2008年12月17日

自民7派閥会長が一挙集結 古賀選対委員長からは“波紋”発言も…

前代未聞の「派閥トップ会談」。麻生政権は、否、自民党は危機的状況を迎えている。

首相は与党の意見尊重を=自民各派会長

 自民党各派の会長は15日夜、都内のホテルで会談し、麻生政権を支えるとともに、来年1月5日召集の通常国会で、2008年度第2次補正予算案と09年度予算案の成立に全力を挙げる考えで一致した。同時に、麻生太郎首相に対して、政策決定や国会運営などで与党の意見を尊重するよう求めていく方針も確認した。

(16日、時事通信)

昨日(15日)夜、自民党の麻生派を除く7つの派閥の領袖が集まり、都内のホテルで会談した。
内閣支持率が低下している麻生太郎政権を、党内が結束して支えていく必要があることを確認した。
この会合は、津島派会長の津島雄二税調会長の呼びかけで実現したもので、町村派代表世話人・町村信孝前官房長官、古賀派会長・古賀誠選対委員長、山崎派会長・山崎拓前副総裁、伊吹派会長・伊吹文明元幹事長、二階派会長・二階俊博経産相、高村派会長・高村正彦元外相の各派トップが出席した。

会合では、麻生内閣の支持率が大幅に下がったことなどを受け、「苦しい時期だからこそ、党内が結束して麻生政権を支えることが重要だ」という認識で一致した。
会合後、記者に囲まれた津島氏は「色々な議論が党内外で行われておりますけれども、我々としては、すべての議論を党内できちっと出していただいて、活発な議論をやり、その中から正しい方向、よい政策というのを打ち出していく」と述べた。
また出席者からは、「党内で議論した結果は、麻生首相にも真剣に耳を傾けてもらうことが必要だ」などの注文も出たという。
解散・総選挙の時期については、2009(平成21)年度予算案成立まで見送るべきとの考えで一致した。

「すべての議論を党内で――」という津島氏の発言は、渡辺喜美元行革担当相ら若手・中堅議員や、社会保障の勉強会を立ち上げた中川秀直元幹事長らを念頭に置いたものだ。
「党の内外で様々な議論がされているが、すべての議論は党内できちんと行うべきだ」という意味合いである。
公明党の浜四津敏子代表代行も、16日、福岡市で講演し、「厳しい時にこそ総理を支えるべき自民党から、すわ新党かと思わせる動き発言あり、混乱に拍車かけている」「総理を支え、心を一つにして目標に向かうことが勝利の方程式だ」と述べ、自民党内から湧き上がる批判に釘を刺した。

この会合とは別に開かれた、同夜の古賀氏と各派閥の事務総長の会合では、古賀氏から、党内に“波紋”が広がる発言が飛び出た。
「自民党は自民党で比例代表で票を出さなければならないし、公明党もそれは同じで、どの選挙区でも一律に『比例は公明』と呼びかける選挙はできない」と述べ、公明党との協力のあり方も含めて選挙戦術を見直すべきだとの考えを示したのだ。
古賀氏は16日、国会内で記者団に対し、この発言について「衆議院の比例代表の180議席は、自民党も頑張って獲得しなければならないし、公明党もしっかりと頑張ることが大事だ。お互いに議席を残さなければならない」と説明した。
比例代表での票の獲得に向けて、自民・公明それぞれの党が努力すべきだという考えを示したということになる。

これについて自民党の細田博之幹事長は、記者会見で「個人の感想を言ったにすぎず、党として方針を決めたということはない。比例代表について、『自民党ではないB党に』という選挙運動が適当ではないという問題意識を言ったものだと思う。まだ、問題提起の段階だ」と語った。
一方、公明党の太田昭宏代表は、記者会見で「古賀氏がどのような発言をしたのか承知していない。ただ、自民・公明両党の選挙協力は、それぞれの地域での選挙協力の積み重ねを踏まえて自民党の県連と公明党の県本部の協議の内容を尊重することが決められている。両党の信頼関係は出来上がっており、選挙協力はかなり成熟した段階だ」と発言した。

この古賀氏の発言に関し、麻生首相は夕方のぶら下がりで「古賀氏がどのような気持ちで言ったのか真意を図りかねるし、発言を聞いていないので答えられない」と述べた。
その上で、麻生首相は「公明党との間できちんと連携をとって連立与党として選挙に臨みたい。それが基本だ」と語り、次の総選挙でも、公明党との間で選挙協力を行う方針に変わりはないことを示した。
古賀氏のこの発言は、公明党に対してのけん制というよりは、公明党の支援なしでは当選ができない自民党若手・中堅議員に対するけん制と捉えるべきだろう。
古賀氏には、「麻生批判」は公明党との選挙協力見直しにつながると若手・中堅を半ば“脅迫”し、党内で広がる「麻生批判」に歯止めをかけたい思惑があるとみられる。

さて、昨日の7派閥会長の会合では、今後、同様の会合を定期的に開催することでも意見が一致した。
派閥のトップが一挙に集結したということは、それだけ麻生政権を支えるべき党内が瓦解しているという危機感の表れでもあるし、小泉純一郎政権以降、自民党の派閥そのものの力が低下したことを如実に表しているものでもある。
古賀氏の発言で、自民・公明両党内には少なからず波紋が広がったようであるが、現在の自民党にとって公明党・創価学会は一番の支持基盤であり、これなしでは当選できない議員が大半だと言っていい。
「公明党の集票力に一回ハマるとやばい」(自民党議員)という声もあり、自民党にとって公明党というカードは、もはや切りたくても切れない性質のものだ。古賀氏の発言は、公明党に対してではなく、自民党の若手・中堅に向けての“引き締め”とも“警告”ともいえる。

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2008年12月12日

次期首相に、“ミスター自民党”こと中山太郎議員が内定!?

2つの勢力が拮抗する自民党内。自民党の“長老”は、この動きをどうみる。

kenpo_taro_nakayama.jpg(C)自民党

「後ろから鉄砲玉撃つな」 “反麻生”の動き叱責 自民派閥総会

 自民党各派は11日、派閥総会を開き、幹部らが中堅・若手を中心とした議連や勉強会など「反麻生」の動きを批判する声を相次いであげた。この日は首相と距離を置く中川秀直元幹事長が勉強会を旗揚げしているだけに党内の亀裂が決定的になりかねず、派閥領袖が沈静化を図った格好だ。

 「後ろから鉄砲玉を撃つことは絶対あってはならない。それが一番、支持率を下げるんだ。選対委員長として恥ずかしい」

 古賀派会長の古賀誠選対委員長は派閥総会でマイクを握ると、塩崎恭久元官房長官の方に向き直り、すごんでみせた。塩崎氏は渡辺喜美元行革担当相らと「速やかな政策実現を求める有志議員の会」を結成し、麻生太郎首相に批判的な姿勢をとってきた。

 谷垣禎一元財務相も「古賀氏の言う通りだ。団結していきたい」と応じた。同派議員からも「ガタガタしていては『自民党弱し』という雰囲気が出てくる。意見を自由に言うのはいいが時期がある」と批判の声が続いた。青くなった塩崎氏は総会後、古賀氏に面会を求め「政策提言をやっている。説明不足だった」と釈明した。

 また、伊吹派総会でも伊吹文明元幹事長が、「ああだ、こうだと家の中のことを外で言いふらして、自分だけいい子になろうというのは政治家として感心しない」と痛烈に批判した。津島派総会では津島雄二元厚相が「日ごろ結束していること、心を合わせていることが大事だ」と派内の結束を呼びかけた。

(11日、産経新聞)

中川秀氏の孤立化画策 勉強会、安倍氏ら出席し牽制

 反麻生勢力のリーダー的な存在である自民党の中川秀直元幹事長が11日、新たな議員連盟「生活安心保障勉強会」を旗揚げした。麻生太郎首相と距離を置く小池百合子元防衛相や渡辺喜美元行革担当相らがずらりと並んだが、首相に近い安倍晋三元首相や菅義偉選対副委員長らも出席し、「反麻生」的な言動に目を光らせる奇妙な展開に…。町村派では「中川包囲網」がジワジワ進んでおり、会合は逆に中川氏の孤立化を浮き立たせる結果となった。(石橋文登、加納宏幸)

 ■準備会合に57人

 「一部の早とちり報道でこの会合が政局グループと伝えられたが、まったく純粋な勉強会なのでご安心いただきたい」

 党本部で開かれた準備会合には57人が出席した。会長に就任した中川氏は冒頭にマイクを握ったが、威勢のいい「中川節」は不発に終わった。

 横に座った安倍氏は「いま政府与党は厳しい状況にある。ここで一致結束して麻生政権を支えていきたい」とあいさつ。その後も安倍、菅両氏はにらみを利かせ、出席者の発言は純粋な政策論ばかりで過激な言動は影を潜めた。

 議連の活動目標は「安心基盤口座」の導入だ。社会保障制度や税制を「個人勘定」に統合し、安倍政権が導入を決めた「社会保障カード」を発展させるという構想だ。民主党も「年金手帳」導入を主張しており、与野党の接点を探りたいとの思惑もある。

 だが、この議連発足が浮上したのは、自民党内で首相批判が吹き荒れた11月下旬。「中川氏が反麻生でいよいよ決起する」とのうわさは一気に広がった。

 ■町村派が包囲網

 「議連に反麻生勢力が結集したら町村派が分断しかねない」。そう懸念した安倍氏と町村信孝前官房長官は先手を打った。

 安倍氏は21日の衆院本会議で森喜朗元首相に「このままでは町村派が反主流とみられてしまう」と町村派幹部会の招集を求めた。25日昼の幹部会では、町村氏が「速やかな政策実現を求める有志議員の会」を痛烈に批判し、安倍、森両氏も合いの手を打った。暗に黒幕として中川氏を指弾したのは明白であり、中川氏は「おれはあの議連とは関係ない!」と釈明に追われた。

 安倍、町村、森の3氏が共闘態勢をとったことで、中川氏は窮地に追い込まれた。このまま反麻生で突っ走れば、町村派を追われかねないからだ。

 ■議連を骨抜きに

 中川氏は5日の議連発足を11日に延期。安倍、菅両氏らに自ら電話し、議連への加入を求めた。反主流色を薄めようと考えたようだが、安倍氏らはこれを逆手に取り議連の骨抜きに動いた。裏では森氏が町村派若手を「麻生さんが大変なときにバカな行動をするな! 中川を総裁にする気か」と電話で説教した。

