり、党内第2派閥、80人の大所帯となる。

昨年11月には、古賀派総会で古賀氏が「いっそのこと、為公会(麻生派)と一緒になって、大宏池会になっておけばよかったと思わないでもございませんが――」と語るなど、麻生首相の求心力低下を背景に、「大宏池会」実現化の動きが本格化している。
しかし、今日の麻生派総会で、麻生派の中馬弘毅座長「どこかの派閥と連携したり、一部の派閥と何かコトを起こすようなことは一切致しません」と発言し、古賀派との合流を完全否定した。古賀派内にも麻生派との合流に消極的な意見があり、合流に向けた道のりは未だ険しい。

森―小泉―安倍―福田と4代連続で町村派が「総裁派閥」の座を独占する中、森政権から安倍政権に至るまで“冷や飯”を食らい続けてきた古賀派。
「町村会長」体制で再スタートすることになった町村派は、一致結束して党内最大派閥であり続けられるのか。それとも、派閥分裂の危機は現実のものとなってしまうのか。
結党以来「保守本流」とされてきたが21世紀に入って一度も「総裁派閥」の座を獲得することができないでいる古賀派は、今後の党内政局にどのような影響を及ぼしてくるのか。
これら派閥の動きを、単なる「コップの中の争いごと」と見過ごすことはできない。総選挙後の「政界再編」にも影響を与える可能性が高い。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
posted by Author at 21:15| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月04日

危機を迎えた自民党 “W作戦”で衆参選挙に挑む

参院選を軸に、衆院選の時期が決定される構図が生まれそうだ。

<古賀選対委員長>渡辺喜美氏の対立候補要請 栃木県連に

 自民党の古賀誠選対委員長は3日、党本部で栃木県連の梶克之幹事長と会談し、離党した渡辺喜美元行政改革担当相の衆院栃木3区について、「自民党を出た人だし候補を立てないわけにはいかない」と述べ、公募も含め対立候補の選定を急ぐよう要請した。梶氏は地元関係者と相談する考えを示した。

(3日、毎日新聞)

2日(月)、自民党の古賀誠選対委員長は首相官邸で麻生太郎首相(自民党総裁)と会談し、来年(2010年)夏の参院選比例代表候補について話し合った。
この会談では、今年(2009年)4月中に「第1次公認候補」を決定する方針を決めた。苦戦が予想される総選挙をにらみ、参院選の候補者決定を一部“前倒し”し、衆参の選挙運動を連動させる狙いがある。
かつて自民党の有力支持団体だった全国郵便局長会(全特)の会合に、民主党の小沢一郎代表が出席するなど、支持団体の「自民党離れ」も深刻で、各支持団体の代表を党公認候補として擁立し、囲い込みを急ぐ思惑もある。

会談には自民党の菅義偉選対副委員長も同席し、比例候補の名簿搭載基準については、以下の基本方針を確認した。
・70歳で定年
・支持団体推薦候補者以外に、著名人ら党総裁特別枠も設ける
・候補は党員党友を確保する
自民党執行部は、あす(4日)開かれる選対会議で、比例候補の選定作業を開始する。

自民党の参院選比例代表候補は、毎回約30人ほど。うち20人程度は、農林水産業、建設団体、日本医師会など党の支持団体から擁立される候補だ。
普通、候補者決定は選挙の1年前に行われるが、2日の会談後、古賀氏は「(参院比例代表候補が)衆院選候補と一緒に戦いやすい状況を作るのも大事だ」と、衆参選挙“W作戦”の意義を説明した。

ただ、自民党支持団体の集票力は年々低下。各比例代表候補の得票数も、全体的に下落傾向にある。
日本医師会や、2005年の「郵政総選挙」で自民党の“敵”側に回った全国郵便局長会(全特)など、これまで自民党を支えた各種団体の「自民離れ」に、党執行部は危機感を強めている。
日本医師会は先月(1月)、現職の西嶋英利参院議員の推薦を決めたものの、調整過程では「民主党政権が誕生しても、我々は自民党から候補を出すべきか」などの意見が出たという。

参院選比例代表に候補者を擁立する各団体の狙いは、政権与党を通じ、自らの政策実現を図ることにある。
仮に自民党が野党に転落すれば、自民党から候補者を擁立するメリットは薄れる。「『野党・自民党』から候補を出しても意味はない」ということだ。
自民党のある参院比例代表選出議員は「衆院選の結果を見て、自民・民主双方を支援するなど、態度を変えてくるところもあるだろう」と懸念している。

衆院選候補と参院選候補を連動させて戦う“W選挙作戦”により、自民党は参院選候補を引き締めると同時に、各支持団体からの支持を早めに囲もうとする狙いがある。
この“W作戦”に当然関わってくるのが、先月自民党を離党した渡辺喜美元行革担当相の選挙区に“刺客”を送り込む、という古賀氏の選挙戦略だ。
昨日(3日)、古賀氏は党本部で栃木県連・梶克之幹事長と会談し、渡辺氏の選挙区である衆院栃木3区について、「自民党を出た人だし、候補を立てないわけにはいかない」と述べ、公募も含め対立候補の選定を急ぐよう要請した。
古賀氏からの要請を受け、梶氏は「地元には刺客を立てないでほしいという要望がある」とも述べたが、最終的には地元関係者と相談する考えを示した。

同日、菅選対副委員長も記者団に対し「渡辺氏が自民党を離党したのだから党公認候補を立てるのは自然だ。勇気をもって出馬する人がいれば全面支援したい」と語った。
個別事情を申せば、渡辺氏は地元での選挙に「強い」とされるが、今回の選挙で、“刺客”候補を比例代表名簿の上位に登載するような優遇措置はとらない方針だ。

衆院予算委員会では、昨日から閣僚と与野党議員による質疑が開始。2日目の今日は民主党の菅直人代表代行、前原誠司副代表らが麻生首相に質問した。
参院で解散が行われることはないから、これまでの選挙戦術理論でいえば、参院選候補の選定作業は毎回、スケジュール通りに行えばよかった。しかし、今年中に必ず実施される衆院解散・総選挙にて与野党の構図がどう変化するのかは予測できない。
そこで、今回用いられるのが“W作戦”で、参院で多数を握った政党が衆院の解散・総選挙にも影響を与えることは、一昨年夏(2007年)以来の「ねじれ国会」で証明されてきた。
衆院選と参院選がお互いにリンクし合う関係を迎え、日本の政治システムは大きな変化を迎えつつある。今回の自民党による参院選候補選定“一部前倒し”からも、そのことは伺えるだろう。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
posted by Author at 22:05| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 選挙 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月03日

尾辻質問から考える… 自民党は「野党」になっても魅力を持てるか

日本医師会向けのパフォーマンスという面はある。しかし、この質問から考えさせられる点は多い。

自民・尾辻氏 「下野覚悟で!」首相に迫る

jimin_otsuji_20090130.jpg(C)毎日新聞

 「経営者の視点で改革が進められ、多くの人を失業に追い込んだ。(政府の)規制改革会議は責任をとらなければならない」。30日の参院代表質問で、自民党の尾辻秀久参院議員会長が、野党のような辛口の政府批判を連発し、構造改革路線と明確に決別するよう麻生太郎首相に迫った。

 尾辻氏は規制改革会議と経済財政諮問会議の廃止を迫った後、社会保障費の伸びを毎年2200億円抑制する政府方針も攻撃。「『できません』と素直に言えばいいのに、つじつま合わせで訳が分からないことを言っている」と切って捨て、「乾いたタオルを絞っても、もう水は出ない」と撤回を呼びかけた。

 さらに「野に下るのは恥ずかしくない。恥ずべきは政権にあらんとして、いたずらに迎合すること。毅然(きぜん)と進む首相にご一緒します」と、首相に「下野の覚悟」まで説いた。