 この企ては奏功し、議連は純粋な勉強会と化した。議連終了後、安倍氏は勝ち誇ったように語った。「政局がらみの議連では全くない。中川さんが参加しているから、そういううわさになってしまうのでしょうが、そういう思惑で参加した人はいません…」。首相−幹事長と二人三脚で政権を運営した友情関係はもはやかけらも見えなかった。

 一方、中川氏は11日夕、都内のホテルで開いた自らのセミナーでこう語った。

 「麻生内閣は支持率にとらわれず思い切った政策を打ち出すべきだ。いまは倒閣の時ではない。麻生首相に最も距離のある私がいうのだから間違いない」

 事実上の休眠宣言といえる。ただ、派閥レベルでの締め付けに若手には不満が渦巻いており、次なる政変の潮目が近づけば、中川氏が改革の旗手として再び動き出すことは間違いない。

                  ◇

 11日の自民党「生活安心保障勉強会」設立準備会合の出席者は次の通り(敬称略、カッコ数字は当選回数)。

 【衆院】伊藤公介(9)、中川秀直(9)、衛藤征士郎(8)、石原伸晃(6)、小坂憲次(6)、安倍晋三(5)、伊藤達也(5)、鴨下一郎(5)、小池百合子(5)、桜田義孝(4)、塩崎恭久(4)、下村博文(4)、菅義偉(4)、竹本直一(4)、谷畑孝(4)、水野賢一(4)、山口泰明(4)、渡辺喜美(4)、江崎洋一郎(3)、高木毅(3)、中野正志(3)、馳浩(3)、平井卓也(3)、三ツ林隆志(3)、大前繁雄(2)、奥野信亮(2)、加藤勝信(2)、柴山昌彦(2)、菅原一秀(2)、鈴木淳司(2)、中山泰秀(2)、並木正芳(2)、西村康稔(2)、早川忠孝(2)、山際大志郎(2)、上野賢一郎(1)、小野次郎(1)、片山さつき(1)、木原誠二(1)、佐藤ゆかり(1)、清水鴻一郎(1)、清水清一朗(1)、杉田元司(1)、関芳弘(1)、徳田毅(1)、広津素子(1)、藤田幹雄(1)、松本文明(1)、安井潤一郎(1)、山内康一(1)【参院】世耕弘成(3)、山本一太(3)、田村耕太郎(2)、若林正俊(2)、秋元司(1)、中川雅治(1)、丸川珠代(1)

(12日、産経新聞)

現在、自民党内では「麻生支持派」と「反麻生派」が拮抗する緊密な状況が続いている。
「麻生支持派」に名を連ねるのは、各派閥の領袖に加え、前回(2008年9月)の党総裁選で麻生太郎首相を支持した安倍晋三元首相、菅義偉選対副委員長らだ。
対する「反麻生派」の代表格なのが、連日メディアに顔を出す渡辺喜美元行革担当相のほか、塩崎恭久元官房長官などである。

昨日(11日)開催された各派閥の総会では、古賀派では古賀誠選対委員長や谷垣禎一元財務相、伊吹派では伊吹文明元幹事長らが「反麻生派」を批判する発言を行った。
同日夜には、都内の料亭に各派の事務総長が集まり、町村派からは中山成前国交相、津島派からは額賀福志郎元財務相が出席。各派共に結束して麻生政権を支えることで一致した。
出席者からは、渡辺氏らの行動について「一番愚かだ。自分だけがパフォーマンスで(選挙で)生き残ろうというのでなく、どうやって民主党に勝てるか考えるのが重要だ」「党内でガヤガヤやっている場合ではない」などの批判が相次いだ。

さて、今日もう一つご紹介するのは、野党幹部による「次の総理」をめぐる話し合いが行われたというニュースだ。
<小沢代表>選挙管理内閣は自民長老を首相に

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(左)ベルギー訪問時の中山太郎衆院議員

 民主党の小沢一郎代表は11日、社民党の福島瑞穂党首ら幹部、民主党参院幹部と東京都内で会談した。席上、小沢氏は「麻生政権は長くはもたない」との認識を示した上で、麻生太郎首相の退陣後に衆院選を実施するための与野党参加による選挙管理内閣構想に関して「自民党の長老を(首班として)担ぐのがいいんじゃないか」と述べたという。

 これに対し、社民党側の出席者の一人が「中山太郎元外相のような人ですか」と水を向けると、小沢氏は「それもいいんじゃないか」と応じたという。【小山由宇】

(12日、毎日新聞)

11日夜、民主党の小沢一郎代表と社民党の福島瑞穂党首は、都内で両党幹部を交えて会談した。
麻生首相を退陣に追い込んだ後、与野党相交えての「選挙管理内閣」(選挙期間の一時期を乗り切るための内閣)構想について、話が広がった。
席上、小沢氏は「麻生政権は長くはもたない」との認識を示した上で、「選挙管理内閣」での首相として「自民党の長老を担ぐのがいいんじゃないか」と述べたという。
それに対して、社民党側の出席者の一人が、自民党の中山太郎元外相を首相候補に挙げたところ、小沢氏は「(こうした内閣の首相は)長老(格の議員)しかいない」と述べたとのことだ。

中山氏は、1924年8月生まれの84歳。生まれも育ちも大阪で、もともとは小児麻痺研究の医学博士だ。現在、大阪18区選出の衆院議員である。
1955年、大阪府議会議員に初当選し、1968年に参院議員に初当選。1980年に鈴木善幸内閣で総理府総務長官兼沖縄開発庁長官として初入閣を果たした。
参院議員を3期務めた後、1986年、衆議院議員へと転身し、以降連続7回当選。海部俊樹内閣では3期に渡って外相を務めた。

現在、日韓議員連盟顧問、日本・欧州評議会友好議員連盟会長、日本アメリカ友好議員連盟会長などの外交関連の議員連盟の会長を務めるなど、自民党きっての外交通として内外に知られている。
また、エドゥアルド・シェワルナゼ旧ソ連外相(グルジア元大統領)と親交があり、中山氏は、グルジアではソ連崩壊で苦境に陥ったシェワルナゼ元大統領を助けた「盟友」として知られている。
スウェーデン、デンマーク、フランス、ハンガリー、スペイン、オーストリア、インド、モンゴル、チリ、ペルー、オランダ、フィリピン、ロシア各国から、叙勲も受けている。

古くから憲法改正にも積極的で、2000年1月に衆院に設置された衆院「憲法調査会」の設置に貢献したことから、設置時より会長を務めてきた。
憲法調査会再編に伴い、2005年9月に設置された衆院「日本国憲法に関する調査特別委員会」でも、設置時より委員長を務めている。
国会の委員長や調査会長は、通常1〜2年で交代するものだが、同種の役職を7年間もの長期間務めた例は異例だ。
『実録 憲法改正国民投票への道』(中央公論新社)、『15歳からの憲法改正論 未来の日本を創るのは君だ!』(PHP研究所)といった著書もある。

派閥としては、参院初当選時から一貫して清和会(福田派→安倍派→三塚派、現在の町村派)に属した。
安倍晋太郎会長下で加藤六月元農水相、塩川正十郎元財務相、森喜朗元首相、三塚博元幹事長が「安倍派四天王」と称されると、これに続く「安倍派 第5の男」と呼ばれた。
1998年、三塚派内で森ラインと亀井静香(現国民新党代表代行)ラインの対立が激化すると、亀井氏、平沼赳夫元経産相らと清和会を脱退し、「中山 ・亀井グループ」を結成。しかし、翌年(1999年)の志帥会結成には参加せず、以来無派閥を貫いている。

大臣のポストこそ手に入れたものの、年齢と当選回数の割には表舞台を歩いて来なかったほうで、これまでも首相候補として目されたことはほとんどない。
しかし、全国各地の講演会でも年齢を感じさせない元気な姿を見せるほか、最近では衆院国会本会議場の最後列に座り、小泉純一郎元首相や森元首相と席が隣同士となった。
本会議場の席順は最前列が若手(当選1回)議員、最後列がいわゆる「重鎮」議員で構成されている。
自民党にあっては、首相経験者が最後列に座ることが多く、自民党席の最後列に首相経験者でないにもかかわらず座っているのは、自民党の“長老”である中山氏のみだと言っても過言ではない。

小沢氏が構想する選挙管理内閣が実現するためには、もちろん、麻生首相の退陣が不可欠だ。
かつての「自社さ連立政権」で自民党が社会党の村山富市委員長を首相に担いだ時のように、ほとんど実権力を持たない“お飾り総理”として中山氏を首相に担ぐ――、というのが、民主・社民両党幹部が描くシナリオらしい。
安倍晋三元首相―福田康夫前首相と、2代に渡って「辞任総理」を生み出した自民党としては、麻生首相退陣による、まさかの「中山太郎首相」誕生は避けたい事態だ。
これまで自民党を下支えした縁の下の力持ちであり、古い自民党も新しい自民党も知る“生き残り”となった中山氏。党執行部としては、「ミスター自民党」ともいえる中山氏の首相就任だけは避けたい。何とも皮肉な話だ。

リンク:中山太郎オフィシャルホームページ中山太郎ブログ

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2008年12月10日

福島社民党首の訴え受け入れ 麻生首相の「派遣・非正規救済」プラン

「倒閣運動」の前にやるべきことがあるのではないか。

<支持率急落>自民議員、一斉に動く 「反執行部勢力」倍増

 麻生内閣の支持率急落を受けて、自民党内では9日、所属議員が相次いで会合を開くなど「余震」が続いた。政権批判を強める中堅・若手が2回目の会合を開くと、メンバーは48人に倍増。一方、党内の路線対立を踏まえ、郵政民営化などの政策議連も相次いで旗揚げした。麻生太郎首相の人気低落で、党内では次期衆院選への危機感が充満しており、各議員は有権者の視線を意識しながら、一斉に走り出している。

 「我々の提言を党執行部にのませるのか。(執行部が)のまないなら(野党が衆院に提出する)内閣不信任案賛成までやるのか」

 9日、自民党本部7階。中堅・若手でつくる「速やかな政策実現を求める有志議員の会」(代表世話人=塩崎恭久元官房長官、茂木敏充前行政改革担当相)が開いた2回目の会合で、柴山昌彦衆院議員は大声で、出席者の「決意」を迫った。支持率急落を受け、メンバーは48人(出席者は25人)にまでふくれあがった。