 だが首相は「諮問会議などは政策の調査、審議で大きな貢献をしてきた」などとそっけない答弁に終始した。

 質問後、尾辻氏は記者団に「もう少し正面から答えてほしかった」と表情はさえなかった。【野口武則】

(1月31日、毎日新聞)

先月(1月)30日の参院本会議で、麻生太郎首相の施政方針演説に対する自民党・尾辻秀久参院議員会長の代表質問が行われた。
尾辻氏は、「政府の経済財政諮問会議が唱えてきた市場原理主義は間違いだった。規制改革会議も、多くの人を失業に追い込んだ。両会議を廃止すべきだ」と述べ、構造改革路線の全否定を求めた。
「首相! 野に下ることは恥ずかしいことではない」と下野のすすめまで説いたため、野党席からは喝采が起きた。

閣僚席で尾辻氏の代表質問を聞いていた麻生首相は、困惑顔を隠すことができなかった。
「今後とも経済財政諮問会議などでわが国が直面する課題の克服に向け精力的に審議する。内閣の最終的な政策決定は閣議で行う」と回答するのが精一杯だった。
本会議後、民主党の簗瀬進参院国対委員長は「尾辻氏は大変果敢だ。自民党は完全に自己分裂状況に陥った」と絶賛。国民新党の亀井久興幹事長も「自民党内でもそういう考えの人がだんだん増えている」などとべた褒めした。

一方、自民党内からは反発の声が上がった。
安部晋三元首相は講演で「小泉以前に戻そうとする動きは阻止しなければならない」と強調。
山本一太参院議員も「構造改革路線を全部ひっくり返すのは乱暴だ」などと述べた。

尾辻氏は1940年、鹿児島県生まれ。
一度は防衛大学校に入学するが、母の死去により家族を支えるため大学を中退し、仕事を始める。その後、改めて東京大学に入学するが、在学中に海外を放浪し、結局こちらも中退する。
帰国後はルポライターとして活動し、著作が第1回大宅賞にノミネートされたこともあった。
1979年、鹿児島県議会議員選挙に当選。1986年、旧鹿児島1区から衆院選に出馬するが、落選。1989年の参院選比例代表で初当選した。

2004年、第2次小泉純一郎内閣で厚労相に任命され、がん対策に力を入れる。在任中の2005年に「がん対策情報センター」予算の骨格が決まった。
2005年、参院予算院長に就任。2007年の参院選で自民党が敗北したことを受け、青木幹夫参院議員会長(当時)が責任を取り役職を辞任。後任の参院議員会長に就任する。
自民党「患者中心のがん医療を推進する議員の会」会長を務め、2006年に成立したがん対策基本法の制定に尽力した。
昨年(2008年)1月には、がん闘病の末、2007年12月に死去した民主党の山本孝史参院議員の追悼演説を、参院本会議で涙ながらに行う。山本氏は民主党における同法の推進役だった。
現在は、超党派の議員立法に関わることが多い。
医療・福祉関連の政策立案能力、嘘をつかない性格や人柄は高い評価を受けているが、お世辞にも「政局に強い」政治家とは言いがたく、参院議員会長に尾辻氏が就任しても、参院自民党の影響力はさらに低下するだけだ、との意見も存在した。

――尾辻氏が30日に行った代表演説は、内容、口調ともにさながら野党議員による代表質問のようであった。
実は、麻生首相と尾辻氏のあいだには、過去にも一度“いさかい”があった。
昨年11月に麻生首相が講演で「医師は社会的常識が欠落している人が多い」と発言、物議を醸したが、この直後の自民党会議で尾辻氏は「医師会の推薦はいらないっていうんだな」と同僚議員を恫喝したのだ。
その後麻生首相は謝罪したが、自民党の支持団体・日本医師会と自民党の関係はさらに悪化した。
「厚労族」であり、日本医師会に近い尾辻氏としては、今回の代表質問で麻生首相に対して厳しい物言いをすることで、日本医師会に向けてパフォーマンスをする狙いがあったといえよう。

しかし、尾辻氏が指摘した点は、実はとても大事な点でもある。「政権政党」の座を保持し続けるがために存在する、今日の自民党の在り方に疑問符を呈したからだ。
自民党が政権政党であること、すなわち与党であることに最重要の意義を求めてきたことは、過去にこのブログでも多く言及してきた。
「55年体制」で生まれた自民党が結党直後、最大に担った使命は日本を反共化することであったが、米ソ冷戦の終結により「反共化」という最大の使命が持つ意味合いは薄くなる。そして、1993年の非自民政権誕生により、「55年体制」は事実上崩壊。
今日における自民党政権の最大の使命は、与党であり続けることであり、「政権を獲って何をするか」という本来の目的性は失われつつあると言わざるを得ない。「政権与党になる」という手段が目的と化しているのだ。

私個人の意見としては、民主党に政権を担わせたい気持ちは微塵たりともない。「一度、民主党に政権を担わせてみたら」という思考停止に陥った考え方をすることもできない。
しかし、現状を客観的に分析すれば、自民党が野党に転落し、民主党政権が誕生する可能性は極めて高い。民主党に政権の座が回ることは避けられない事態といえよう。

だからこそ、自民党にとって今大事なのは政権を死守することではなく、「自民党らしさ」を打ち出すことなのではないか。民主党には打ち出すことが不可能なような「自民党らしさ」を打ち出すことで、ネガティブに政権政党の座にしがみつくのではなく、ポジティブに政権政党の座を狙いに行くことが大事なのではないか。
それは旧来の懐古的な自民党像を打ち崩し、21世紀型の若いエネルギーあふれる自民党像を創り出すことにもつながる。日本の政治に新風を巻き起こすためには、自民党が一度下野することは決してムダなことではない。それだけのリスクを負うだけの価値はあるはずだ。

日本の政治システムが「内閣」「与党」「野党」などと簡単に分類できないのは、一つに自民党の持つ特性ゆえである。党内派閥間の争いによる「擬似政権交代」。「族議員」による政官連動。そして、これらの要素により続いた「1と2分の1政党制」。
1993年の細川護煕政権誕生は、自民党にとって、政権与党の座に安住し続けた“ツケ”を払わせられたかのように思えた。2009年、「ねじれ国会」の下で迎える総選挙を控え、自民党は再びこの“ツケ”を払わされようとしている。

2005年の「郵政総選挙」で自民党は新たに生まれ変わったわけではなかった――。こう考える有権者たちによる“反乱”が、積極的ではないにせよ民主党政権誕生へ歴史のコマを進めている。
自民党は今度こそ本当に生まれ変わらなければならない。「派閥」「族議員」などのシステムは必ずしも善悪の基準で判断できるものではなく、よい面もあれば悪い面もある。
しかし、いかにせよ旧来の在り方は21世紀には通用しないことはたしかだ。自民党は野党に転落してでも、訴えたい何かを持つことができるか。「野党・自民党」としての魅力を発揮することができるか。
自民党も民主党も、国会で「政治ごっこ」をやっている場合ではない。


<リンク>
尾辻氏の代表質問全文(2009年1月30日) その1 その2
尾辻氏による山本氏への追悼演説
追悼演説動画 前半 後半

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
posted by Author at 21:30| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(2) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月30日

町村派で“お家騒動”勃発? 「中川外し」の動き浮上

「政策の町村」が、今回の政局劇で勝利を勝ち取ることができるだろうか。

<中川秀直氏>除外論も 町村派、亀裂拡大も

 消費税増税問題で露呈した自民党最大派閥の町村派の亀裂がさらに拡大しそうな気配になっている。27日夜、東京都内で同派代表世話人の町村信孝前官房長官が町村派の当選1回の議員らと会談した際、町村氏や中川秀直元幹事長ら3人が務める同派の代表世話人について「派の代表が3人もいるのはわかりにくい」などの意見が続出。中川氏を代表世話人から外し、派閥の代表を町村氏で一本化すべきだとの意見が相次いだ。