 先月、08年度2次補正予算案の今国会提出を首相に求めた「速やか議連」は、森喜朗元首相や各派領袖から、厳しい批判を浴びた。しかし、支持率急落による焦りが、尻込みしていた議員の背中を押した形。政権批判を続ける渡辺喜美元行革担当相は会合後、「党内は閉塞(へいそく)感に満ちあふれており、若い議員に相当、危機認識がある」と語った。

 そんな中堅・若手の動きに対し、党執行部はいら立ちを隠さない。菅義偉選対副委員長は9日、党本部で記者団に対し「倒閣や新党で動くなど、政権運営を妨げる行動があった場合、同志として一緒にやっていけるか、判断せざるを得ない」と強調した。次期衆院選での公認停止などを念頭に、中堅・若手の動きをけん制したものとみられる。

 一方、小泉純一郎元首相、中川秀直元幹事長ら自民党の郵政民営化推進派は議員連盟「郵政民営化を堅持し推進する集い」を発足させた。

 「3年前の選挙を思い起こしてほしい。不可解な行動をしている方の多くは郵政民営化反対が間違いだったと誓約書まで書いて復党したことを忘れないでほしい」

 小泉氏はこうあいさつし、郵政復党組で、首相側近の山口俊一首相補佐官らが日本郵政グループの組織形態の見直しを検討していることなどを強くけん制した。「親麻生」のスタンスを崩さない安倍晋三元首相も民営化堅持の姿勢をアピールした。

 首相は9日夜、首相官邸で記者団に対し、中堅・若手の会合について「いろんな意見が出ることは正直いいことだ。頑張れという声も別にあり、いいことだと思っています」と述べるにとどめた。郵政議連の終了後、小泉氏は参加議員に対し「大変だなあ。次の選挙は。(政権は)すでに追い込まれているんだよ」と語ったという。

【犬飼直幸、山田夢留】

 ◆自民党の「速やかな政策実現を求める有志議員の会」の会員として登録しているメンバーは次の通り。

 <町村派=13人>谷畑孝(4)※、谷本龍哉(3)、柴山昌彦(2)※、西村明宏(2)、西村康稔(2)、萩生田光一(2)、関芳弘(1)、世耕弘成(3)参、礒崎陽輔(1)参※、岸信夫(1)参、古川俊治(1)参、丸川珠代(1)参、義家弘介(1)参

 <津島派=10人>伊藤達也(5)、茂木敏充(5)、大村秀章(4)、新藤義孝(3)、加藤勝信(2)、大塚高司(1)、原田憲治(1)※、福岡資麿(1)、田村耕太郎(2)参、島尻安伊子(1)参

 <古賀派=10人>遠藤利明(4)、塩崎恭久(4)、望月義夫(4)、小野寺五典(3)、上川陽子(3)、平井卓也(3)、井沢京子(1)、木原誠二(1)※、土井真樹(1)、萩原誠司(1)

 <山崎派=3人>山際大志郎(2)、上野賢一郎(1)※、平将明(1)※

 <伊吹派=1人>宇野治(2)

 <無派閥=11人>水野賢一(4)、渡辺喜美(4)、梶山弘志(3)、後藤茂之(3)、秋葉賢也(2)※、菅原一秀(2)、御法川信英(2)、赤沢亮正(1)、佐藤ゆかり(1)※、牧原秀樹(1)※、山内康一(1)

 (注)9日現在。敬称略。数字は当選回数。参=参院議員。※は今回初登録し会合にも初出席の議員。麻生派と二階派からの参加者はなし

(10日、毎日新聞)

9日、麻生太郎首相は内閣支持率の低下を受け、自民党内の首相経験者や各派閥領袖に「私へのアドバイスがあれば(河村建夫)官房長官に伝えてほしい」との電話を入れた。
政策提言のため、首相官邸を訪れた町村信孝前官房長官(町村派代表世話人)の話にも、麻生首相と河村長官がじっと耳を傾ける低姿勢ぶりを示した。
河村氏は同日、8日に引き続き首相経験者らを訪問しアドバイスを求めた。
福田康夫前首相は河村氏に「総選挙のことは考えないで、予算を通すことに全力を挙げた方がいい」と進言した。
私も福田氏と同意見だ。選挙のことは考えず、今は経済対策となる予算を通すことに総力を挙げるべきである。

同日夜、福田氏と同じ「首相経験者」である森喜朗元首相は、青木幹雄前参院議員会長、山崎拓前副総裁と東京都内の日本料理店で会談した。
景気・雇用情勢の悪化を受けて、2009年度予算案の成立を急ぐべきだとの意見が相次いだほか、次期衆院選後は「ねじれ国会」の解消に向け、政界再編が不可避との認識で一致した。
会談には、読売新聞グループ本社の渡辺恒雄読会長兼主筆と日本テレビ放送網の氏家斉一郎取締役会議長が同席した。

米国発の金融危機をきっかけに、緊急事態を迎えた日本経済。
製造業を中心に派遣・非正規労働者との契約を更新しなかったり、中途解除したりする「派遣切り」が加速しており、事態は深刻だ。
また、今朝の各紙朝刊が報じた「ソニー、エレクトロニクス事業から1万6000人削減」のニュースは、関連部品メーカーや国内外の雇用情勢に影響を与えることも必至だろう。
そんな中、与野党問わず、麻生政権に対して緊急の経済対策を実施すべきだとの声が相次いでいる。

9日午前、社民党の福島瑞穂党首は、国会内で麻生首相に会い、「派遣切り」について、「政府として『派遣の中途解約は許さない』『違法だ』と宣言してください。大企業も派遣切りをしているが、やめさせてほしい」と申し入れた。
これに対し、麻生首相は「珍しく社民党と意見を共有しています」と述べ、雇用対策に全力を挙げる考えを強調した。

政府の追加対策の中で、中途解約を一定程度防ぐとみられるのが、雇用調整助成金の非正規社員への拡充だ。
従業員をリストラせず、出向や休業とした企業を助成する制度だが、適用は正社員だけ。非正規も対象となると、解約が減る可能性を連合も指摘している。
さらに非正規社員への雇用保険の適用基準を「1年以上の雇用見込み」から「半年」に緩和する方針も安全網となる。派遣社員らは3か月、6か月契約が多く、雇用保険から漏れる人が少なくない。

それでも一連の施策は、予算案が成立しないと財源を調達できない。
同日の会議では「迅速な対応」を確認したものの、年内実施に踏み切れそうなのは、失職し寮を出る必要がある非正規社員を雇用促進住宅の空き部屋(約1万3000戸)に緊急避難的に入居させることや、雇用情勢が厳しい地域での職業訓練強化、事業主への啓発などに限られる。

10日午前、公明党の太田昭宏代表はも、首相官邸で麻生首相に会い、来年度から2年間で10兆円以上の経済対策を実施するよう申し入れた。
これに対し、麻生首相は「景気対策、財政再建、経済成長戦略、その時々に何が一番大事かをしっかり踏まえてやりたい」と述べ、臨機応変に対応する考えを示した。 

塩崎恭久元官房長官、渡辺喜美元行革担当相ら若手・中堅議員を中心に、「倒閣運動」と捉えられかねない動きが加速している自民党内。
「郵政」をめぐり、今期限りでの引退を表明した小泉純一郎元首相も、中川秀直元幹事長らと共に「郵政民営化を堅持し推進する集い」を発足させ発言を行い、最後の最後に存在感を再び増してきている。
中川氏と小池百合子元防衛相が中心となり結成している、社会保障をめぐる議員連盟の動向も「倒閣運動」とどう関わってくるか、注目だ。

森氏や青木氏が言うように政界再編は不可避なのかもしれないが、今、本当に大事なことは選挙を実施することなのだろうか。政界再編を即時実現することなのだろうか。
麻生首相は公明党や社民党の党首らと会談するなどして、経済危機に対しての与野党問わぬ国会議員の「総力戦」を画策している。
今、本当に必要とされるのは、選挙により政治空白を生じさせることではなく、予算を通すことで経済対策を断行することだろう。

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2008年12月02日

渡辺元行革相が「離党」宣言? 不快感あらわにする派閥ベテラン

渡辺氏には、杉村太蔵議員の文章を読んで学んでほしい。

<自民党>ベテラン、若手を叱責 相次ぐ首相批判に警戒感

jimin_20081202.jpg(C)毎日新聞

 ◇「総裁を守る気なくて、何で政治家をやってるのか」

 麻生太郎首相の政権運営を巡り、自民党の中堅・若手から批判が相次いでいることに対し、森喜朗元首相らベテラン議員が警戒感を強めている。延長国会で野党が政権批判を強める中、首相批判を容認し続けると、有権者の自民党離れを助長しかねない。党内の結束を求める各派閥領袖クラスと、次期衆院選への危機感を強める若手との間で、世代間対立も強まっている。

 「自分たちが選んで2カ月の総裁を守るという気持ちなくして、何で政治家をやっているのか。マスコミに受けたいのなら、お笑いタレントでもやればいい」

 森氏は11月30日、兵庫県洲本市の講演でこう語り、中堅・若手の動きを厳しく批判した。とりわけ、渡辺喜美元行政改革担当相や塩崎恭久元官房長官に対しては「テレビがくると、我先に麻生さんの悪口をぽんぽん。それなら、(自民党を)やめていけばいい」と不快感をあらわにした。

 自民党内では総裁選で首相を支援した町村信孝前官房長官や伊吹文明元幹事長、津島雄二元厚相ら各派領袖が首相への批判を強める中堅・若手らに直接注意するなど「沈静化」に奔走。森氏も先月30日、首相批判を展開した町村派の若手議員を電話で叱責(しっせき)し、首相擁護で歩調を合わせる。

 森氏らが中堅・若手グループの動きに神経をとがらせるのは、麻生首相の足元が揺らぎ、首相自身に批判を受け止めるだけの「余裕」がないからだ。古賀誠選対委員長は1日夜、東京都内の会合であいさつし、「政局が混迷し、厳しい時こそ挙党一致でやるのが、自民党の良き伝統だ」と強調した。

 ただ、党内では、中堅・若手とは別の動きも広がる。森氏と同じ町村派の中川秀直元幹事長は、週内にも社会保障に関する議員連盟を結成する予定。中川氏の周辺は「政権の足りないところを補う『補麻生』の役割を果たしたい」と説明するが、「反麻生」での連携の可能性もくすぶる。

 渡辺氏は1日のBS11の「インサイドアウト」の収録で、森氏の批判について「平時モードの発想で頭の中が非常時モードになっていない。ちょっと古すぎる」と逆に森氏を批判。収録後、記者団に対し「いろいろな集団が大同団結することもあり得る」と述べ、中川氏らの動きに関心を示した。

 森氏は30日の講演で「自民党が野党になったとき、ぞろぞろ党から出ていった。その傾向が今また表れている」と述べ、あえて93年の衆院選での野党転落当時にふれた。若手議員が政権交代におびえる中で、党内には「各省庁はもう麻生政権を見放して、民主党シフトを取っているのではないか」(参院自民党幹部)との疑心暗鬼まで広がっている。【高山祐、近藤大介】

(2日、毎日新聞)

きょう(2日)、自民党の渡辺喜美元行革担当相はテレビ朝日の情報番組に出演し、将来の自民党離党・新党結成などの可能性について「(自身の麻生政権批判に対して)『自民党から出て行け』とかずいぶん言われ始めたが、もっと言われるとそういうことになる可能性もないわけではない」と含みを残した。
渡辺氏は、自らに同調する人数については「2か月前に(党総裁選で)新総裁をつくったので、そう簡単に20人も30人も(離党へ)かじを切れる状況にはない」と発言。
その上で、「タイミングもある。今は、地道に仲間を増やしていくしかない」と述べ、当面は突出した行動は控える考えを示した。 
これに対し、大島理森国対委員長は同日夕、「(渡辺氏は)政治家としての器が小さい。誰も信用しなくなる。テレビに出て自分の組織の批判をすれば、国民は面白いかもしれないが、面白いだけの政治家になってはいけない」と渡辺氏を批判した。

自民党内では今、一部の若手・中堅議員から麻生太郎首相を批判する声が相次いで出ている。
これに対し、若手・中堅に対して“逆批判”をしているのが森喜朗元首相(町村派最高顧問)ら派閥領袖のベテラン議員だ。
先月(11月)30日、森氏は兵庫県で講演し、「自分たちで選んだ(まだ在任期間)2か月の総裁を守るという気持ちなくして、何で政治家をやっているのか。マスコミに受けたいのなら、お笑いタレントでもやればいい」と語った。
森氏が発言の念頭においているのは、渡辺氏や塩崎恭久元官房長官、山本一太参院議員らだ。
森氏は、「テレビ(の出演依頼)が来ると、われ先に麻生さんの悪口をポンポン。それなら、(自民党を)やめていけばいい」とも発言、不快感をあらわにしている。

党内では、9月の総裁選で麻生首相を支持・支援した町村信孝前官房長官(町村派会長)や津島雄二党税調会長(津島派会長)、伊吹文明元幹事長(伊吹派会長)ら各派領袖が、麻生批判を展開する若手・中堅議員らに直接注意するなど奔走。
森氏自身も、先月30日、首相批判を行っている町村派の若手議員を電話で叱責している。

ただし、党内では、一部若手・中堅とは異なる議員らによる、ある“動き”も見受けられる。
森氏と同じ町村派の中川秀直元幹事長は、今週中にも社会保障に関する議員連盟を結成する予定だ。
中川氏周辺は「政権の足りない所を補う『補麻生』の役割を果たしたい」と説明しているが、渡辺氏ら「反麻生」グループとの連携の可能性も取り沙汰されている。
渡辺氏も、昨日(1日)行われたBS11の番組の収録後、記者団に対し「色々な集団が大同団結することもあり得る」と述べるなど、早くも中川氏らに“ラブコール”を送った。

ご存知の通り、自民党は安倍晋三元首相と福田康夫前首相の2年連続での辞任劇により、支持の受け皿が半崩壊している。
同党の杉村太蔵衆院議員も、福田政権発足時には、自身のブログで
「失った信頼、これを取り戻すことは容易なことではありません。
微力ですが決まった以上は全力でお支えします。
それが政党人としての務めであります。」
と語るなど、信頼回復と首相下支えの重要性を訴えていた。
「3人目の辞任総理」を生み出さないためにも、自民党内は一致団結して麻生首相を支えるのが本来あるべき姿のはずだ。しかし、渡辺氏らは目の前の「受け」を狙って、麻生批判を展開し続けている。
挙句の果てに、渡辺氏は、自民党を離党するなどという言葉もちらつかせているが、本当にそれができるのであればすればよい。森氏が先月30日の講演で指摘した通り、「自民党が野党になった時、(議員は)ゾロゾロ党から出て行った」。その再現をしたいというのであれば、どうぞご自由に、という感じだ。

自分たちが担ぎ出した総裁を、在任期間2か月程度で一転、批判姿勢に転じるなど、人間としても政治家としても不見識極まりない。
もちろん、麻生首相にも「定額給付金」をめぐる迷走や失言問題など、批判されるべくして批判されている点も少なくない。しかし、それらは「あの時麻生を総裁に選んだのに、裏切られた」という論理に結びつくものではないはずだ。
今国会での2次補正予算の提出をめぐる問題についても、党総裁が党において一度決めたことに対して、決まった後に異論を挙げるなど、勇気不足もはなはだしい。

渡辺氏らの動きからは、浅薄なポピュリズムしか見受けられない。
河野洋平衆院議長(元総裁)は、かつて当時の自民党に反発し、新党「新自由クラブ」を結成、自民党を離党した。口だけ動かすのはもうやめて、あの時の河野氏の気概を少しは見習って欲しいものだ。

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2008年12月01日

「握りの大島」 大島国対委員長が在任記録更新

哀愁漂う?「知将」が、もうしばらくは国会対策の指揮を執る。

大島国対委員長が記録更新=在任期間、中川氏抜く

t_oshima_20081201.jpg(C)産経新聞

 自民党の大島理森国対委員長は1日、通算在任日数が1128日となり、中川秀直元国対委員長が持っていた同党の最長記録を塗り替えた。衆参ねじれ国会で陣頭指揮に当たってきた大島氏。延長国会でも野党の攻勢に神経をすり減らす日々が続きそうだ。

 大島氏は2000年12月から02年9月まで、森、小泉両内閣の下で国対委員長を務めた。07年の参院選での自民党惨敗後、国会運営の手腕を買われて同年8月に再登板。今年9月の麻生内閣発足に際しては、盟友の麻生太郎首相から官房長官への就任を要請されたが、自ら国対委員長再任を求めた。

 大島氏は「振り返ってみれば長過ぎた、この場に居過ぎているのではという思いもある」としつつも、「まだ『辞めろ』と言われていないので、職にある限りは麻生内閣のために全力を尽くしたい」と話している。 

(1日、時事通信)

今日(1日)、自民党の大島理森国対委員長は、通算在任日数が1,128日となり、中川秀直元幹事長を抜き歴代最長の国対委員長となった。
激動のねじれ国会で心身ともにやつれ果て「早く後進に道を譲りたいの〜」と嘆くが、老獪(ろうかい)な手腕は余人をもって代え難く、麻生太郎首相は、来年の通常国会も「大島体制」で乗り切る構えだ。

安倍晋三政権末期の2006年夏、大島氏は森喜朗政権で国対委員長を務めた実績を買われて、国対委員長に再起用された。
衆参「ねじれ国会」の中、同年(2006年)秋の新テロ対策特措法をめぐる越年闘争や、揮発油税(ガソリン税)の暫定税率をめぐる闘争などで「知将」ぶりを発揮してきた。

初めは毒舌で相手を威嚇し、その後は「なだめ」「すかし」で翻弄、最後は人情でホロリとさせ、事を運んでいくのが大島流。
先の通常国会では、衆参「ねじれ」現象を抱えながらも、最後は例年並みの法案79本を成立させた。
こうした手法は故・竹下登首相直伝といわれ、相手の弱みを小出しにして譲歩を引き出す手口から「握りの大島」の異名を取る。

麻生首相とは昔から親しく、麻生政権発足時に官房長官への起用も取りざたされたが、首相は「悪代官が1日2回も記者会見したら国民に申し訳ないだろ」とあっさり却下、国対委員長職への留任を求めた。

時代劇好きの大島氏は、公明党の漆原良夫国対委員長との「悪代官ごっこ」が目下のマイブーム。
大島氏「越後屋、お主も相当のワルよのう…」
漆原氏「お代官様にはかないませぬわ…」
大島氏「思えば長い道のりじゃのう…」――
と、やり取りしているとか。
持病の糖尿病に加え、最近では口元にヘルペスが再発し、満身創痍(そうい)の大島氏にとって「戦友」の漆原氏との時代劇ごっこは、数少ない心の癒しとなっている。

党役員会で、麻生首相が「この前、ホッケの煮付けかなんかを食ったなあ」と話すと、大島氏は冷静な顔のまま「北海道に『ホッケの煮付け』はありません」と断言。麻生首相との距離の近さゆえ、こんな発言もできるのだろう。
「一度でいいから『水戸黄門』(TBSテレビ)に出たいもんじゃのう…」と遠い目をしてつぶやく姿からは、全身(全心)の疲れが感じられるが、まだまだ休めそうにはない。

参考:産経新聞記事

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2008年11月29日

麻生首相を「広報面」で支える島村氏と「政策面」で支える谷垣氏

首相の「失言問題」を誰がどうバックアップするか――。麻生首相本人が動き出した。

<総裁特別補佐>島村元農相起用へ…麻生首相

 麻生太郎首相は28日、自民党のスポークスマンとして報道機関に対応する総裁特別補佐職を新設し、島村宜伸元農相を起用する人事を内定した。首相の発言に与党からも「説明不足」などと批判が出ていることを踏まえ、政権の広報機能を強化する。島村氏は広報活動全般の企画にも携わる予定。07年と今年の総裁選では麻生氏を支持していた。

(29日、毎日新聞)