 一方、麻生政権批判を強める中川氏は同日、朝日ニュースターの番組収録で、消費税増税問題を巡って森喜朗元首相(同派名誉会長)から新聞のインタビュー記事で「反乱だ」と批判されたことについて、「『反乱』という言葉自体が古い自民党の体質から出ているような気がする」と強い不快感を示した。

 中川氏は森内閣の官房長官を務めるなど、森氏と親密な関係だったが、最近は麻生政権に批判的な言動を繰り返す中川氏に森氏が不満を募らせ、関係が冷え込んでいる。【近藤大介】

(28日、毎日新聞)
<中川秀直氏>町村派代表世話人辞めない 「外し」をけん制

 自民党町村派代表世話人の中川秀直元幹事長は29日の派閥総会であいさつし、派閥の集団指導体制の見直し論について「09年度予算案成立に向けて結束しないといけない時に、麻生政権や党に迷惑をかける」と批判した。代表世話人を辞めない意向を強調し、派内の「中川外し」の動きをけん制した。

 町村派は中川氏のほか、町村信孝前官房長官と谷川秀善参院議員の3人が代表世話人を務める。しかし、消費税増税問題などで麻生太郎首相への批判を強める中川氏に対し、森喜朗、安倍晋三両元首相らが危機感を強め、町村氏に一本化する動きが強まっている。

 中川氏は「来るべき選挙のためにグループとしても結束すべき時だ」と強調。柴山昌彦外務政務官も「消費増税についての主張は麻生政権への反乱ではない」と同調した。【近藤大介】

(30日、毎日新聞)

「消費税」問題をめぐり、自民党の最大派閥・町村派で、町村信孝前官房長官と中川秀直元幹事長のあいだに亀裂が生じていることは、先日のエントリでもご紹介した。
町村氏と中川氏はともに町村派の会長級ポストである「代表世話人」で、ちなみに町村派にはもう一名、谷川秀善参院議員という代表世話人がいる。そのことについては、こちらのエントリに詳しく書いた。
町村派は、発足以来、この3名による“集団指導体制”を採用しているのだ。

27日夜、東京都内で、その「代表世話人」である町村氏が町村派の当選1回の議員らと会談した。
その際、町村氏と中川氏と谷川氏の3人が務める町村派の代表世話人について、「派の代表が3人もいるのは分かりにくい」などの意見が続出。
中川氏を代表世話人から外し、派閥の代表を町村氏で一本化すべきだとの意見(=集団指導体制見直し論)が相次いだのだ。

一方、麻生政権批判を強める中川氏は同日、CSテレビ番組の収録に参加。
消費税問題をめぐり、森喜朗元首相(町村派名誉会長)から「反乱だ」と批判されたことについて「『反乱』という言葉自体が古い自民党の体質から出ているような気がする」と、森氏を“逆批判”した。
中川氏は森内閣で官房長官を務めるなど、森氏とは大変親密な関係だった。
しかし、最近は麻生政権に批判的な言動を繰り返す中川氏に森氏が不満を募らせ、関係が冷え込んでいる。

28日夜、中川氏は、都内で山本一太参院議員ら町村派の若手・中堅議員と会談した。
中川氏は会合で「みんなで守ってきた派閥で、派内でもめている時ではない」と、集団指導体制見直し論をけん制した。
一方、町村氏も同夜、都内で町村派の鈴木政二参院国対委員長らと会談。派内のにらみ合いが続いている。

そして昨日(29日)、中川氏は派閥総会であいさつし、派閥の集団指導体制の見直し論について「2009年度予算案成立に向けて結束しないといけない時に、麻生政権や党に迷惑をかける」と批判した。
代表世話人を辞めない意向を強調し、派内の「中川外し」の動きをけん制した。
麻生政権批判をしているその口で、「麻生政権に迷惑をかけてはいけない」と発言するとは、中川氏も相当な肝っ玉の持ち主である。

この会合で、中川氏は「来るべき選挙のためにグループとしても結束すべき時だ」と強調。
町村派の柴山昌彦外務政務官も「消費増税についての主張は麻生政権への反乱ではない」と同調した。
なお、集団指導体制見直し論には、森氏のほか、安倍晋三元首相も賛同しているものとみられる。

このように、集団指導体制見直し論には中川氏が強く反発しているが、これはもちろん、将来の“発言力”を見越しての駆け引きである。
2007年秋、福田康夫内閣が発足し、町村氏は官房長官に任命されたが、このことにより町村氏は一時派閥を離れた。派閥を中川氏に“仮移譲”したのだ。
この時、中川氏は党幹事長の職を離れており、「内閣:町村、党(派閥):中川」ということで完全に棲み分けができたかのように見えた。

しかし、2008年秋、福田首相が突然の辞意表明。
福田氏が閣僚に自らが辞任する旨を伝えた際、官房長官である町村氏は、辞任をしないよう強く福田氏に迫ったという。
だが福田氏は「官房長官は首相の進退について、どうこう言える立場ではない」と町村氏の主張を却下した。小泉純一郎内閣で“歴代最長期間”の官房長官を務めた福田氏だけに、「官房長官のわきまえ」を心得ていたのだろう。

こうして、町村氏も中川氏も「役なし(役職なし)」となり、派閥の主導権争いを水面下で演じることになる。
先の「消費税」論議では、税制関連法案の付則に「2012年度からの消費税率引き上げ」を明記するかどうかで、両者の意見は衝突。賛成派の町村氏に対し、中川氏は若手・中堅議員まで交えて反対運動を展開した。
結局、付則は“玉虫色”の内容で賛成は、反対は双方に妥協する形でまとめられたが、議論の過程での町村、中川両氏の対立は激しかった。
今回の集団指導体制見直し論浮上からは、今年中に必ずある総選挙に控え、町村派の主導権を握りたい両者の思惑が伺える。おそらく中川氏は、将来の政界再編をも見据え、町村派を掌握する計算を立てているに違いない。

政策には強いが、政局劇を演じた経験の少ない町村氏。「仕掛け人」「黒幕」として政局操作を得意分野とする中川氏。
対照的に見えるこの2人。町村氏の最大の弱みは「人徳」、中川氏の最大の弱みは「スキャンダル」だ。
町村氏はたしかに“キナ臭い政局劇”とはあまり縁がない政治家だが、かといって中川流の“キナ臭き政局劇”が2009年の自民党に通用するか。
最終的には、町村氏が「中川外し」を実行できるか、それとも中川氏が麻生政権との距離を置きつつも「中川外し」の波から逃げ切るか。ここが勝負となる。

にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
posted by Author at 22:28| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月27日

「定額給付金」は最強の景気対策だ! メディアと民主党にダマされることなかれ

「2兆円の使い途は他にある」。今日のエントリは、そう思うあなたにこそ読んでほしい。

col_taro_aso.jpg

週内にも要綱通知、給付金で鳩山総務相 「邪悪」と民主批判も

 鳩山邦夫総務相は27日午前の記者会見で、定額給付金の実施要綱を自治体側に通知する時期について「30日までにできるようにしたい」と述べた。要綱は、給付金の事務を担う市区町村が具体的に準備作業を進める手続きなどを示しており、平成20年度第2次補正予算の成立後に正式に通知する段取りになっている。

 また鳩山氏は、給付金に反対する民主党の対応について「給付金のことをボロクソに言いながら、ホームレスの人たちにもきちんと配れというのは矛盾している。補正予算成立を遅らせれば、地方への通知も遅れる。国民のことを考えない邪悪な行動だ」と激しく非難した。

(27日、産経新聞)