麻生太郎首相(自民党総裁)の「総裁特別補佐」という役職が新設され、それに島村宜伸元農水相が就任することが、昨日(28日)、内定した。
島村氏は1976年の衆院選で初当選。東京16区選出で、麻生首相と同じ学習院大学の出身である。現在は衆院懲罰委員長を務める。
2005年8月の「郵政解散」時には、当時の小泉純一郎内閣で農水省を務めていたが、衆院解散への閣議署名を拒否し、辞表を提出。手続き上、小泉首相(当時)に「罷免」された。ちなみに、後任の農水相には一時的に小泉首相が兼任し、同月11日には、当時農水副大臣だった岩永峯一衆院議員が任命された。

2006年12月、亀井派の後継問題でなかなか後継体制が決まらなかったが、「伊吹文明会長―島村名誉会長」という体制で決着し、伊吹派となった。
2007年3月、伊吹派を退会。派内における伊吹会長との主導権争いが原因とみられる。
2007年総裁選(福田康夫氏が当選)、2008年総裁選では、無派閥議員として麻生氏を支持。推薦人に名を連ねる。
現在は「みんなで靖国神社を参拝する国会議員の会」会長、中川昭一財務・金融相が会長を務める「真・保守政策研究会」議長を務めるなど、保守派・タカ派議員として知られている。

テレビ討論番組などへの出演も多く、分かりやすく明瞭な発言姿勢には定評がある。
麻生首相が会長を務める「為公会(麻生派)」のメンバーの中にも、中馬弘毅元行革担当相、鴻池祥肇元防災担当相などメディアへの出演機会が多い、「情報発信型」の議員はいる。
しかし、鴻池氏は麻生首相同様、自身の「発言問題」が議論を呼ぶこともしばしばあり、麻生首相としては、自身の発言の“回収役”としては、島村氏が適任であると考えたようだ。
前回のエントリでは、河村建夫官房長官が麻生首相の発言を補正する役割を担うと宣言した、と記述したが、麻生首相としては、補佐役が河村氏だけでは心もとないと考えたのだろう。
党執行部は「総裁の考えをより広く知ってもらい、国民の誤解を解いてほしい」としており、求心力低下が指摘される麻生首相の政権運営を、メディア対策を中心とした広報面で支える狙いがありそうだ。 

さて、今月26日、自民党では麻生首相肝いりのプロジェクトチーム(PT)の会合が、相次いで開かれた。
「道路特定財源の一般財源化に関するPT」の会合では、座長・谷垣禎一元財務相が「確保するものは確保しなければいけない。暫定税率も当面維持すべきだ」と述べ、暫定税率を3年程度維持する方針を改めて表明した。

ippanzaigenka_pt_20081126.jpg(C)毎日新聞
26日の「一般財源化PT」会合の模様

同じく自民党の「無駄遣い撲滅PT」(座長・園田博之政調会長代理)の幹部会では、来年度予算編成で一般歳出から数千億円の削減を目指すことを確認した。
党幹部は「選挙を控え、多くの議員が目の色を変えて予算獲得に動いている」と省庁や議員らの抵抗に頭を抱えている。
昨日(28日)には、国家公務員のレクリエーション経費の原則撤廃や、公益法人への支出の3割削減、防衛装備品調達の効率化などが盛り込まれた、行政の無駄削減対策案をまとめた。
数値目標の設定は見送られたが、数千億円のスリム化が可能とみられる。
園田氏は「(平成)21年度予算の重点化枠3,300億円は予算削減により確保したい」と語り、社会保障などへの活用を目的に、概算要求基準で設定された重点化枠に、無駄撲滅で浮いた予算を充てる考えを示した。

一方、自民党の「郵政事業に関する検討・検証PT」(座長・中谷元元防衛庁長官)も26日、初会合を開いた。
郵政民営化関連法には来年(2009年)3月をめどに民営化の進め方を見直す規定があり、各事業会社の経営やサービス状況などを精査し、来年1月に結論を出す。

来年に予想される次期衆院選を控えて、自民党内では、広報面・政策面双方で、議員らの動きが加速している。
島村氏が今後どこまでメディア対策などで露出が増えるか、あるいは影響力を持つかは未知数だが、今回の総裁特別補佐職新設からは、麻生首相が「一枚看板」ではなく、“TEAM麻生”の演出姿勢に舵を切ったかのようにもみえる。

麻生首相の「発言問題」をめぐっては、首相本人も苦労している面があり、島村氏が広報面でそれを支える形だ。
政策面においては、谷垣氏、園田氏、中谷氏といった「宏池会(古賀派)」のメンバーを座長に据えた党PTが麻生首相(総裁)を支える。
これらのPT座長人事からは、基本的には麻生首相の谷垣氏への信頼感が垣間見れる。園田氏も中谷氏ももともと旧谷垣派議員で、谷垣氏に非常に近い。麻生首相は、「宏池会」といっても、古賀誠選対委員長系の議員ではなく、谷垣氏系の議員を信頼していると言えそうだ。

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2008年11月28日

浮き足立つ自民党内… “派閥幹部 VS 若手・中堅議員”の図式も

麻生首相流のリーダーシップと国民対話を実現することで、初めて小沢氏の格上になれる。

<自民党>各派閥から苦言・注文相次ぐ 首相の求心力に陰り

 27日の自民党の各派閥の会合で、幹部らから麻生太郎首相に対する苦言や注文が相次いだ。次期衆院選への影響を懸念する中堅・若手議員も首相を公然と批判。政府・与党は同日、今国会の延長を決めたものの、首相の求心力の陰りで先行きは不透明感を増しており、自民党内は浮足立った落ち着かない状況が続いている。【中田卓二】

 「国民目線とずれないこと、決められた法律を守りながらぶれないことが大事だ」

 中川秀直元幹事長は町村派の会合で強調した。首相が郵政株式売却凍結に言及し、党内で郵政民営化見直しの機運が高まったことへのけん制だった。

 伊吹文明元幹事長は伊吹派会合で「政策の良しあしより、二転三転しないことだ」と、定額給付金などをめぐる首相のぶれを批判。高村正彦前外相も高村派会合で「首相が先頭に立って国民に説明しないと、今の逆風は乗り切れない」と首相に奮起を促した。

 政策以上に党内の懸念材料になっているのが首相の発言。27日も相次ぐ医療関係の失言が問題視された。

 山崎拓前副総裁は山崎派の会合で「沈黙は金。放言でメッキのたぐいがはがれないように、いろんなことは言わずに頑張ってほしい」と皮肉をたっぷり交えながら指摘。町村信孝前官房長官も27日夜のBS11デジタルの報道番組「インサイドアウト」に出演し、「首相の一言は重い。関係省庁、閣僚、官邸スタッフで方向感覚をそろえたうえで、首相がモノを言った方がいい」と論評した。

 とはいえ、安倍晋三元首相と福田康夫前首相が相次いで1年で退陣しただけに、当面は首相を支えていくべきだというのが党内の共通認識。これが「首相に正しいことを言い、どんどん突き上げないと、自民党に未来はない」(山本一太参院議員)などと、中堅・若手議員を勢いづかせる要因にもなっている。

(28日、毎日新聞)

河村官房長官 首相の放言問題「釈明や説明は私が…」

t_kawamura_20081128.jpg(C)毎日新聞

 「本意を理解していただく努力は私がしないといけない」−−。河村建夫官房長官は27日の記者会見で、麻生太郎首相の放言が相次いでいることに関し、女房役の官房長官として「釈明」に努めていく姿勢を示した。

 首相が20日の経済財政諮問会議で、高齢者医療費の増大は患者に責任があると受け取れる発言をしたことに関する質問が続出。河村氏は「健康は自分で努力する部分もある。そういうことも大事と言った」などと説明に追われた。

 その一方で「できるだけ釈明や説明をしなくて済むにこしたことはないが、首相はああいう性格。いろんな発言はこれからもあるだろう」と語った。【坂口裕彦】

(28日、毎日新聞)

昨日(27日)、自民党の各派閥は会合を開き、派閥幹部らからは麻生太郎首相(自民党総裁)への意見・注文の声が相次いだ。
安倍晋三元首相―福田康夫前首相と、2代連続で任期途中で辞任する首相を送り出した党内としては、党内一丸となり麻生首相を支える姿勢で基本的に一致している。
しかし、来るべき総選挙への影響を懸念する中堅・若手議員が、首相を公然と批判。
それに対し、派閥幹部が“圧力”をかけるような発言をするなど、党内の様子は浮き足立ったものとなっている。

党内最大派閥・町村派の会合で、中川秀直元幹事長は「国民目線とずれないこと、決められた法律を守りながらぶれないことが大事だ」と語り、麻生首相が郵政株式売却凍結に言及し、郵政民営化見直し議論を加速させていることを暗に批判した。
伊吹派の会合で、伊吹文明元幹事長は「政策の良し悪しより、二転三転しないことだ」と、定額給付金などをめぐる麻生内閣の“迷走”を批判。
高村派の会合では、高村正彦前外相も「首相が先頭に立って国民に説明しないと、今の逆風は乗り切れない」と、麻生首相に奮起を促した。

政策以上に党内の懸念材料になっているのが「麻生首相の発言」。
この日も、相次ぐ医療関係の“失言”が問題視された。

山崎派会合で、山崎拓前副総裁は「沈黙は金。放言でメッキの類(たぐい)がはがれないように、色んなことは言わずに頑張ってほしい」と皮肉たっぷりに発言。
町村派会長である町村信孝前官房長官も、この日夜のBS11デジタルの報道番組『インサイドアウト』に出演し、「首相の一言は重い。関係省庁、閣僚、官邸スタッフで方向感覚を揃えた上で、首相がモノを言った方がいい」と論評した。

麻生首相の「2次補正予算案」への対応や、定額給付金の動きを批判しているのが、党内の若手・中堅議員だ。
渡辺喜美元行改担当相ら中堅・若手グループが政府・与党の方針に反対して、2008年度第2次補正予算案の今国会提出を求めている。
山本一太参院議員も「首相に正しいことを言い、どんどん突き上げないと、自民党に未来はない」と発言するなど、非常に勢い付いている模様だ。

こうした若手・中堅の動きに対して、自民党各派の総会では批判的な意見が相次いだ。
伊吹派の伊吹元幹事長は、民主党が「2次補正予算案」関連法案の審議を引き延ばせば、これが廃案に追い込まれる可能性があるとして、「民主党は(成立を)約束していないから危ない」と指摘。
会合の出席者からは「(渡辺喜美氏らは)そういうことも知らずにやっ
ているのか」
と非難の声が上がった。
また、山崎派の山崎前副総裁は「党で決定したことには従うべきだ」と自制を要求。
二階派の泉信也事務総長(参院議員、元国家公安委員長)は「余計なさざ波を立てないように…」と注意喚起した。