きょう(27日)午後、両院協議会の意見がまとまらず、衆院の優越を明記した憲法の規定によって、衆院と参院で採決が異なる「平成20年度 第2次補正予算案」が成立した。
「2次補正」は総額75兆円規模の“景気対策3段ロケット”の第2段となる景気対策で、事業総額は約27兆円。
「100年に一度の大津波」と称される金融危機に対応するために絶対に不可欠なものであり、重要な施策が数多く盛り込まれている。今回は、その中で7点の主な施策をご紹介しよう。


・定額給付金
 (国民一人当たり1万2000円が支給される。65歳以上と18歳以下の方には2万円を支給)

・雇用創出事業など“緊急雇用対策”
 (ふるさと雇用再生特別交付金、緊急雇用創出事業臨時特例交付金など。雇用促進住宅への入居あっせん、被リストラ者の緊急雇用・居住の安定確保、職業訓練期間中の生活保障を月額12万円に)

・介護従事者の処遇改善と人材確保
 (介護保険料の激変緩和のため交付金支給。介護従事者の処遇改善、介護人材確保などの対策)

・救急医療など“医療対策”
 (救急医療の充実化、新型インフルエンザ対策、大学病院の機能充実)

・“妊婦検診”無料化の拡大
 (妊婦検診を14回まで無料化)

・中小企業の資金繰り対策
 (中小・小規模企業の緊急保証、セーフティネット貸付など資金繰り対策を拡充)

・地域活性化&生活対策臨時交付金
 (開かずの踏み切り対策、電線の地中化、過疎地域・離島などの自治体への特別支援)

・水環境対策
 (汚水処理に有効な浄化槽設置への国庫助成率拡充、自治体負担をほとんどゼロに)

・高速道路料金の大幅引き下げ
 (大都市を除きどこまで走っても上限1000円。平日は全車種を対象に3割引き、一部時間帯は半額)


――この中でも、特に注目を浴びているのが「定額給付金」だ。
これは、国民一人につき1万2000円(65歳以上と18歳以下は2万円)を支給する特別給付金で、家計の消費増大による経済効果が期待される。
当たり前のことを書くようだが、不景気が叫ばれる時にこそ、実体経済における消費が拡大しないとならない。
不景気を回復するためには、国民一人ひとりが消費を増大させることが不可欠なのだ。
物価高騰のあおりを受ける家計の生活を支援するとともに、冷え込んだ個人消費を喚起することが「定額給付金」政策の狙いだ。

財源については、赤字国債は一切発行せず、平成20年度予算で「財政投融資特別会計」(いわゆる“埋蔵金”)の準備金を取り崩した9.8兆円の中から一般会計に移して活用する。
支給方法は、自治体によって対応が異なる場合もあるが、世帯主が役所に行って免許証等を提示。その後、口座に振り込まれる方法で進んでいる。
ホームレスや「ネットカフェ難民」など、“本当に困っている人”に対しても正確に給付がなされるよう、施策を講じている。


しかし、「景気を回復するためにお金を使おう!」というこの痛快な理論は、どうやら日頃から麻生太郎政権を批判している方たちの脳みそには理解されにくいようだ。
「定額給付金に何の意味があるのか」「定額給付金の支給額2兆円を、他の使い途に回せ」などの意見に加え、さらには「カネをもらっても使わない」などというイチャモンまで出る始末である。

「定額給付金」には、@会計の生活支援とA個人消費の喚起という2大目的があることは、数行前で述べた通りだ。
「2兆円を他のもの、例えば雇用対策や福祉政策の財源に回せ」という意見もある。たしかに、医療政策や福祉政策は重要だ。だからこそ、政府・与党は約27兆円規模に及ぶ「2次補正」で、緊急雇用対策や医療対策、妊婦検診無料化などの施策を講じている。
「定額給付金」に使う2兆円は、「定額給付金」用の2兆円にすぎない。その他の約25兆円で、雇用対策、医療政策、福祉政策、中小企業対策などの重要課題をきっちりとカバーしているのだ。
「2兆円を他の使い途に回せ」という意見を主張なさる方は、政府の景気対策が総額75兆円規模のものであるということをご存知でないのだろうか。それなのに批判するのだとすれば、それは、そもそも批判する対象がナニモノだか把握していないということである。そんな方々に「2次補正」を批判する資格などない。

経済の専門家も、今回の「定額給付金」政策については非常に大きな理解を示している。

 OECD(経済協力開発機構)経済局シニアエコノミスト、ランダル・ジョーンズ氏
「(日本の定額給付金は)恐らく即効性がある最も有効な措置である」
「多くの国が利下げを行い、信用収縮が起きている中では金融政策がインパクトを与えることは困難だ。危機を脱出する上で財政刺激策が最も適切な方法である」
「財政刺激策は目標が明確で一時的かつ、時宜を得た措置であるべきだ」
「家計部門への直接給付が最も効果を発揮する」

(2008年11月、テレビ記者会見にて)

 専修大学教授(アメリカ政治学)、藤本一美氏
「私が住んでいた米ネブラスカ州でも給付金を配ったが、高額所得者が少なく歓迎する声がほとんどだった」
「日本でも雇用を打ち切られた人や低所得者は生活費が必要で、一日も早く実施すべきだ。寒い時に温かいものが買える」
「所得制限を設けると給付時期が遅れるので、全世帯に配ればいい」

(1月27日付、毎日新聞朝刊にて)

 ワクワク経済研究所LLP代表、保田隆明氏
「不景気時に政府が財政出動や減税により景気を刺激するのは経済学の基本」
「定額給付金は個人の消費欲を喚起し、景気にプラスの影響を与えるもので、さほど問題のある政策ではない」
「不景気時には減税策を採るのが王道。国民にお金を配るという政策は、減税以外での消費刺激策となりうる」
(各メディアの報道姿勢に疑問を呈した上で)「このような非常時には、政府支出も増加させるし、消費の刺激策(減税か給付金)をも導入して、考え付くかぎりのことはすべてやる必要があるはずだ」
(1月22日付、ダイアモンド社ビジネス情報サイトにて、コラム「『定額給付金』懐疑報道に感じる違和感」より)

お金は使うだけで意味がある。使う意味が分からなくても、使ったら確実に意味を見出す。
例えば、東京・秋葉原をよく訪れるアニメ好きの人が、アニメイト秋葉原店で、コトブキヤから発売されたフィギュアを買う。
そうすると、アニメイトのアルバイトの人に時給が支払われる。アルバイトの人はバイト代で『マクロスF』のDVDを買うことができる。
アニメイトの店長も収益を得る。そうすると、店長の妻や娘も、先月と変わらず家族3人で生活することができる。週末に家族揃ってデパートに行ったり、ファミレスで食事をしたりすることができる。
もちろん、コトブキヤのフィギュア・クリエーターも収益を得る。入社1年目の男性も、とりあえず今月の家賃を支払うことができる。自分の趣味にお金を使うこともできる。

あなたが使う1万2000円は、十数人、何十人もの人の生活を支えている。もしかしたら何百、何千という人たちもの生活を支えている。1万2000円は少ないように見えるかもしれないが、実は多くて、多くの人に笑顔をもたらす1万2000円なのだ。
しかも素晴らしいことに、あなた自身も笑顔になれる。自分も嬉しくて、他人も嬉しくて。これが即時実現できる政策がどうして「愚策」で、多くの人を笑顔にするような政策が景気対策にならないはずがあるだろう。


「世論調査では、定額給付金に反対している人が多い」という声もある。だから「定額給付金」政策は実施すべきでないという意見だ。
たしかに反対論は根強く存在するが、今月13日付の産経新聞によれば、「実際に給付金が決まれば『給付金を受け取る』と答えた人は84.8%」に達しているという。
「反対」「反対」と表向きでは言っておきながら、結局もらいたいというのが大多数の反対派の心の内のようである。

これは私からの提案なのだが、総額75兆円規模の景気対策があり、その中には雇用対策や医療政策、福祉政策などが含まれていることを把握した上で、それでもなお「他に使い途がある」と主張する人は、とりあえず1万2000円を受け取るというのはどうだろう。
とりあえず1万2000円を受け取って、それを「年越し派遣村」やらNPO法人やらに寄付する。あるいは民主党に寄付してもいいかもしれない。
「他に使い途がある」と主張する人は、1万2000円を受け取った上で「他の使い途」に寄付すればよいではないか。なんとも単純な話である。


――さて今回、特筆しておきたいのは民主党の「審議引き延ばし」作戦だ。
参院では修正案を提出して採決に応じておきながら、なぜか両院協議会で採決拒否。結局、「2次補正」の成立は1日遅れることになった。
この「1日遅れ」が、一体どれほど多くの自治体職員に迷惑をかけることになるだろうか。とどのつまり、民主党は自治体職員の苦労など知ったこっちゃないのだ。

そして何より、景気対策はスピードが肝心なのである。
「今日ようやく2次補正予算案成立か。給付金の支給はいつになることやら」とお嘆きの方もいるかと思うが、これは100%野党の責任だ。断言する。野党が同法案に賛成であれば、「定額給付金」の支給は数か月は早く実施されていただろう。その“数か月”のあいだに、どれだけ多くのホームレス、派遣難民、ネットカフェ難民が苦労をすると思うのか。彼ら彼女らに何度「死にたい」と思わせることだろうか。

結局、民主党は国民の生活などまったく考えていないのである。自分たちの目先の選挙のことしか考えていない。だから、「定額給付金」の政策面を批判することなく、ただただ「反対!」「他に使い途がある」などと叫んでいるのだ。すべてはパフォーマンス、国民の人気取り行動なのである。

もっとも、国民はそんな馬鹿げたパフォーマンスに騙されるほど愚かではない。民主党の最大の“誤算”はこの点にあるだろう。民主党は、国民など簡単に騙すことができると考えている。
だから、この程度の小手先のパフォーマンスをしているのだ。国民を二重に馬鹿にしているといえよう。
民主党議員は、国民を騙そうとするべきではないし、騙そうとするならばもう少し上手い“騙し方”を考えたほうがよさそうだ。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村
posted by Author at 20:59| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(3) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月23日

自民各派事務総長が会談 麻生首相・河村官房長官に「注文」

「消費税」付則明記が閣議決定。民主党には新たな不祥事が発覚――。

自民党 消費増税了承…確執深まる町村派

jimin_machimura_20090123.jpg(C)毎日新聞
(上)真ん中は南野知恵子元法相

 自民党財務金融部会が22日、09年度税制改正関連法案を了承したことで党内の「消費税政局」はひとまず回避されたが、その調整の過程で最大派閥・町村派の確執が改めて浮き彫りになった。中川秀直元幹事長が最後まで「11年度の消費税増税」に難色を示した結果、麻生政権を支える森喜朗元首相、町村信孝前官房長官との関係は完全に冷え込んだ。町村派は今後、分裂含みの運営が続くことになる。【高山祐、近藤大介】

 消費税問題の決着を受けた22日の町村派総会で、代表世話人の中川氏は「しっかりと議論してよかった。本当に全党一丸となっていける」と強調。続いてあいさつした同じく代表世話人の町村氏も「戦線が統一できて非常によかった」と応じ、「協調体制」を演出した。しかし、同派最高顧問の森氏は最後まで姿を見せず、派内の溝の深さは隠しようもなかった。

 町村氏と中川氏は、これまでも何度か総会でさや当てを演じてきた。町村派は、両氏に谷川秀善参院議員を加えた代表世話人3人による集団指導体制で、互いの主導権争いも背景にあった。

 税制関連法案の付則問題が浮上すると、派閥の分裂を危惧(きぐ)した安倍晋三元首相が、両氏に妥協を持ちかけた。21日夜には河村建夫官房長官を通じて中川氏を説得。中川氏もぎりぎりで「(法律の実施時期を分ける)2段階方式なら構わない」と軟化した。

 しかし、派内での中川氏の孤立化は徐々に進んでいる。民主党の中堅・若手と連携した「新党構想」を描くなど、中川氏は政界再編志向が強い。昨年9月の自民党総裁選では、小池百合子元防衛相を担ぎ出した。派閥の分裂につながりかねない中川氏の行動に森氏が激怒し、以後は事実上、没交渉状態だ。

 中川氏は今年、「新しい旗の下で再結集する」と発言し、麻生政権と距離を置く姿勢を鮮明にした。消費税問題もその一環だが、森氏は周辺に「新しい旗を立てること自体が政権の足を引っ張る。派閥代表としてすべき行為ではない」と語り、不快感を隠さない。

 こうした派内の状況に、中山泰秀衆院議員は22日、記者団に「とにかくケンカをやめてほしい。有権者は若手に文句を言う。我々が困る」と嘆いた。

(23日、毎日新聞)

昨日(22日)夜、麻生太郎内閣の河村建夫官房長官と自民党各派閥の事務総長が都内の日本料理店に集まり、会談した。
会談には、町村派の中山成彬前国交相、津島派の船田元副会長、古賀派の逢沢一郎衆院議員、伊吹派の谷津義男元農水相らが出席。

出席者からは「(河村氏は)麻生太郎首相の女房役として、自民党のほか公明党、野党も含め根回しをしなければいけない」「7月にイタリアで行われるサミット(主要国首脳会議)も麻生首相に出席してもらう」「麻生首相は衆院解散を考えず、腰を落ち着けて頑張ってほしい」などの意見が出た。
これを受けた河村氏は、2009年度税制改正関連法案の付則に「消費税増税時期」を明記するかどうかの問題の決着を踏まえ、「消費税の問題も解決した。これからは反転攻勢でしっかりやっていく」と強調した。

一夜明けてきょう(23日)午後、政府は臨時閣議を開き、消費税を含む税制抜本改革の道筋を付則に盛り込んだ同法案を決定した。
付則は消費税率の引き上げ時期を「2011年度までに必要な法制上の措置を講ずる」と明記する一方、具体的な引き上げ時期は別法案で定めることを想定した「2段階方式」を採用した。
引き上げ時期決定の際には「景気回復の状況、国際経済の動向等を見極める」との条件を付けるとともに、「当該改革は、不断に行政改革を推進すること及び歳出の無駄の排除を徹底することに一段と注力して行う」と政府の歳出削減努力も明文化した。


――さて、“政権準備政党”を自称する最大野党・民主党の石井一副代表による参院予算委員会での「漢字テスト」流質問に、批判の声が高まっている。
この件については、後日改めてエントリを書くことをお約束する。

さらに、きょう、民主党にはもう一つのスキャンダルが発生した。

民主党の山岡賢次国対委員長が、2001年の栃木県真岡市長選において、福田武隼市長に自らの秘書を派遣。福田市長は2001年から2003年に渡って、選挙で秘書の派遣を受けた報酬名目で計405万円を山岡氏に提供していたのだ。
23日に記者会見を開いた福田市長は「選挙で支援を受けた見返りと認識していた」と事実関係を認めている。
民主党幹部に不透明な資金が流入していたという今回のニュースは、政治倫理に非常に大きな影響を及ぼす可能性があり、動向が注目される。今後このブログでさらに詳細に取り上げることになりそうだ。
つくづくも、ハマコー氏による「小沢、山岡が馬鹿だから民主党の若手は馬鹿になっていく」という発言がまざまざと思い出される。