麻生首相の発言問題について、麻生内閣における首相の“女房役”からは「バックアップ宣言」が飛び出た。
河村建夫官房長官は、昨日(27日)の記者会見で「本意を理解していただく努力は私がしないといけない」と語り、麻生首相の放言が相次いでいることに関し、女房役の官房長官として「釈明」に努めていく姿勢を示した。

その一方で、「できるだけ釈明や説明をしなくて済むにこしたことはないが、(麻生)首相はああいう性格。色んな発言はこれからもあるだろう」と未来の困難を予測した。

町村派に所属する河村氏は、官房長官就任会見で自分でも語ったように、ある意味“超地味系議員”。
党・内閣における麻生首相の「一枚看板」ぶりを演出するための引き立て役として任命された格好だが、河村氏が官房長官に就任した背景には、森喜朗元首相(町村派名誉会長)による、麻生首相への働きかけがあった。

もともと河村氏は根っからの「文教族」。文科相時代には、俳優の柳楽優弥さんが映画『誰も知らない』で国際映画賞を受賞した際に、柳楽さんと会談し、柳楽さんから「優しそうな印象」だと言われたこともあった。
「文教族」のドンである森元首相と結び付きがある河村氏を、森元首相が、同じく「文教族」である麻生首相に官房長官候補として推薦した。

麻生首相の姿勢や発言をめぐり、揺れる政府・党内。
基本的に麻生首相を支持する姿勢で党内が一致していることに変わりはないが、若手・中堅議員からは麻生首相に反発する声が出ており、派閥幹部はそうした意見を抑えることができていないのが現状だ。
安倍元首相は派閥幹部にとって「遠い」人物で、福田前首相は若手・中堅議員にとって「遠い」人物であった傾向がある。
これと比較して麻生首相は、これまで「一匹狼」的に永田町を生きてきた。麻生派議員以外にとってはなじみの薄い存在だ。

小泉純一郎元首相も同じように「一匹狼」的に生きてきた政治家だったが、小泉元首相と麻生首相とを比較した際、ブレーンのメディアとの関係の違いなども挙げられるが、明らかに違うのは世論との密着度だ。
麻生首相は「リーダーシップ」を標榜する政治家でありながら、肝心のそれを発揮できていない。小沢民主党との対決姿勢の提示も今ひとつだ。
“異端のお坊ちゃま”として60年以上生きてきた麻生首相に、小泉的なリーダー像を求めるのには無理がある。かといって、安倍元首相が一時模索していた「調整型」の首相を演じるのも無理だろう。

麻生首相が個人のキャラクターを最大限に発揮するためには、「ねじれ国会」現象を上手く利用して、小沢民主党との対決姿勢を極めて明瞭に、鮮明にすることだ。
民主党・小沢一郎代表への“闘争心”をむき出しにし、「麻生か小沢か」という選択肢を国民世論に提示することだ。
しかし、小沢代表へのネガティブ・キャンペーンだけでは麻生首相に勝ち目はない。麻生首相が自身の発言により留意する必要もあるが、それ以上に、「この人になら日本を引っ張っていく力がある」という点を演出する必要性がある。

麻生首相の記者を小馬鹿にしたような態度(ふざけた質問をする記者も悪い)が一般的に受け入れられるものなのかどうかはよく分からないが、麻生首相のキャラクターを国民に認知してもらうためには、腹を割った麻生首相と国民の直接対話が必要だろう。
首相官邸ホームページ・メールマガジンの「太郎ちゃんねる」などもそのための有効な手段の一つだろうが、やはり限界がある。既存メディアに「パフォーマンスだ」と馬鹿にされてでも、一貫して、中長期的な国民との直接対話型の機会を設けるべきだ。
まずは、麻生首相が米大統領風にカメラ目線で語りかける「テレビ演説」を行ってはいかがだろうか。「私は、誰かさんとは違って逃げない」ということ(※)を国民に真摯に伝えてほしいのだ。

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2008年11月25日

「この人の話は危ないな、と思うんじゃない?」 麻生首相がストレートに小沢批判

代表自らが体現する「政策よりも政局」政党に、麻生首相が挑む。

<2次補正>自民中堅・若手議員の間で早くも温度差

 08年度第2次補正予算案の今国会提出を政府に求めた自民党中堅・若手議員のグループの間で早くも温度差が目立ち始めた。急先鋒(せんぽう)の渡辺喜美元行革担当相が麻生内閣の「倒閣運動」と見られることも辞さない姿勢なのに対し、「今、首相を代えることなんてできっこない」との現実論も広がっている。こうした足並みの乱れを見透かし、党執行部や派閥領袖は活動の沈静化に乗り出した。

 第2次補正提出を要求しているのは、塩崎恭久元官房長官や渡辺氏ら同党の衆参両院議員25人。渡辺氏は「首相が『政局よりも政策だ』と言っているのに、ここで何もしないわけにいかない」と麻生太郎首相への批判を強めているほか、山本一太参院議員は衆院の早期解散を提唱する。

 ただ、グループのメンバーは25日、首相の第2次補正提出先送りを受けて、あからさまな政権批判を控えた。「支持するわけにもいかないが、ここで批判したら(倒閣に)完全に振り切れてしまう。悩ましいところだ」(政務官経験者)と自重したためだ。

 一方、津島派の津島雄二会長は同日の党総務会で「若手ならまだいいが、中堅が動いている。敵(民主党)に塩を送るようなことをするなと私も注意したが、みなさんもよろしく頼みます」と党幹部らに要請。森喜朗元首相、安倍晋三元首相、町村信孝前官房長官ら町村派幹部も同日、東京都内で会談し、グループの動きが過激化しないよう注視することを確認した。

 ベテラン議員からは「選挙で苦戦しそうな議員の『売名行為』に過ぎない」という冷ややかな見方も出ている。【高山祐】

(25日、毎日新聞)

きょう(25日)、自民党の大島理森国対委員長と民主党の山岡賢次国対委員長は、国会内で会談し、麻生太郎首相(自民党総裁)と民主党・小沢一郎代表の党首討論を今月28日に開くことで大筋合意した。
党首討論の開催は麻生政権発足以来初めて。

党首討論は麻生首相が、就任以来再三開催を求めてきたが、小沢代表側が「テーマがはっきりしない」(山岡氏)などの理由で一貫して拒否。
小沢代表は、党首討論開催予定日に“地方行脚”を続ける一方で、党首討論の開催を拒否し続けてきた。
まさに「政策よりも政局・選挙」という民主党としての基本姿勢を、代表自ら体現してきた形だ。

今回、小沢代表が一転して応じることを決めた背景には、麻生首相の2008年度第2次補正予算案提出先送り決定を受け、「2次補正」をテーマに党首討論を行うことにより、麻生首相を追い込みたいとの思惑があるとみられる。
国対委員長会談では、山岡氏が「もう一度オープンの党首会談をやりたい」と提案。大島氏が「だったら党首討論をやればいい」と回答し、山岡氏が応じる姿勢を示した。

麻生首相は、22日朝(日本時間)、訪問先のリマ市内のホテルで同行記者団に対し、最大で来年(2009年)1月までの今国会の会期延長を示唆した。
また、先日のエントリでご紹介した、小沢代表の「クビをかける」発言に関して、以下のように小沢代表を批判している。

 ◆2次補正

 08年度第2次補正予算案は中小企業融資枠、税制改正が必要なもの、来年度本予算に関係するものなどいろんな要素が含まれる。きちんと整理し、判断しなきゃいけない。(党内から今国会見送りに批判が出ていることについて)意見が出ない方が問題。いろんな意見が出され決まるのがいい。

 (民主党の小沢一郎代表は党首会談で、2次補正の審議・採決に応じるとの約束をほごにした場合、辞めると)7人の前で言った。その話は言ってない、と言われたら、この人の話はあぶないなと思うんじゃない。とたんにみんな信用できなくなっちゃった。前も(大連立構想が頓挫し)辞めると言って辞めなかったりしている。

 ◆会期延長幅

 野党の対応がどうかで対応が違ってくる。金融機能強化法案にずっと最後まで(民主党が)反対なら、(新テロ対策特別措置法案の再可決のための延長より)もっと延びるのかもしれない。

 ◆解散時期の判断

 佐藤内閣で「黒い霧解散」(66年)なんてあった。絶対に自民党が負けると言われたのに勝った。郵政解散も勝てると思った新聞社はなかった。最終的に首相が判断する要素は、人によって違う。判断は今決めているわけではない。

 ◆地方への1兆円

 「地方が一番使いやすい方法を考える」とずっと同じことしか言っていない。使いやすい方法を党で考えてもらっている。【リマ古本陽荘】

(22日、毎日新聞)

今回、やっと開催が決まった党首討論。
その党首討論が実際に行われるかどうか、“国会サボり魔”で有名な小沢代表のことだから、未だに不確定要素は満載だ。
麻生首相と小沢代表の直接対決はこれが初めてだが、麻生首相は、相当、小沢代表という人物に「敵対心」「憎悪感」を持っている。
今秋の総裁選時には“ハマコー”こと浜田幸一元衆院議員も注目した(※)、麻生首相の「闘争本能」に期待したい。


<追記>

前回お伝えした、元厚生事務次官宅への連続襲撃事件。
さいたま市の無職、小泉毅容疑者(46)が霞が関の警視庁に出頭し、供述を始めて、警察もDNA鑑定など幅広い捜査を行っている。
捜査本部によると、小泉容疑者は元次官2人の住所について、「(旧厚生省の)職員録で調べた」と供述しているという。
「保健所にペットを殺されたから」という動機で、小泉容疑者は3人を死傷させたと報じられているが、実際に保健所を運営しているのは厚生省(現在の厚生労働省)ではなく、各自治体である。
といっても、小泉容疑者の「本当の動機」は別の所にあるだろう。「ペット云々」という供述は、あくまで容疑者自身による“陳腐な演出”に過ぎない。