<追記>

きょうの臨時閣議で、麻生内閣は、平成21年度からガソリン税など「道路特定財源」と呼ばれる税金の使途を道路整備に限定せず、自由に使えるよう一般財源化するための改正法案を決定した。
これは、谷垣禎一元財務相が座長を務める自民党「道路特定財源の一般財源化に関するプロジェクトチーム」が昨年(2008年)12月にまとめた座長試案をもとに決定されたもので、今国会に提出される方針だ。
金子一義国交相は、閣議後の記者会見で「日本の行政システムの大きな変革だ。今後は毎年の予算で対応することになるが、より厳しい物差しを持って道路整備を進めていきたい」と述べた。
道路特定財源を有効に活用するために、与党・政府一丸となって改革を断行してほしいと思う。

にほんブログ村 政治ブログへ
posted by Author at 21:37| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月22日

町村派“分裂”の危機は防げるか 中川氏がホコを収める

自民党部会で了承された「引き上げ方針」明記。しかし、依然党内には反対論が根強い。

<消費税>自民「2段階方式」了承 引き上げ時期めぐり

 政府は22日午前、消費税を含む税制抜本改革の道筋を付則に盛り込んだ09年度税制改正関連法案を自民党財務金融部会に提示し、了承された。同党内で意見対立が続いていた消費税率の引き上げ時期について、付則は「11年度までに必要な法制上の措置を講ずる」と明記する一方で、具体的な施行期日などを法制化する際には「景気回復過程の状況、国際経済の動向等を見極める」と留保した「2段階方式」の内容。政府は23日に閣議決定する方針だ。【高山祐】

 麻生太郎首相は国会答弁などで景気回復を前提に11年度から消費税率引き上げを目指す考えを示したが、自民党内では次期衆院選をにらみ反対論が噴出していた。2段階方式には、首相の方針が必ずしも「11年度から消費税増税」ではないことを明確にする狙いがある。「当該改革は、不断に行政改革を推進すること及び歳出の無駄の排除を徹底することに一段と注力して行う」との案文も盛り込んだ。

 一方で、具体的な施行期日を別の法律で定めるかどうかは明示せず、景気回復などの条件を満たせば11年度から増税できる余地も残した。

 部会ではなお反対意見も出たが、保利耕輔政調会長が「十分に議論した結果だ」と理解を求め、最終的に了承された。

 消費税増税慎重派の中川秀直元幹事長は部会後、記者団に「付則は増税法案ではなく、訓示規定に過ぎない。断固反対ではない」と述べ、法案を容認する考えを示した。山本一太参院議員も「行財政改革の推移をきっちり見たい。その前提で賛成する」と語った。

 決定的な党内対立は回避されることになったが、政府の中期プログラムが「消費税を含む税制抜本改革を11年より実施」と規定したのに比べ、付則では実施時期があいまいになった。これについて、河村建夫官房長官は記者会見で「あらゆる条件が整った段階で消費税導入(増税)をお願いするとの基本的な考え方は変わっていない」と述べ、「後退」との見方を否定した。

 税制関連法案が23日に閣議決定される見通しとなったことで、首相の施政方針演説など政府4演説が26日に行える環境が整った。与党は2段階方式で事態が沈静化したのをてこに、08年度第2次補正予算案の参院採決前に09年度予算案を衆院で「並行審議」する姿勢を示し、野党側を揺さぶる構えだ。

(22日、毎日新聞)

税制改正関連法案への「消費税率の引き上げ時期」明記をめぐり、自民党内が真っ二つに割れている問題。
きのう(21日)午前、自民党本部で党税制調査会が開かれ、津島雄二会長ら幹部が消費税問題について協議した。
会合は、2011年度までに増税に必要な法案を用意した上で、実際の税率引き上げ時期は景気回復の状況などを見極めて別の法案で定める「2段階方式」とすることで一致した。
この方針を同法案の付則に盛り込むため、保利耕輔政調会長が政府と文案調整に入る。23日までに党内で法案の内容を詰め、閣議決定を目指す。

会合終了後、津島氏は記者団に対し「2011年度までに準備のための立法措置をとると。準備のためのね」と語った。
党側は、同法案の付則には「2011年度」という言葉を残すものの、「2011年より実施」という表現から一歩後退することで収集を図りたいと考えた。

そしてきょう(22日)午前、自民党は財務金融部会と政調審議会を相次いで開き、法案の付則に消費税率引き上げ時期を明記した同法案を了承した。
焦点の増税時期については、明示にこだわる麻生太郎首相と反対派の双方が歩み寄り、「消費税を含む税制抜本改革を行うため、2011年度までに必要な法制上の措置を講じる」との表現に落ち着いた。
政府は、23日の党総務会で自民党の了承手続きが終わるのを待って、同日中に同法案を閣議決定する方針だ。

きょうの部会には、“反対派”の中核である中川秀直元幹事長らも出席し、「景気対策に万全を期さないと、増税すべきではない」と注文をつけたが、強い反対論は出なかった。
中川氏は会合終了後、記者団に「留保条件付きで賛成する」と述べ、公務員制度改革など行政改革に積極的に取り組むことなどを条件に、法案採決では造反せず、賛成する考えを示した。中川氏に同調してきた塩崎恭久元官房長官も「付則は実質的に2段階論になり、(2011年度増税の)懸念はかなり払拭された」と語った。
中川、塩崎両氏らが“ホコ”を収めたことで、関連法案の採決で大量の造反者が出る可能性は低くなったとみられる。

きょう午前の記者会見で、河村建夫官房長官は方針が党財務金融部会で了承されたことを受け「条件が整った段階で消費税増税をお願いする考え方は変わっていない。党内で十分議論して決めたことだから、麻生首相は満足している」と述べた。
同時に「結果としてよかった。首相が責任ある財政運営をする姿勢を打ち出し、将来の安心につながる方向に持っていかなければならない。説明責任をしっかり果たしたい」と強調した。

この問題をめぐって、自民党の最大派閥である町村派は、幹部間による衝突が隠せないでいる。
15日の派閥会合で、中川秀直元幹事長は「清和政策研究会(町村派)は政策委員会のレベルではございますけれども、増税の前にやるべきことがあると一つの考え方を提示を致しております」と語り、引き上げ時期明記に反対する姿勢を強調した。
中川氏の発言に対し、この会合で町村信孝前官房長官は「消費税を含む税制抜本改革の話。これをやるとまた『町村はナントカ』『あの退屈』とかなんとか面白おかしくね、書かれちゃいますから」と応酬。
自民党最大派閥の幹部が対立し、“派閥分裂”の可能性もくすぶっている。

きのう(21日)、後見人である森喜朗元首相(町村派最高顧問)は都内で開かれた内外ニュースの講演会に出席し、「派閥の意向に反した人は結構いますよ。そこで派閥に籍を置いたまま造反をする。けじめのつかない連中が本当に多いですね」と発言。“造反”議員をけん制した。
はたして引き上げ時期明記の問題は、自民党最大派閥を分裂させる事態にまで発展するのか――。党内を二分する議論なだけに、町村派内は独特の緊張感に包まれている。
しかし、かつての離合集散を知らない若手議員からは「どうせ(派閥)分裂はないよ」との楽観論が出ているのも事実だ。
中川氏らが採決賛成の意向を表明したことで、党内の混乱は一旦収束へ向かいそうだが、若手議員を中心に“反対派”の動向がなお注目される。


<追記>

バラク・オバマ米大統領誕生、ジョージ・W・ブッシュ前大統領離任、民主党・石井一副代表の参院予算委員会での質問に抗議の声が殺到している件など、色々と触れたい話題はあるが、時間の都合上きょうはここまで。
オバマ新大統領について私は一貫して批判してきたが、今は素直に就任にお喜び申し上げる。過大な期待を背負っての船出となるが、米国再建のために邁進してもらいたい。
ブッシュ前大統領には深い感謝の意を込めて、「ありがとうブッシュ さようならブッシュ」の言葉を送りたいと思う。本当にお疲れ様であった。
石井氏の質問の件は、後日改めて、当ブログでの「石井一研究」シリーズの一環として取り上げたいと思う。

にほんブログ村 政治ブログへ
posted by Author at 20:57| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月20日

次の選挙を意識して…!? 「消費税」明記をめぐり自民党内真っ二つ

蒸し返された「消費税論議」。今国会最大の政局となるか――。

<読む政治>「消費税」蒸し返す自民

jimin_20090119.jpg(C)毎日新聞

◇国の将来より目先の選挙

 政府・与党でいったん決着をつけたはずの「消費税増税」問題を、自民党が蒸し返している。09年度税制改正法案の付則に、昨年12月24日に閣議決定された「中期プログラム」の内容を盛り込むかどうかの攻防だ。

 定額給付金の是非が問われた国会の第1関門を「造反2人」でしのいだ直後にもかかわらず、麻生太郎首相に近い自民党幹部は警戒感を募らせていた。

 「この問題は党を割るよ。麻生政権で最大の党内政局だ」

 第2次補正予算案が衆院を通過した翌14日、党本部で開催された政調全体会議で増税路線への反発が一挙に噴き出したためだ。

 「消費税は行政改革や公務員改革とセットで論ずるべきだ」(塩崎恭久元官房長官)▽「党内で平場の議論がなされていない」(世耕弘成元首相補佐官)

 以前から増税に慎重な「上げ潮派」の中川秀直元幹事長は「(税率を引き上げたら)景気は二番底、三番底に落ちていく」と執拗(しつよう)に反対論を繰り返した。

 税財政改革の道筋を示す「中期プログラム」には、景気回復を前提として「消費税を含む税制抜本改革を2011年度より実施」と書かれている。法案の付則に明記することも閣議決定済みだ。

 ところが、「年末だったのでちゃんと読んでいなかった」(中堅議員)という単純な理由に加え、次期衆院選への不安感が増税反対の大合唱を生んだ。従来と異なるのは、一部に「離党してほしいのは、麻生首相の方だ」などと麻生降ろしの機運が芽生えたことだ。

 中川氏は全体会議後の14日午後、自民党議員のパーティーでのろしを上げた。「これからは消費増税が政局、政策の焦点になる」

◇付則修正で妥協探る

 自民党内で消費税が蒸し返されそうな兆候はすでにあった。

 今月4日の年頭記者会見で麻生首相が「景気回復の後に増税をお願いする」と、消費税問題を次期衆院選の争点に掲げる意向を示したところ、6日には山本一太参院議員ら中堅・若手7人が消費増税に反対する勉強会を発足させた。

 8日午前の衆院予算委員会では、中川氏に担がれて昨年9月の党総裁選に出た小池百合子氏がさらりと首相を皮肉った。「(景気回復に向けて)みんなで頑張っていこうという時に『あちらにもうオオカミ(消費増税)が控えていますよ』というのはどうかな」

 自民党国対幹部は小池氏の質問を聞いて、「キナ臭さ」を感じ取ったという。

 14日の政調全体会議を起点に、麻生首相も火消しに乗り出した。15日朝には町村信孝前官房長官ら主な派閥領袖に電話を入れ、「昨年末の閣議決定の線で頼みます」と協力を依頼した。麻生派座長の中馬弘毅氏も首相の意向で各派閥を回った。

 しかし、党内の不満は収まらない。15日に町村派が開いた消費税の勉強会でも、付則への明記に理解を示す意見は皆無だった。町村氏は直後の派閥総会で「総理がぶれたとなると政治的なマイナス効果もある」と収拾を促したが、派閥の代表世話人の一人である谷川秀善氏は「選挙にマイナスになるようなことは知らん顔するようなことでないと。勝ってなんぼやから」と露骨に注文をつけた。

 最大派閥の町村派が反麻生の発火点になったら困る。そう考えて動き出したのは、麻生氏と盟友関係にある安倍晋三元首相だ。

 15日の派閥総会後、安倍氏は中川氏や町村氏らに対し「消費税を政局にする余裕はない」と付則の文案修正を持ちかけた。中川氏が「11年度までに(増税)準備のための法整備を行う」とする案を示すと、安倍氏は首相に電話をかけ、「この案なら町村派は大丈夫です。塩崎氏まで責任は持てる」と説明した。

 塩崎氏に近い茂木敏充前行革担当相らも15日に修正案をまとめ、町村氏や津島雄二党税調会長らは18日、妥協案を探った。ただし、中期プログラムの作成を主導してきた与謝野馨経済財政担当相の周辺は「11年度の消費税(増税)をいじったらおしまいだ」と態度を硬化させている。

◇新たな造反、促す民主

 持続可能な社会保障制度を構築するのに、もはや消費税論議は避けられない。しかし、急激な景気の悪化と迫りくる衆院選への不安が、自民党議員を浮足立たせる。国の将来よりも、まずは自分の選挙という感覚だ。

 17日夜、東京都内の公民館。地元商店主らを集めた新年会で、自民党の若手議員が「国民に痛みを強いるのなら、政治家や行政も血を流さなければいけない。首相はあまりに説明不足だ」と訴えると「よしっ」「そうだ」と声が飛んだ。

 「支持率2割の政権がやることか」。公然化する自民党内の首相批判を尻目に、民主党は新たな造反誘引策の検討を始めた。付則に増税時期が明記された場合、付則を削除する修正案を出し、踏み絵を迫る作戦だ。

 民主党の国対幹部がつぶやいた。「消費税での自民党の分裂は、給付金の比じゃない」

(19日、毎日新聞)

きょう(20日)午前、参院予算委員会には麻生太郎首相と全閣僚が出席し、平成20年度第2次補正予算案をめぐる2日目の質疑を行った。
21年度税制改正法案に、消費税増税の時期を明記するかについて、麻生首相は「付則の中にそういった前提、道筋を書かせていただきたいと思っております」と述べ、明記に理解を求めた。
その上で「景気が急激に回復することも悪くなる可能性もある。景気が回復したときにきちんと対応できるように、あらかじめ準備しておく必要がある」と強調した。
消費税率引き上げを次期総選挙のマニフェストに盛り込むかに関しては「消費税の必要性は訴えていかなければならない」と強調。これに対し、公明党の斉藤鉄夫環境相は「今の経済状況で増税は国民の理解を得られない」と述べるにとどめた。

きょう、自民党本部では政調全体会議が開かれ、消費税率の引き上げ時期を予算関連法案の付則に明示すべきかどうかの議論が行われた。
先週2回開かれたこの会合だが、自民党内の意見は真っ二つ、意見はまとまらず、今回3度目の会合を迎えた。

“反対派”である柴山昌彦衆院議員は「誤解を招くような表現では、少なくとも我々としては賛成できない」と述べ、水野賢一衆院議員も「含みを残すべきではないという風に思います」と記者に語った。
党内から“増税論議”をめぐって造反者が出るかについては「造反ということですか? なかなか非常に面白くなってくるんじゃないんですか。うーん」と話した。
前掲の毎日新聞記事にも登場した“反対派”のドン、中川秀直元幹事長は「全自民党議員が皆一致していけるような方向に持っていってもらいたい」、山本一太参院議員は「2011年から引き上げるかのようなニュアンスを発信することは、日本経済に対して、大変負のアナウンスメント効果がある」とそれぞれ述べた。

対して、“賛成派”の後藤田正純衆院議員は、町村派(旧森派)所属の中川氏から反対意見が出ていることを念頭に「森派の方々が(首相を)ずーっとやってきた。じゃあ、その8年間何やってたんですか?と。(明記がなければ)政治家が何もしないっていうのと一緒なんですよ。野党からすると本当に手を叩いて喜ぶような話ですから」と語った。
丸山和也参院議員も「(財政を)きちんと立て直さないでね、その都度その時々いくらいい政策を言ってもダメだと。ここでうやむやな形で明記しないんなら、私は離党をしますよ、と(言った)」と明記の必要性を強調した。