昨日(24日)の毎日新聞紙上では、立正大学の小宮信夫教授が次のように述べていた。
 「動機のルーツはペットかもしれないが、自分が置かれた境遇への怒りをどこかにぶつけたいと考えたのだろう。通常は所属している集団や特定の人間に向かうが、人間関係が希薄なため、社会に向かったのではないか」
 「社会の象徴として、年金のニュースなどで騒がれていた厚生労働省の元次官が標的になった可能性がある」
私も小宮教授と同意見だ。他にも色々な識者がこの事件や容疑者の心象を分析しているが、私は、小宮教授のこの分析が一番的を射ていると思う。

私は毎週土曜日の夜、報道系の情報番組『情報7days ニュースキャスター』(TBSテレビ)という番組を見ている。
ビートたけしさんと安住紳一郎アナウンサーがMCを務める番組だが、小泉容疑者出頭のニュースは、NHK・民放キー局中、この番組が一番早く報道した。
この日、たけしさんはフジテレビの裏番組に生出演していて、安住アナウンサーが一人で番組を進行。レギュラーの渡辺えりさんも出演せず、代わりに元検事の住田裕子弁護士が出演した。
ゲストに佐々淳行氏が出演し、住田氏らと今回の事件について、犯人像を予測していた最中に飛び込んで来たのが、容疑者出頭のニュースだった。

佐々氏や住田氏の分析は的確だったが、お二人による「容疑者出頭のニュース」を受けての分析をまとめると、以下の通りだ。

・警察署ではなく、なぜ霞が関の警視庁に出頭? ⇒ 社会への自己顕示、「腐った政府を成敗してやる」という間違ったヒロイズム
・借りたレンタカーの返却予定日を前に出頭したのは、気が小さいから。
・事件5日後の出頭は、「殺人による高揚感」の後の恐怖と落ち込みによるもの。
・なぜ犯行声明がなかったのか? ⇒ 事件の犯し方は分かっても、犯行声明の出し方は分からなかった。


その後、小泉容疑者はTBSテレビやフジテレビに、出頭数時間前、これから出頭することや犯行の動機を書いたメールを送っていたことが判明した。
「やはり」、犯人は社会的関係性の薄い小心者であった、というのが私の現在の感想だが、警察は、本当に容疑者が単独であるのか、背後関係はどうなのかなどを慎重に捜査している。
出頭直前、小泉容疑者が父親宛てに出した「手紙」の内容も気になる。それが事件を解明する手がかりに直接結びつくかどうかは分からないが、いずれにせよ、今回の小泉容疑者の犯行は、小心者による“手探りの自暴自棄”な犯罪であった。

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2008年11月19日

これは、元厚生次官を狙った「年金テロ」なのか

犯人の動機はまだ分からない。しかし、許されざる犯罪であることは間違いない。

元厚生次官宅連続襲撃事件 同一犯との見方強まり、警視庁と埼玉県警が共同捜査本部設置

 元厚生事務次官ら連続殺傷事件は、同一犯が官僚トップを狙った「連続テロ」との見方が強まった。警視庁と埼玉県警は19日夜、共同捜査本部を設置した。

 さいたま市南区で、元厚生事務次官・山口剛彦さん(66)と妻・美知子さん(61)が刺殺された事件では、遺体が発見された玄関で印鑑が見つかった。

 警察は、犯人が宅配業者などを装った疑いがあるとみて調べている。

 また、血のついた足跡は、スニーカータイプであることがわかった。

 一方、東京・中野区で、元厚生事務次官・吉原健二さん(76)の妻・靖子さん(72)が宅配業者を装った犯人に襲われた事件で、警視庁は19日に現場検証を行い、5カ所から血痕を採取した。

 また、路上などから見つかった足跡とみられるものが、さいたま市のものと一致しないか鑑定を進めている。

 警視庁と埼玉県警は、厚生労働省関係者を狙った同一犯の可能性が高いとみて、共同捜査本部を設置し、犯人の割り出しを急いでいる。

(FNN-NEWS.COM、11/19 20:58)

昨日(18日)午前10時すぎ、埼玉県・さいたま市で、元厚生事務次官の山口剛彦さんと妻の美知子さん(61)が、自宅の玄関で胸を刃物で数カ所刺され、死亡しているのが見つかった。
その後の調べで、山口さん宅の台所では、調理された料理がテーブルに並べられていて、換気扇が回っていたことが新たに判明。警察では、夕食の時間帯に襲われた可能性が高いとみている。
また、山口さんの両腕には、犯人と争った時にできる切り傷があったことも判明。警察は、犯人が美知子さんを襲ったあと、山口さんと揉み合いになった末、殺害した疑いがあるとみている。

さらに、自宅前の路上から西へ向かって、およそ50メートルにわたって、血のついた模様のある靴跡が残されていたことも分かった。
警察は返り血を浴びた犯人が、歩いて逃げた際に残したものとみて調べている。
そして今日(19日)、新たに遺体が発見された近くから、ふたが閉まったままの印鑑が見つかっていたことが分かった。
印鑑はいわゆる“シャチハタ”タイプのもので、山口さん夫妻は宅配業者を装った犯人により殺害された可能性が濃厚となっている。

そして昨日午後、東京・中野区で、同じく元厚生省事務次官の吉原健二さん(76)の妻が何者かに刺され重傷を負った。
この事態を受け、厚生労働省は、歴代幹部や現役幹部の住所リストを警察庁に送って、警備の強化を要請している。
18日夜、厚生労働省は、警察庁に警備の強化を要請するとともに、すでに帰宅した現役幹部の安否を確認した。
職員は「(厚労省の)関係者を狙っているなら、気を付けないといけないねという話はした」と話した。
厚労省が警察庁に警備強化を要請したのは、歴代の事務次官や社会保険庁長官、年金局長、保健局長などについてで、住所リストを作成して警察庁に送っている。

今回の事件について、舛添要一厚労相は18日夜、「テロということなら、こういう卑劣なことはよくないと思います」「許し難い犯罪なので」と述べた。
また麻生太郎首相も同夜、私邸に戻ってから事件の報告を受け、「痛ましい」と述べるとともに、情報収集を急ぐよう指示した。
麻生首相は、警備上の都合から、毎朝行っている散歩をしばらくやめることにしたという。

元厚生事務次官宅が相次いで襲撃された今回の事件。2つの殺傷事件には多くの共通点がある。
どちらも現場は自宅玄関、または玄関先であったこと。
凶器については、どちらも刃物であったこと。深い傷を負わせるなど、犯人には強い殺意があったと思われること。
そして、元次官2人とも厚生省では年金担当だった“年金エキスパート”だったということ。
基礎年金制度の導入を決めた1985年の年金制度改正時には、吉原さんは厚生省年金局長、山口さんは年金課長を務め、“上司と部下”の関係として制度改正に道筋をつけた。
その後も吉原さんが1988年6月に事務次官に就任した際、山口さんは官房会計課長に就任。この時も直接の“上司と部下”として官房を取り仕切った。

吉原さんが厚生省の事務次官だったのは小泉純一郎元首相が最初に厚生相を務めた時で、小泉氏の2度目の厚生相在任中には山口さんが事務次官として仕えた。
吉原さんは年金局長を2年間務めた後、社保庁長官を経て事務次官に就任。
山口さんは1996年7月に保険局長となり、当時の事務次官の汚職事件を受けて、同年11月に後任の事務次官に就任した。このときには、厚生省職員を講堂に集め、涙ながらに「私たちはあなたの苦労を知っている」と話した上で、厚生省改革の必要性を訴えた。

現時点で、今回の事件が「政治的テロ」であるとは断定できないが、少なくとも、元厚生次官とその家族を意図的に標的にしたものであるということは言えそうだ。
今回の事件が集団の犯行であるか、個人の犯行であるかも判明していない。連続襲撃の動機も、必ずしも明らかではない。
しかし、ここであえて書かないとならないのは、たとえばこれが年金行政の停滞などに不満を持つ者の犯行であったとしても、今回のこの連続襲撃は、決して許されないものだということである。
フジテレビの箕輪幸人解説委員は、犯人像について以下のように分析している。

「こういった社会問題になっていると、自分が成敗をしてやるんだという間違った義侠心(ぎきょうしん)、こういうものが犯行に駆り立てたのかもしれないということ。
もう1つは、自分の親族に、本来だったらもらえるはずの年金がもらえなかった。
そして、例えば死んでしまったという時に、強い恨みを持つという可能性があると思います」

客観的にみて、厚労省職員のほとんどは真面目に働いており、寝ず食わずで激務を行っている。
土日も急遽役所に出勤することも、徹夜で残業をすることもしばしば。
そういうことを続けて、年金改革に取り組み、事務次官としても有能に働いた吉原さんや山口さんが、なぜこのような事件で標的にされなければならないのか。

ここで踏み込んで特筆しなければならないのは、ここ数年、メディアで展開されてきた「厚労省・年金バッシング」の存在だ。
もちろん、年金行政を担当する厚労省や社保庁のこれまでの行動にまったく非がなかったとは言わない。一部の労働組合員を中心に、仕事をきちんと行ってこなかった職員がいたのも事実だ。
1985年の年金制度改革に関しても、これが現代日本にとって必ずしも最適な改革であったかどうかということに関して、疑問符が付かざるを得ない現状も見受けられる。

しかし、伝え聞く話では、一連の「年金不信」の社会的流れを目の前にして、山口さんは生前「自分が当事者として関わった、あの年金改革は正しかったのか」と苦悩していたという。
今回の犯行が、「間違った義侠心」を持った犯人による犯行であると現時点で断定することはできないが、もし、そのような側面を持っているのだとすれば、メディアの責任も非常に大きく問われてくる。
少なくとも、メディアが「年金不信」「厚労省批判」“風景”を切り取って、拡大して報道してきたのは事実だ。

過去には本島等長崎市長狙撃事件(1990年1月)や国松孝次警察庁長官狙撃事件(1995年3月)、最近では伊藤一長長崎市長射殺事件(2007年4月)などもあった。これらは基本的には「政治テロ」に分類できるかもしれない。
何度も書いてきたように今回の事件が「政治テロ」だと断定することはできないが、しかし、もしそうだとすれば、「政治テロ」で世の中を変えることはできないのだということを改めて書いておきたい。
過去に起きた「テロ事件」を振り返ってみても、そこに世界のあらゆる問題を解決する手段として「政治的テロ」が機能したことはなかった。「政治的テロ」で生まれたものは破壊、憎しみ、怒り、悲しみ。ただそれだけである。そこに社会を改善するような方向性が打ち出された例は、過去、一例もない。
絶対に「政治テロ」では世の中は変えることはできない。そのことだけは、しっかりとここに示唆しておきたい。

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2008年11月18日

「国籍法」改正反対派は、日本人差別主義者だ!

「私たちの民族は劣っているんです」。そんな反日的な意見を聞きたくなどない。

党首会談「やぶの中」、小沢氏が「辞職」発言?

 民主党の小沢代表が17日の麻生首相との党首会談で、2008年度第2次補正予算案の取り扱いをめぐり、「議員を辞めてもいい」と発言したかどうかを巡り、与党と小沢氏の説明が食い違った。

 与党幹部によると、小沢氏は首相に「2次補正を今国会に提出してほしい。我が党は採決に協力する。この約束に違反すれば、議員辞職する」と明言したという。

 別の幹部は「小沢氏は『首をかける』と言い、首相は思わず『本当ですか』と問い直した」と語った。

 しかし、小沢氏は会談後の記者会見で「そんなこと言ってない」と真っ向から否定。真相は「やぶの中」となっている。

(18日、読売新聞)

今日(18日)午前、麻生太郎首相と民主党・小沢一郎代表の党首会談から一夜が明けた。
国会は、衆院本会議では国籍法改正案などが予定通り可決されたものの、参院では民主党が外交防衛委員会や財政金融委員会など、すべてにおいて「審議拒否」した。

14日、新テロ対策特措法改正案を審議する参院外交防衛委員会は、理事懇談会にて、18日に委員会採決を行うことで合意していたが、民主党はこの約束を“ほご”にする構えだ。
今日午前の委員会は一旦開かれたが、民主党が採決に応じないため、すぐに休憩となった。同日中の開催はない見通しだ。

政府・与党からは民主党への批判の声が相次いでいる。
河村建夫官房長官は、きょう午前の記者会見で「新テロ特措法改正案、金融機能強化法改正案を人質にして政局にしている。予想外のことで非常に残念だ」と不快感を示した。
鳩山邦夫総務相も、閣議後の記者会見で「政局のためには何でもやってやるぞという姿勢に驚いた。私には理解できない」と非難した。

私はこれまでことあるごとに述べてきているが、国会に出ない国会議員とは、一体何なのだろう。
哺乳動物でない哺乳類がいないように、国会議員も国民の代表者として選出され、また国民の血税で飯を食っているからには、国会に出席するのが最低限の義務だろう。
病気ともなれば話は別だが(もちろん仮病は病気に含まない)、集団で「審議拒否」をすることが民主主義の醸成につながるとは絶対に考えられない。異論があるならとことん議論をすべきだ。議論で最大限の「抗戦」をすべきだ。戦いに出ないことは決して「抗戦」ではない。

昨日(17日)の党首会談をめぐっては、再び小沢代表の「辞める辞める詐欺」が炸裂した。
与党幹部によれば、昨日の党首会談で小沢代表は麻生首相に「2次補正予算案を今国会に提出してほしい。我が党(民主党)は採決に協力する。この約束に違反すれば、(私は)議員辞職する」と明言したという。
別の幹部は「小沢代表は『クビをかける』と言い、麻生首相は思わず『本当ですか』と問い直した」と語った。
しかし、小沢氏は会談後にこの発言内容がバレると、すぐに記者会見で「そんなこと言ってない」と真っ向から否定してみせた。小沢代表といえば“自分の気に入らない”記者には質問をさせないことで有名だが、いわば「御用記者」相手になら、嘘やデマもたやすく言えるということなのだろう。



さて、国会の衆院では今日、国籍法改正案が全会一致で可決されたが、この法案をめぐっては、一時、一部の議員が改正に反対する姿勢を示すなどの行動をとった。
そもそも、国籍法を改正すると何が変わるのだろう。

例えば、結婚していない「日本人の父親」と「外国人の母親」の間に生まれた子がいるとする。この子が日本国籍を取得する条件としては、両親の婚姻要件が必要だったのだが、この要件を外し、父親と母親が婚姻関係になくても、この子に日本国籍を与えるというものだ。
これは、今年(2008年)6月に、婚姻を必要とする国籍法の規定を「違憲」とした最高裁大法廷判決を受けた措置である。
国籍法改正により、父親の認知だけで国籍取得が可能になる。

ただし、認知の偽装が広がる恐れもあるため、法務省は偽装に対して「1年以下の懲役か20万円以下の罰金」を科す罰則規定も盛り込み改正案を形成している。
未婚の日本人父とフィリピン人母の間に生まれた子供が日本国籍の確認を求めた訴訟で、大法廷は「遅くとも原告が国籍取得を届け出た2003年には、合理的理由のない差別を生じさせた」との判断を示した。
このため、改正法は2003年以降の届出については、さかのぼって婚姻要件の除外を認めることになる。

改正反対派は、「認知偽装」の拡大を過度に恐れている。
「外国人女性」が「日本人男性」をダマして、女の子供を日本国籍にする事例が劇的に増加すると想定しているのだ。
外国から来た女が「ホームレスの日本人男性」に金を渡し、その見返りに、自分の子の父親代わりになってもらう――なんていうことも発生する、などとも主張している。

私は彼ら改正反対派の主張は、「日本人男性」を恐ろしく軽蔑し差別した、真の意味での「自虐観」だと思う。日本人差別を助長したい集団(そんなものあるか分からないが)が「改正反対!」などと主張しているのではないだろうか。
『ハリー・ポッター』シリーズの“スリザリン寮”の精神よろしく、「純血」な日本人こそが美しいというこの考え方は、同時に、日本人を馬鹿にし、差別し、愚弄している考え方でもあるのだ。
彼ら改正反対派は、「日本人男性」が、外国から来た詐欺女に利用されるだけ利用されるほどの、そして自分が利用されていることに気付かないほどの馬鹿であるということを主張している。
「日本人男性」にだって、どんなに金に苦しむ「ホームレスの日本人男性」にだって、知性と常識ぐらいある。日本人としての誇りもある。
ところが、改正反対派は、「日本人男性」はダマされ、利用されるだけの馬鹿であると言いたいようだ。

もちろん、中には「日本人男性」すべてが聖人君子じゃないから、外国人の女にダマされる人間もいるに違いない、という意見もある。
しかしこの論理は、明らかな自己矛盾だ。
改正反対派の主張を裏返せば、日本に来る外国人が全員聖人君子であれば何の問題も起きないはずだ。外国人に聖人君子ではない人間が混じっているから、日本にやって来て「認知偽装」を働こうとする。
しかし、改正反対派の主張によれば、馬鹿な外国人女に利用されてしまうような、さらに馬鹿な「日本人男性」が日本にはすでにいるのだという。
そうすると、外国から日本にやって来る人たちが、全員聖人君子である必要性の根拠がなくなってしまうではないか。
もっと簡潔に書けば、日本人がみな聖人でないならば、外国人が聖人でないことを非難する根拠がなくなるのである。

国籍法改正に反対する人たちは、結局、「日本人男性」が利用されるだけ利用されるだけの“知性のない人間”であると主張したがっている。
現金さえ目の前にちらつかせば、ホームレスの日本人男性が、外国からの詐欺女にノコノコくっ付いて来ると主張したがっている。
言うなれば、改正反対派は、日本人を差別しているのだ。日本人は愚かな民族だからダマされやすいと、差別しているのである。
改正反対派は「純血(純潔)な日本人」だけで満ち溢れた日本を仕立て上げたいようだが、皮肉にも改正反対は「愛国心」を表現する心とは正反対なものとなっている。

「日本人男性」を差別し、「日本人男性」は、自分が利用されているだけであることすら把握できない愚か者である――。
そういった可能性により発生し得る「妄想上の犯罪」を糾弾するよりも、我々がすべきことはなにか。それは、目の前の現実を見ることである。
日本人の父親と外国人の母親の間に生まれた子供が、日本国籍を持てないことにより社会保障や福祉、教育上の弊害を抱える現実を目の当たりにすれば、とてもでないが「妄想上の犯罪」を盾に、国籍の問題に苦しむ子供たちを叩き殺すようなことなどできない。
国際人権的観点から言っても、「純血な日本人さえいればいい」という考え方(「純潔な日本人」の定義がそもそも何であるかは別の課題として横に置いておくとして)は、非常に閉鎖的で国際協調性のない考え方だ。幕末の時代に「鎖国」を主張していた武士たちでも、ここまであからさまな外国人差別は行わなかったのだろう。

今回の国籍法改正は、日本人が「差別主義」「純血主義」から脱却するための大きなプロセスであり、チャンスでもある。
安倍晋三元首相が提唱していた「戦後レジームからの脱却」にもつながる考え方だろう(ここで改めて書くまでもないが、「戦後レジームからの脱却」というのは、日本の政治・社会体制が明治時代に戻るとか、さらには江戸時代に戻るとか、そういう閉鎖的な話ではない)。

海の向こうでは、黒人の「次期大統領」が誕生した。米国では、長い間、黒人は奴隷だったのである。日本でいうところの「えた・非人」。
生まれた家がそういう家系だから、肌の色が違うから、本当はただそれだけの違いなのに、差別され続けてきた。何年も、何十年も、何百年も。でも「私たちも人間なんだ!」と立ち上がったから、米国の黒人たちは奴隷ではなくなった。白人と変わらない、米国民になることができたのだ。
これは日本史的な議論を呼ぶところだが、日本の「えた・非人」には直接的な差別主義撤廃運動(米国における「公民権運動」)が存在しなかった。できなかったとも言える。いつまでも「御上」が恩恵を与えてあげるだけという図式が覆ることはなかった。「えた・非人」は、「御上」が恩恵を与えて下さったから、初めて奴隷ではなくなった。そこに米国における黒人たちのような「下からの差別撤廃のための行動」は存在せず、いつまでも閉鎖的、絶望的であった。

そこに現代日本につながる問題点がある。差別は(誰かに)解消してもらうものではなく、(自分たちが)解消するものである。平和は(そこにあるものを)守るものではなく、(ここにないものを)作るものである。いじめは、(誰かによって)なくなるのを待つものではなく、(自分たちによって)なくすものである――。
私は、京王井の頭線の渋谷駅を毎日利用しているのだが、そこの連絡通路に昨日から掲げられた、岡本太郎の『明日の神話』を眺めていると、そんなことを感じさせられた。

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