過去2回同様、きょうの政調全体会合でも「反対」の声が根強かったが、これからは党内の各部会にて詳細を議論し合うことになる。
執行部では、税制調査会の幹部を中心に法案の付則に書き込む文章を修正する作業を進めており、それを基に、今週中に党としての結論をまとめたい考えだ。
細田博之幹事長は「そういうものをまとめていくのが自民党の伝統ですから、あまり心配はしておりませんけれども」と、あくまで楽観的である。

しかし、今回の党内における混乱を招いているのは、一般の議員が方針を決める論議に参加できる場が少ないためでもある。
塩崎恭久元官房長官も「党内民主主義が、少しおかしくなっていないか」と述べており、議論の進行の仕方をめぐっても今後問題が生じてくる可能性は高い。
また、党内各派閥の領袖による会合が開かれているが、これは、決まった結論に反発して法案の採決で“造反”したりする議員が出ないよう、引き締めを図る狙いがあるようだ。

麻生首相の姿勢は「景気回復をした後に、2011年度からの増税を国民のみなさんにお願いする」というもので、これ自体は終始一貫ぶれていない。また、予算関連法案の補足に引き上げ時期を明記することについても、姿勢はぶれていない。
しかし、定額給付金騒動から引き続く「麻生批判」と絡めて、中川氏らが“反対”意見を強く打ち出し、これが党内の過半数の議員から賛同を得ているというのが現状だ。
麻生首相が打ち出した「増税ビジョン」に関して、各国会議員が地元後援会などの支持者から「これでは次の選挙は戦えないよ」との言葉を浴びせられているという現実も手伝って、各議員は「増税の“ぞ”の字」すら、次の選挙までは口に出せないと考えているのだろう。
党総裁の意見に物申すことが悪いことだとは思わないが、中川氏らには麻生首相を支えるつもりが最初からない。――このことが今回、如実に露呈している。

にほんブログ村 政治ブログへ
posted by Author at 21:50| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月09日

シーファー駐日大使が北朝鮮拉致を“最後”の非難

去る者も、来る者も。日本をかじった白人たちがこれからどう動くか。

シーファー駐日米大使が1月に退任 約4年の大使生活を振り返り拉致問題について語る

 動画はこちら

 オバマ次期大統領の就任にともない、トーマス・シーファー駐日アメリカ大使が1月に退任する。9日、シーファー大使がFNNの単独インタビューに応じ、およそ4年の大使生活を振り返った。

 シーファー大使は2006年3月、自ら希望して横田 滋・早紀江さん夫妻と、めぐみさんの拉致現場を視察した。

 4年の大使生活で最も印象的なことは?

 「新潟に行ったことです。めぐみさんやご両親が歩いたであろう道を歩きました。拉致問題について、なぜ日本人がこれほど感情移入し、重要視しているか理解できました。このことは一生忘れません」

 「北朝鮮は、国にとって最良の策は、13歳の子どもを拉致することだと決めたのです。そのような国が存在する世界を放っておけません」

 シーファー大使は8日、横田 早紀江さんら拉致被害者の家族へ最後のあいさつをした。

 「きのうホテルで横田夫人や拉致家族に会うことができました。この問題について、もっと進展させられなくてとても残念に思うと伝えることができました」

 横田夫妻と会うようオバマ次期大統領に伝えますか?

 「伝えます。彼にとってもそうすることがいいと思います」

 今後も拉致問題の解決に協力すると述べたシーファー大使。

 安藤優子キャスターが「個人的には、拉致はテロ以外の何ものでもないと思います」と話したのに対し、シーファー大使も「そうです、わたしもそう思います」と話した。

(9日、FNN-NEWS.COM)

米国のバラク・オバマ次期大統領は、次の駐日大使に、ビル・クリントン前政権で国防次官補を務めたハーバード大学教授、ジョセフ・ナイ氏(71)を起用することが有力となった。
これは、日米関係筋が昨日(8日)明らかにしたもので、ナイ氏は日米同盟重視の知日派として知られている。

ナイ氏は、国際政治学者として活動し、軍事力を重視するジョージ・W・ブッシュ政権を批判するなどしている。文化や政策などの「ソフトパワー」を活用した外交を提唱している人物だ。
国防次官補時代には、東アジアの米軍10万人体制堅持をうたった「ナイ・イニシアチブ」をまとめた。
その後も、知日派のリチャード・アーミテージ元国務副長官(共和党)らと超党派で対日対策を研究。その成果は、2000年と2007年に「アーミテージ・レポート」として発表された。

2000年の「アーミテージ・レポート」では、在日米軍の沖縄の負担軽減の必要性を指摘した。
2007年版では、中国、インドの台頭を背景に日米の緊密な協力関係を構築することが重要だと強調。日米中、日米印の安定した3国関係の枠組みを軸に、安全保障環境を整えるよう、日米両政府に促した。

一方、北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議を主導してきたクリストファー・ヒル国務次官補の後任には、ナイ氏の下で国防副次官補を務めたカート・キャンベル氏の起用が有力視されている。
キャンベル氏も、ナイ氏同様、知日派として知られている。


さて、きょう(9日)の毎日新聞朝刊には、経済部・福本容子記者のコラムが掲載されてきた。
「100年に1度の大津波」(アラン・グリーンスパン前FRB議長)と形容される今度の国際的な金融危機について、勇気を与えるメッセージが執筆されている。
私も福本女史と同感だ。以前にも1、2度、福本女史の文章をこのブログで紹介したことがあったかと思うが、私の意見は福本女史の主張と重なることが多い。

発信箱:狼なんか怖くない=福本容子

 ウォルト・ディズニーが短編アニメ「3匹の子ぶた」を発表したのは1933年、31歳の時だった。大ヒットし、アカデミー賞も取った。

 歌がよかった。子ぶたたちが劇中で歌う「狼(おおかみ)なんか怖くない」である。当時、アメリカの家はどこも恐慌という狼に襲われかけていた。でも、レンガで丈夫な家を造った1匹のように、懸命に働き知恵を使えば、狼にも勝てる。というわけで、大恐慌と闘う国民歌になった。

 時代が時代だから、ディズニーと、兄で共同創業者のロイは、お金で相当苦労した。ある時、ミッキーマウスのキャラクター使用権を、子供用メモ帳向けに300ドルで売る。味をしめ、ディズニー・グッズ販売という一大ビジネスを築いた。3年かけて史上初の長編アニメ「白雪姫」にも挑み、大成功させた。ディズニー兄弟はまさに狼を撃退した賢い子ぶただったのだ。

 経済が厳しい時に芽生えた企業が大きく育つ例は少なくない。あのマイクロソフトが誕生したのも第1次石油危機後の不況下だった。大企業が才能を囲い込めない時だから、自由な発想がチャンスをつかむ。若い人たちは、この際自分でビジネスを始めてみては。企業に雇われなければおしまい、ではない。

 社会全体の応援が大切だ。英サッチャー政権は80年代、不況で失業した人が事業を起こせるよう、資金やノウハウで積極支援した。結果、絶頂期には年4万5000の事業が生まれた。

 成功する者はほんの一握りだろう。けれど、起業精神をよしとする風土は一度根付くと簡単には消えない。背中をちょっと押してあげれば狼に勝てる子ぶた予備軍がそこにいる。(経済部)

(9日、毎日新聞)



<追記>

遅ればせながら、新春のお慶びを申し上げます。
一度更新を休むと、休み癖がついてしまうのがどうもいけない。
時々でもよいから更新を続けていきたいものだ。
本年もどうぞよろしく。


にほんブログ村 政治ブログへ
posted by Author at 21:37| 東京 🌁| Comment(1) | TrackBack(0) | 政治・政局 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。